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個性豊かな一般ブース!今回は初出展サークルが多数
今回、一般ブースを取材して感じたことは、初出展サークルが多かったこと。新作の有無などを聞くと「今回初めてゲームマーケットに出展しました」という返答が多数あった。出展サークル数はここ2年ほど約1,100〜約1,200程度で推移しているので、作り手が増えているというよりは代替わりしているのだろう。
なお、見出しにあるアルファベット+数字はブース番号、「土」「日」「両」はそれぞれ出展していた曜日(「両」は土日両方)を意味している。
A03両:『妄想プロフィール』
ゲーム工房カコムタクの『妄想プロフィール』は、実在しない漫画キャラのプロフィールを妄想するパーティーゲーム。過去作で、バラエティ番組でもよく遊ばれている定番ゲーム『偏見プロフィール』はAI生成写真を使っていたが、『妄想プロフィール』はそのイラストバージョン。
A18両:『十五賽』
おっぽゲームズの『十五賽』は、ダイスを使った五目並べゲーム。振ったダイスを配置していき、並べた出目の合計が「15」以上になるか、「1」を3つ並べることができれば勝利。シンプルながら奥が深いアブストラクトゲーム。
B03両:『グラマ』
ビーラインドプロジェクトによる『グラマ』は、4方向の天秤でバランスを取るゲーム。「遅刻したときの謝罪の気持ち」などテーマを決め、その重さを各自が袋に入れて、一斉に乗せてバランスが取れればオーケー。単純な仕組みだが見た目のインパクトや盛り上がりは、多くの来場者を引きつけていた。
B08両:『QUATTLE(クワットリー)』
KYO-DO GAMESは、2人用の3次元対戦パズルゲーム『QUATTLE(クワットリー)』で初出展。設計図の形を目標に、キューブを重ねて立体パズルを組み立てていく。赤と青のキューブが目立ったのか、ゲムマ出展分は見事完売したとのこと。
B26両:『ケンパ!』
YouTubeで動画配信も行っているアナログコレクションの新作『ケンパ!』は、子どもが公園などで遊ぶ片足跳び「けんけんぱ」をベースにしたもの。タイル配置とオセロを組み合わせたようなゲームシステムになっている。独自に製造した缶状のケースも可愛い仕上がり!
B30両:『パンドド!』
ボボン・ボン・ボジワーイ連邦の『パンドド!』は、アクリルスタンドを使ったアクションゲーム。購買部のパンをゲットするという設定で、アクスタをはじいてパンをゴールに入れる。個人的に所有しているアイドルなどのアクスタを使って遊ぶことも可能だ。
C25両:『ダンジャン(DUNGEON MAHJONG)』
大人気の『モンスターへクス』を作ったゲームNOWA新作は、RPG風味なハンドマネージメント+セットコレクション+麻雀ゲーム『ダンジャン(DUNGEON MAHJONG)』。
アートワークは『モンスターへクス』『八人の魔術師』のたかみまこと氏が担当。
D01両:『ファンタジーランクマスター』
OKAZU brandの『ファンタジーランクマスター』は、召喚されたモンスターをお題にあわせてランク付けを行い、他のプレイヤーと一致すると得点。どんなファンタジー作品を見てきたか(遊んできたか)でいろんな意見が飛び交う楽しさがある。
ちなみに、OKAZU Brand作『Bomb Busters』はもっとも権威のあるボードゲームアワードである「ドイツ年間ゲーム大賞2025」にノミネートされている。今注目のクリエイターブランドだ。
E03両:『PIZZA ZOMBIE』
人気スニーカーの競り+セットコレクションの『SneakerHeads』が話題を呼んだBoardbull Gamesの新作は、心理戦カードゲーム『PIZZA ZOMBIE』。カートゥーンテイストのアートワークが可愛らしくて目を引く。これは「遊ばないときは飾っておけるデザインを目指した」とのこと。
G02両:『タイパ至上主義花札』
『タイパ至上主義麻雀』が大ヒットしたことで「タイパ至上主義シリーズ」として展開を開始した同ブランド。
今回のゲームマーケットで発売された『タイパ至上主義花札』は、『~麻雀』同様にルールや札を大幅にカットして簡略化し、「イノシカチョウ」など聞いたことあるような役札は残して、5分で花札を遊んだ気分になれるタイパ重視ゲーム。
G10土:『POLYGOM』
『POLYGOM』は、ゴムで囲われた陣地を広げていくアブストラクトゲーム。大判の木製ボードを使って完全手作りなため、限定10個13,000円で頒布。
金沢美術工芸大学デザイン科ホリスティックデザイン専攻の学生が制作。
G16日:『木琴パニック』
どざきみその『木琴パニック』はバラバラになった木琴を差し出す役と木琴を叩く役に分かれて行う曲当て協力アクションゲーム。プレイ人数は2~3人。木琴は手作りで制作したため、今回は1品限り(30,000円)で出展。普通に木琴としても使える!?
H05日:『ブラックキャンドル』
オインクゲームズ代表・佐々木隼氏の家族によるボードゲーム制作チームのパンパスは、今回新作を3つ出展。中でも『ブラックキャンドル』はカードを使わずに木製駒のみで構成されたコンポーネントが話題を呼び、3作の中では最初に完売。
オレンジの炎を手に持った自分のろうそくに乗せていく
H09両:『○○○こと×××です!』
センシティブなゲームで攻め続けるモザイクがかりの新作は、アイドルの自己紹介をテーマにした大喜利ゲーム『○○○こと×××です!』。単語をつなげてトンデモなキャッチフレーズを作り、最後に「○○こと、××です!」と締める。推しのアイドルアクスタやチェキを使ってファン同士で遊べば、さらに楽しめそう。
H14両:『Youggdrasil(ユグドラシル)』
『Youggdrasil(ユグドラシル)』は生態系を創造するカード配置ゲーム。土、草、木、虫、果物、動物の生態系を遊びながら学べる。
今回が初出展で、制作メンバーは漫画家・デザイナーと看護師・大学教員とコピーライターの3人とのこと。どのくらい作ったらいいのかわからず控えめの数を持ってきたとのことだったが、あっという間に完売してしまったそう。今後、アップデートを重ねていく予定だという。
H19両:『JumPonKing』
『はぁって言うゲーム』などでお馴染みの米光ゲームによる新作は初となる対戦アブストラクトゲーム『JumPonKing』。
5×5のマスにそれぞれ5つの駒(王駒1つに兵駒4つ)を並べ、8方向へ移動・乗っかり・ジャンプ。ジャンプはもう一度駒を動かせる。相手の王駒に自分の駒を乗せたら勝ちとなる。
H23両:『クソデカ短歌』
『ソクラテスラ~キメラティック偉人バトル~』や『サメマゲドン~解き放たれた融合ザメ~』などで話題のAzb.Studio新作『クソデカ短歌』は、「ヤバすぎる!」「税金100倍」「IQ1万」などデカい単語を組み合わせて、デカい短歌を作る大喜利ゲーム。
パッケージイラストは肩幅を広く描く第一人者のsattou氏。
J16両:『蠱毒 / KODOKU』
SHAKE UP GAMESの『蠱毒 / KODOKU』は、パッケージにもなっている缶の中にダイスを入れて、シャカシャカ振る仕組みが楽しい心理戦ゲーム。各自が4面から20面まで6種類のダイスを持ち、どのダイスを使って勝負に出るかの駆け引きが熱い。
J44両:『ぺたたきゴリラ』
これまでゴリラをモチーフにしたゲームをいくつか発表してきたサークル713の新作は、またもやゴリラモチーフ。この『ぺたたきゴリラ』は、吸盤付きスティックを使って果物の描かれたカードを獲得していくアクションゲーム。遊び方は30種類以上ある。
K07両:『色里』
さるすべりによる『色里』は、ワーカープレイスメント+タイル配置+セットコレクションと盛りだくさんなゲームシステム。江戸時代の豪商となって太夫の身請けを目指す。ゲームとしては中量級で、プレイ時間は30~60分程度。
L33土:『プレコグニティブX』
『天下鳴動』を手がけた77spiele。そのゲームデザイナーを務める与儀新一氏の新作は、『プレコグニティブX』という推理ゲーム。ちょっとだけ未来が見える犯罪予知能力者となり、まだ発生していない事件を事前に解決するSF映画みたいな内容となっている。
L87土:『Bring Bone-Bone-Bone』
『大行列』が話題となったモノビーズの新作『Bring Bone-Bone-Bone』は、骨なし人間(個人ボード)にホネカードを配置して完全体の人間を目指すというもの。ホネカードがうまく揃いすぎると、他のプレイヤーに邪魔されて骨折してしまうかも!?
デザイナーである「さら」さん(11歳)が実際に骨折したことをキッカケに考案されたとのこと。
M06土:『TCP/IP Carta』
『TCP/IP Carta』はその名のとおり、ネットワーク通信プロトコルのポート番号をテーマにしたカルタ。
ITインフラ設計やコンサルティングを行っている企業・FYFが作っているので、カードに書かれている内容は本格的で勉強にもなる。
M12土:『ハジキッズ』
HITOYSが手がける『ハジキッズ』はヘッド・アーム・レッグの3つのパーツが磁力で合体している駒「ハジキッズ」を、おはじきの要領でぶつけてバラバラにすると得点できるアクションゲーム。磁力があるので、ちょっと当たる程度では崩れず、かといって思い切りはじくと狙いがはずれてしまうもどかしさ。
小学生男子に大人気!
M35土:『カードギア(CardGear)』
スバラ研究所の『カードギア(CardGear)』は、手札のカードで指定された場所にギアを設置していき、中央にあるキングギアを回ることができたら勝利。
ギアをつなげていくことで、たくさんのギアが一斉にぐるぐる回る様子がとてもアナログゲームな雰囲気。設置場所によってはギアが回らなくなることも!?
N04土:『碁ざらし』
プロトクラフトによる『碁ざらし』は囲碁に近いルールの2人専用アブストラクトゲーム。各自5つの駒を持ち、手番時は「置く」「動かす」「戻す(5つとも盤上に置いたときのみ)」のいずれかを行い、相手の碁ざらしを囲めば勝利となる。
3Dプリンターで作成したアザラシ風の駒がとても可愛らしい仕上がりで、多くの来場者が足を止めていた。
Q31日:『CUBEGYM』
Head Quarter Gamesは木製のキューブをたくさん使用する『CUBEGYM』を出展。自分の駒を反対側のゴール位置まで移動させれば勝利となる。手番では駒だけでなくキューブ自体を移動させることも可能で、相手のゴールを邪魔しながらゴールを目指す。
Q36日:『いやはや!転売ヤーではありません!』
ケレンミ書房による『いやはや!転売ヤーでありません!』は転売ヤーとなって悪事を働くゲーム。人気があって皆がほしがる商材を集め、効率よく売って利益を獲得する。ただ、悪いことをやりすぎると悪評がつき、アカウントが凍結されてしまうとゲームから脱落する。
Q38土:『ソックゲーム』
アールエンタープライズの『ソックゲーム』は、タイトルのとおり靴下を使うゲーム。指定されたアイテム(30種類あり!)を靴下の中から手探りで探すという簡単ルールで、靴下はとてもオシャレなデザインに仕上がっている。このゲーム用に作ったオリジナル靴下とのこと。
R08土:『達人のピッケル』
NENの『達人のピッケル』は新人の宝石掘りとなり、場に並べられたカードを獲得して宝石を集めていくゲーム。アイテムを駆使して、崩落に気をつけながらプレイしていく。ブースにはシャベルやヘルメットを置き、ゲームの世界観を表現していた。
R25土:『SUPER POWER RALLY』
ダイスをたくさん使うゲームを作ってきたマーチヘアゲームスの新作は、40個以上(!)のダイスを使ったレースゲーム『SUPER POWER RALLY』を出展。ラリーレースを題材にしており、プレイヤーはコ・ドライバーとなって、ドライバーをうまく訓練してトップタイムで高額報酬を目指す。
R42土:『ドミ×カケ』
2020年より活動している「よっけ亭」の新作『ドミ×カケ』は、ドミノを階段状に積むバランスゲーム。手番でドミノを1つ積んでいくが、これ以上置いたら崩れる……というときにキューブを賭けることができる。ホントに崩れればキューブを獲得できるが、崩れずにドミノが置かれてしまったらキューブを取られてしまう。
2024年秋に完売したバランスゲーム『雪だるま登山隊』も併せて出品していた。
海外デビューのキッカケを強化する「海外ビジネス参加制度」
今回のゲームマーケットから「海外ビジネス参加制度」が新設された。昨今のゲームマーケットは世界中のボードゲームメーカーから注目されており、海外から買い付けにやってくる会社がたくさんある。ただ、海外メーカーから急に「契約したい」と言われても、そのメーカーがどんなところなのかわからず、対応に困るという意見があったという。実際、筆者もゲームマーケットにサークル参加した知人・友人から「よく知らない海外メーカーの人から名刺もらったんだけど……」という相談を受けたこともあった。
そこで、ゲームマーケットが海外メーカーと国内ボードゲームサークルが公式に商談ができる制度を設けた。今回はアメリカやヨーロッパ、中国のボードゲームメーカー8社が参加。ゲームマーケット公式メーカーであれば先方と安心して話を進めることができるはずだ。こうした取り組みは今後もぜひ継続してほしい。
さて、次回「ゲームマーケット2025秋」は2025年11月22日(土)~23日(日)、次々回の「ゲームマーケット2026春」は2026年5月23日(土)~24日(日)に開催される。新世代ボードゲームクリエイターが増えているので、今までにないまったく新しいゲームとの出会いに期待したい。
「ゲームマーケット」公式サイト
パソコンゲーム雑誌、アーケードゲーム雑誌、家庭用ゲーム雑誌を渡り歩き、現在はフリーのゲーム系編集/ライター。マイベストゲームは『ウィザードリィ 狂王の試練場』で、最近だと『Forza Horizon』シリーズに大ハマリ。メインPCはAlienware Aurora。セガ・レトロゲーム系メディア「Beep21」副編集長をやりつつ、ボードゲームメディア「BROAD」編集長も兼任。
「BROAD」Webサイト