この記事の3行まとめ
- ゲームエンジン「CRYENGINE 5.7」のバグ修正や新機能を提供する非公式パッチ「Community Edition」、MITライセンスのもと無料で公開
- 『Crysis』シリーズなどで使われてきたゲームエンジン「CRYENGINE」の更新が止まっている状況下で、本パッチがリリースされた
- DXRによるレイトレーシング対応、Shader Graphの導入なども計画されている
2025年10月3日(現地時間)、Pterosoft Studioはゲームエンジン「CRYENGINE 5.7」向けに開発されたパッチ「CRYENGINE Community Edition」のVersion 1.0を公開しました。
『Development Update: CRYENGINE Community Edition 1.0 Release』
「CRYENGINE Community Edition」は、ゲームエンジン「CRYENGINE 5.7」のバグ修正と新機能を追加するパッチ。MITライセンスで提供されており無償で利用可能ですが、CRYENGINE 5.7そのものは含まれておらず、自分で別途用意する必要があります。
CRYENGINEとは、ドイツのCrytek社が開発したゲームエンジンで、初代『Far Cry』や『Crysis』シリーズなどの制作に使用されました。サンドボックスエディタやノードベースのビジュアルスクリプティング機能、物理演算、モジュール型のAIシステムなどが盛り込まれています。言語としては、C++とLua、C#をサポート。
(画像はCRYENGINE公式サイトより引用)
(画像はCRYENGINE公式サイトより引用)
CRYENGINEの利用に際しては、ゲームエンジンの規約を守る必要もあります(年間の総収入が5,000ドル未満のプロジェクトはロイヤリティが免除され、それを超える場合は総収入全体に対して5%のロイヤリティが発生する など)。
同エンジンは2022年にCRYENGINE 5.7 LTSをリリース後、アップデートがされていません。そんな状況下、Pterosoft StudioはCRYENGINE Community EditionのVersion 1.0をリリースしました。
(画像はCRYENGINE Community Edition公式サイトより引用)
このパッチには、フルスクリーンポストプロセスシェーダー、色の鮮やかさを調整するビブランス機能、テクスチャをシャープ化する機能などが追加されています。
また、サンドボックスエディタは「.qss」ファイルによるUIスタイルの読み込みが可能となり、エディタの外観を調整しやすくなりました。
(画像はCRYENGINE Community Edition公式サイトより引用)
バグ修正としては、DirectX 12環境でシャドウの描画処理がフリーズする、ガラスマテリアルにノーマルマップを適用した際の描画の不具合、カメラの角度によってデカールが不自然に映るといった問題が解消されています。
パッチのロードマップも公開。開発中の「1.1」では、DXR(DirectX Raytracing)によるレイトレーシング対応、Shader Graphの導入、アセットの高速インポートなどが予定されています。
研究開発の項目として、パストレーシング、FSR 3.0やDLSS 4の対応、ボクセル流体シミュレーションなどが挙げられています。
詳細は、CRYENGINE Community Editionの公式サイトをご確認ください。
「CRYENGINE Community Edition」公式サイト「CRYENGINE」公式サイト