ASUS JAPANは、携帯型ゲーミングPCの「ROG Xbox Ally X」および「ROG Xbox Ally」を10月16日(木)に発売する。
このたびは同社よりこれら2機種を1週間ほどお借りする機会を得たため、使い心地などを本稿でレポートする。
※ 本稿で取り上げたゲームの動作はROG Xbox Ally XおよびROG Xbox Allyの発売前に確認したもの。今後、本機やゲームのアップデートなどにより、執筆時と比較してゲームが快適に動く可能性もあります。ご了承ください
ASUS JAPANは、携帯型ゲーミングPCの「ROG Xbox Ally X」および「ROG Xbox Ally」を10月16日(木)に発売する。
このたびは同社よりこれら2機種を1週間ほどお借りする機会を得たため、使い心地などを本稿でレポートする。
※ 本稿で取り上げたゲームの動作はROG Xbox Ally XおよびROG Xbox Allyの発売前に確認したもの。今後、本機やゲームのアップデートなどにより、執筆時と比較してゲームが快適に動く可能性もあります。ご了承ください
TEXT / 松井 ムネタツ
EDIT / 藤縄 優佑
改めて説明しておくと、ROG Xbox Allyシリーズ2機種は、マイクロソフトとASUSのコラボレーションにより実現した携帯型ゲーミングPCだ。
2025年6月に配信されたマイクロソフトによるXbox情報番組「Xbox Games Showcase」で初公開され、東京ゲームショウ2025にも出展されるなどして話題になったのは記憶に新しい。
『ROG Xbox Ally 世界初公開トレーラー | Xbox Games Showcase』
上位モデルのROG Xbox Ally XはCPUにAMD Ryzen AI Z2 Extremeを搭載して139,800円(税込)、標準モデルのROG Xbox AllyはAMD Ryzen Z2 A搭載で89,800円(税込)と、予想していた価格よりかなり安い印象だ。
「上位モデルは20万円も視野に入るのではないか」という声も聞こえていただけに、これまでASUSがリリースしていた「ROG Ally」シリーズと価格が変わらないのは、本機の予約開始を待っていた人からするとうれしいニュースに思える。
結論から言うと、ROG Xbox Ally XおよびROG Xbox Allyは、Xbox Series X|SユーザーでXbox Game Pass Ultimateに加入済みなら存分に楽しめるハードだ。
ゲームプレイに特化した携帯型ゲーミングPCとして十分魅力的なうえ、製品名の通りXboxとの連携によって真価を発揮する。すなわち、Xboxユーザーなら持っておきたいアイテムと言える。
専用OSではなくWindows 11を搭載しているので、家庭用ゲーム機ではなく携帯型ゲーミングPCのジャンルに属した製品ではある。
しかし、初回セッティングを終えれば本体起動時に自動でXboxアプリが立ち上がるので、まるでゲーム機のような体験を得られる。
Xbox ワイヤレス コントローラーのデザインを継承した本体グリップはしっかり手にフィットし、重心が本体下部にあるおかげで約700g(※)の重さが苦になりづらいのも重要なポイントと言える。
※ 本体重量は、ROG Xbox Ally Xが約715gでROG Xbox Allyは約670g(いずれも公称値)
マウス・キーボードと接続して、Windowsマシンとして利用するのも可能。バッテリーは動画再生時ならROG Xbox Allyで約10.4時間、ROG Xbox Ally Xは約13.9時間と長持ちなので、外出先で仕事に使うのも良いだろう。また、ゲームイベントの出展時に試遊機として使うのも有用そうだ
本体上部に各種インターフェースが搭載。ROG Xbox Ally XはUSB4(Type-C/Power Delivery対応)とUSB3.2(Type-C/Gen2/Power Delivery対応)が1ポートずつ、ROG Xbox AllyはUSB3.2(Type-C/Gen2/Power Delivery対応)を2ポート備えている
ROG Xbox Ally XおよびROG Xbox Allyの概要を踏まえたところで、本機ならではの特徴と言える各種ボタンについて説明しよう。
Xboxのロゴを配したXboxボタン。押せばGame Barが開き(Windowsでの[Windows]+[G]キーの操作に相当する)、スクリーンショットの管理や最近遊んだゲームへのアクセスも、ここからすぐ起動が可能だ。
Xboxボタンを長押しすると、アプリ切り替えがコントローラーで簡単に行える。Windowsのタスクビュー画面([Windows]+[Tab]キー)のような機能だ。
これは、本機に搭載されたカスタマイズされたWindows 11用UI「Xbox フルスクリーンエクスペリエンス」によるもの。Xboxボタン周りのさまざまな操作も含め、ゲームパッドとタッチパネルで操作できる。
Xboxボタンの右上にあるコマンドセンターボタンは、ユーティリティアプリ「Armoury Crate SEユーティリティ」を呼び出せる。
本体のパフォーマンス設定、リアルタイムモニタ(CPU使用率やフレームレートの表示など)、画面の明るさ、解像度の変更、ソフトウェアキーボードの表示など、本機の設定やカスタマイズを行える。
ディスプレイの右側にあるライブラリボタンを押せば、Xboxアプリのゲームライブラリ画面が開く。Xboxアプリからインストールしたゲームはもちろん、SteamやEpic Games Storeなど各種ストアのゲームもすべてリストアップされ、そのまま起動できる。
このライブラリ一元管理機能は2025年9月からXboxアプリに追加されたもので、普段からXboxアプリを使っている筆者からするとかなり便利になった。
詳細なスペックは9月に公開したプレス向け内覧会の記事を参照してほしいが、実際にいくつかのゲームで遊んでみるとROG Xbox Ally XとROG Xbox Allyでは大きな差を感じた。
まずは上位モデルのROG Xbox Ally Xからチェックしていこう。
ROG Xbox Ally XはGPUにRADEON 890M Graphicsを搭載しており、これはAMDのモバイル向けGPUとしては上位クラスだ。昨今のAAAクラスのゲームでも設定次第でなんとか遊べそうではある。
まずは『モンスターハンターワイルズ ベンチマーク』を実行。解像度は「1920×1080」でグラフィックプリセットを「高」で実行したところ、スコアは6,800ちょっとで平均フレームレートは40fps程度の「設定変更が必要です」という評価になった。
プリセットが「中」だとスコアは9,750で平均フレームレートは57fps程度となり、「設定変更を推奨します」となるものの、このあたりならどうにか遊べるイメージだ。
さらにグラフィックの質を落としてみよう。グラフィックプリセット「低」だと65fps程度でスコア11,000以上、「最低」でスコア12,000弱で約70fpsが平均となり、いずれも「問題なくプレイできます」になった。
アクション性の高いゲームの場合は最低でも60fpsはほしいと考えると、グラフィックプリセット「低」なら十分楽しめるだろう。
次に、実際にいくつかのゲームをインストールして遊んでみた。『ストリートファイター6』(2023年発売)や『Forza Horizon 5』(2021年発売)はどちらも60fps前後でしっかり動作。
『DOOM: The Dark Ages』(2025年発売)はグラフィック設定を調整する必要はあったものの、30fps前後で遊ぶことができた。さすがにヌルヌル動くことはなかったが、それでも遊ぶことはできたので、ヨシとしよう。
総合的に見て、139,800円という価格でこれだけの性能なのは、携帯型ゲーミングPCとしてコストパフォーマンスは高い。「今年の年末に携帯型ゲーミングPCを買う予定」であれば、その候補のひとつにすべきであろう。
『Forza Horizon 5』をベンチマークモードで起動すると、結果は平均57fpsとなった。参考までに、本作のGPU最小要件はNVIDIA GeForce GTX 970 / AMD RX 470
『DOOM: The Dark Ages』のGPU最小要件はNVIDIA RTX 2060 SUPER / AMD RX 6600。敵の出現状況によって20〜40fpsあたりをウロウロしており、どうにか動くといった様子
では、上位モデルのROG Xbox Ally Xと比べて5万円安い、標準モデルのROG Xbox Allyはどうだろうか。
GPUにCPU統合型のRADEON Graphicsを搭載しており、AAAクラスのゲームがちゃんと動くほどの高性能ではないが、要求スペックの低めなゲームや設定次第で遊べるものもある。
ROG Xbox Allyでも『モンスターハンターワイルズ ベンチマーク』を実行してみたが、解像度「1280×720」でグラフィックプリセットを「最低」にして、その他いくつかカスタム設定(モーションブラーを「OFF」にするなど)をしたものの、スコア6000ちょいの34fpsだった。
まったく遊べないとまでは言わないが、さすがにこのクラスのゲームは厳しい。
Game PassユーザーならXbox Cloud Gamingが快適に遊べることもチェックしておきたい。ROG Xbox Allyだと最低スペックに満たない『Forza Motorsport』(2023年発売)でも、クラウドなら多少のラグは感じるものの問題なくプレイできた。
『Virtua Fighter 5 R.E.V.O.』(2025年発売)は、設定をいじらずにそのままプレイするとスローモーションになるといった処理落ちが発生したので、グラフィック周りの設定をとにかく全部「最低」や「OFF」にしたところ、どうにかまともな動きになった。
『ストリートファイター6』については設定をアレコレ試してみたものの、自分が試した範囲ではどうしても0.8倍速くらいのスローな動きになってしまった。
『Forza Horizon 5』は30fpsをキープ。9月に実施された内覧会では『ELDEN RING NIGHTREIGN』(2025年発売)が30fps程度で動作していたこともあり、ROG Xbox Allyでも設定次第で昨今の3Dゲームも遊べるものがありそうだ。
また、『Vampire Survivors』(2021年発売)と『Balatro』(2024年発売)、『He is Coming』(2025年発売)、『Slay the Spire』(2017年発売)といったインディーゲームも試したが、こちらは快適に遊ぶことができた。こうしたタイトルはもちろん、2DグラフィックがメインのRPGなども快適に遊べそう。
ROG Xbox Ally XとROG Xbox Ally、どちらがいいかと聞かれたら、それはもちろんROG Xbox Ally Xだ。筆者もXを予約している。
内蔵ストレージが1TBなのも心強い。遊ぶタイトルの要求スペックが低めだったり、外出時はもっぱらクラウドで遊ぶことがほとんどだったりするなら、ROG Xbox Allyも選択肢に入れていいだろう。
マイクロソフトは「Xbox」というゲームプラットフォームについて、コンシューマー機だけに留まらず、PCやクラウドで遊ぶゲーム環境についても「Xbox」という名称で展開している。つまりマイクロソフトが提供するゲーミングサービスはすべてXboxなので、そういう意味で本機は「携帯型Xboxマシン」とも言える。
Xbox版を買えばPC版も遊べて、さらにはセーブデータも同期する「Xbox Play Anywhere」という仕組みに対応したタイトルも増え、このおかげでリビングのXbox Series Xで遊んだ続きを書斎のPCや外出先のスマホ(クラウド)で遊ぶ……なんてゲームライフを送るXboxユーザーが増えてきた。
そんな取り組みの中で誕生したのがROG Xbox Ally XとROG Xbox Allyなので、今後新たに「Xbox」の名前を冠したハードが出るかもしれない。そんなさらなる展開を期待しつつ、まずはROG Xbox Ally Xで遊びまくりたいと思う。
「ROG Xbox Ally X」製品ページ「ROG Xbox Ally」製品ページパソコンゲーム雑誌、アーケードゲーム雑誌、家庭用ゲーム雑誌を渡り歩き、現在はフリーのゲーム系編集/ライター。マイベストゲームは『ウィザードリィ 狂王の試練場』で、最近だと『Forza Horizon』シリーズに大ハマリ。メインPCはAlienware Aurora。セガ・レトロゲーム系メディア「Beep21」副編集長をやりつつ、ボードゲームメディア「BROAD」編集長も兼任。
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