この記事の3行まとめ
- 2Dアクションゲーム『Absolum』のサウンドをWwiseで実装した事例、Audiokineticが自社ブログで紹介
- ヒットサウンドは、攻撃の主体や攻撃対象などを識別して複数パターンを再生。繰り出すたびに音がランダムで切り替わる仕組みも構築
- ステージ難易度の向上に沿ってシームレスにBGMを切り替える実装などについても語っている
Audiokineticは2026年9月8日(現地時間)、「『Absolum』におけるサウンドの舞台裏」と題した記事(※)を、自社ブログ「akBlog」に公開しました。
※ 2026年4月16日(現地時間)に公開された記事「Behind the Sound of Absolum」の邦訳版
横スクロール2Dアクションゲーム『Absolum(アブソラム)』のサウンド制作における、オーディオミドルウェア「Wwise」の活用事例を紹介しています。
(画像はアークシステムワークスの『Absolum』製品ページより引用)
『Absolum(アブソラム)』は、Guard Crush Games、Supamonks、Dotemuが開発した、ベルトスクロール×ローグライトを特徴としたアクションゲーム。日本では、アークシステムワークスがパブリッシングを担当しています。
プレイヤーは剣士や魔法使いなどのキャラクターを選択して反乱軍の一員となり、魔術災害に乗じて国を支配している太陽王アズラを倒すべく、戦場へと出陣します。
Steamのほか、Nintendo Switch、PlayStation 4/5で販売中。また、2026年9月17日(木)にはNintendo Switch 2エディションが発売されました。
アークシステムワークスによる『Absolum』ゲームプレイトレイラー
記事では、ゲーム『Absolum(アブソラム)』のサウンド制作におけるWwiseの活用事例を、同作のサウンド実装を担当したChristophe Hogommat氏が紹介。
「ヒットサウンド」「アンビエンス」「ミュージック」の3要素を軸として、実装の方針や実装例を解説しています。
攻撃者や対象者によって音が変わるヒットサウンド
同作では、キャラクターに起因するヒットサウンドの大半を「Hit_Light」と名付けたWwiseイベントで制御。
このイベントは、ゲーム側からの入力データに応じて再生するサウンドを切り替える一連の仕組みが3段階の入れ子構造となっています。まず「攻撃の主体はキャラクター・発射物のどちらか」を判別し、キャラクターであれば「対象はプレイアブルキャラクター・NPCのどちらか」、最後に「攻撃したのは誰か」を受信したのち、対応するサウンドを再生します。
プレイアブルキャラクターのヒットサウンドは基本的に、複数のサンプルをレイヤーで統合したベースサウンドに、補助的な音(歪みを加えたスネアの音や、骨の破砕音、燃え盛る炎の音など)を組み合わせて構成されます。
補助で添えるサウンドは複数のバリエーションが用意され、それぞれRandom Container(※1)に格納されており、さらに、それらのRandom ContainerはすべてBlend Container(※2)の階層化に置かれています。
※1 複数サウンドをランダムに選択し再生するコンテナ
※2 複数サウンドの同時再生やクロスフェードを行うコンテナ
この仕組みによって、同じ攻撃でも繰り出すたびに、わずかに異なるサウンドが再生されます。
キャラクター「Karl」のヒットサウンドの構造。Blend Containerの配下に4系統のRandom Containerが置かれ、それぞれ複数のサウンドが含まれている(画像はブログ記事より引用)
なお同作には、体格や重量、敏捷性が異なる4人のプレイアブルキャラクターが登場。
ヒットサウンドは各プレイアブルキャラクターごとに組み上げられ、さらに攻撃を防がれた際や特殊攻撃などに対しても専用サウンドを用意した結果、ゲーム全体で80種以上のヒットサウンドが制作されたと語られています。
難易度に合わせて「強度」が異なるBGM制作
同作では、難易度順に3つのステージが「バイオーム」という一括りのエリアとして扱われます。
各バイオームの中をプレイヤーが順に進むにあたり、同作の楽曲制作を担当したGareth Coker氏は、「同じ長さでありながら強度の異なるBGM」をバイオームごとに3パターンずつ用意し、サウンドの変化でステージの難易度向上を表現。
このサウンド遷移をシームレスに行うため、Hogommat氏らは、バイオーム名およびバイオーム内のステージ進行度(レベル1~3)をWwiseに送信するシステムを開発しました。
キューの移動においては、再生中の曲の経過時間と同じ位置から次の曲を再生する「same time as playing segments」およびフェードイン・アウト機能を用いることで、ほぼシームレスな移行を実現できたと語られています。
楽曲間の遷移設定の一覧と、そのの設定画面のひとつ。同期方法として「Same Time as Playing Segment」をがフェードアウトの時間に2秒が指定されている。
バイオームは約25種あるため、相応の作業工数を費やしたという(画像はブログ記事より引用)
また、「HUB」と呼ばれるゲーム開始時の拠点では、ゲームを進めることで新たなキャラクターが登場します。
同作では、プレイヤーがキャラクターに近づくことで特定のレイヤーが再生されるシステムを採用し、各キャラクターの個性を表現しています。
基盤となる1つのトラックを常時再生。特定のキャラクターに近づくことで対応するトラックの音が聞こえる機能は、2つのRTPCで制御(画像はブログ記事より引用)
そのほか、ゲームの没入感を高めるアンビエンスや、複数キューを活用することで「プレイ内容によって異なる展開」を実現したボスとの戦闘曲制作エピソードなどが語られています。
詳細はakBlogをご確認ください。
『Absolum』におけるサウンドの舞台裏 | akBlog