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来場者数は約27,000人に。祭りの賑わいを見せた「日本の郷土ゲーム」などの特設ブースも
まず、基本情報として「ゲームマーケット2025春(以下、2025春)」の会場や来場者数をお伝えしておこう。
2025春 開催データ
- 会場:幕張メッセ 展示ホール3,4,5,6
- 出展ブース数:約1,200ブース(2日間合計)
- 来場者数:約27,000名(17日約15,000名、18日約12,000名)
ゲームマーケットが過去最高の来場者数を記録したのは、コロナ禍前の「ゲームマーケット2019秋」で約29,000名。「2025春」の来場者数はそれにかなり近づいてきたと言える。
また、2日目には人気のテーブルトークRPGサークルがいくつか出展しており(開場と同時に大行列!)、来場者の総数を押し上げていた印象だ。このバランスをうまくとり、2日間ともに来場者数が増えれば、ゲームマーケット史上最高の来場者数となる3万人超えも見えてくるだろう。
特設ブースでは郷土ゲームコーナーが盛況
ゲームマーケットは企業やサークルによるブース出展がメインだ。しかし、そのほかにもいろいろな「特設ブース」がある。その中から「日本の郷土ゲーム」にスポットを当てて紹介しよう。
ゲームマーケットには以前から「伝統ゲーム」という特設ブースが用意され「ドミノ」「バックギャモン」「将棋」といった伝統的なボードゲームを体験できるコーナーとして人気がある。
「2025春」では、全国各地に伝わる「日本の郷土ゲーム」として以下の13種類が集められた。
- 板かるた(北海道)
- ゴニンカン(青森)
- 上毛かるた(群馬)
- 投扇興(東京)
- 東八拳(東京)
- ごいた(石川)
- モザイク(岐阜)
- カロム(滋賀)
- 盤双六(京都)
- かりうち(奈良)
- 安来拳(島根)
- ウンスンカルタ(熊本)
- 島札(沖縄)
18日(日)だけの催しだったが、ここだけ普段のゲームマーケット会場とは違った雰囲気で、ゲームを楽しんでいる来場者も含めて町の祭りのような空間になっていた。
ちなみに「ごいた」は、過去に「伝統ゲーム」コーナーで扱われていたことがあるゲームだ。将来、この13ゲームからピックアップされたゲームの特設ブースが伝統ゲームコーナー内にできるかもしれない。
テーブルだけでなく畳の上に座って遊ぶコーナーもあり、同じゲームを遊ぶだけでみんなが仲良くなれそうな空間だった
ほかにもさまざまな特設ブースが出展されていた。写真を中心に紹介する。
チャック横町
「チャック横町」は外箱無し(チャック袋や封筒などに入れる)で販売数100個までという制限を設けたコーナー。ここ何回かのゲームマーケットで継続して設置されている。
参加者が減ったのか今回はコーナー自体がやや縮小していた
本当に面白いユーロゲームの世界
暮しとボードゲーム編集部が手掛ける、海外の名作・定番を気軽に遊べる定番コーナー。買い物がひと段落した人たちを中心に、とくに土曜日は賑わいを見せていた。
ステージイベント
ステージでは海外ゲームクリエイタートークショーやTRPG落語、座談会等が行われ、開演前から行列ができるステージもあった。
SPIEL Essenの責任者・Torsten Becker氏のトークステージ「SPIEL Essen スペシャルステージ2 in ゲームマーケット」
ゲームマーケット・チャレンジ
ゲームマーケット事務局から定期的に出されるお題に沿ってゲームを作ることで、特設コーナーに展示されるという企画。
今回のお題は「36枚以下のカードのみで構成されたゲーム」だった。
早期入場で完売続出! 人気作で賑わう企業ブースから10社紹介
※ 見出しにある「エリア○○(○○は数字)」は出展していたエリア番号
エリア01:アークライト
主催者でもあるアークライトのブースは、Martin Wallace氏による鉄道ゲーム『スチーム・パワー』と、アークライト・ゲーム賞2023最優秀賞を受賞した水上レースゲーム『トーネードスプラッシュ』の2作を先行発売し大人気。どちらも早々に売り切れとなった。
試遊エリアでは新作の『ワン・パーセント』が遊ばれていた。
試遊コーナーでは新作のパーティーゲーム『ワン・パーセント』で盛り上がっていた
話題作『スチーム・パワー』は本体も拡張もすべて売り切れ
エリア09:双葉社&小学館&ドロマイ
小学館と双葉社、そしてドロッセルマイヤーズが共同でブース出展。小学館からは『ボルカルス ver.2.0』、双葉社からは『世界の終わりの大運動会 -小林さんちのメイドラゴン・ボードゲーム-(以下、世界の終わりの大運動会)』を先行販売。どちらもドロッセルマイヤーズが手がけたタイトルなので、今回3社合同での出展となったようだ。
怪獣vs人間の非対称型ゲーム『ボルカルス ver.2.0』。この新版はバランス調整がされたほか、ソロプレイモードや完全協力プレイモードが加わった
『世界の終わりの大運動会』は『小林さんちのメイドラゴン』を題材にしたレースゲーム。古き良きユーロゲーム感があり、ボドゲ初心者でも十分に楽しめる
エリア26:itten
ユニークなコンポーネントでお馴染みのitten新作は、野球を題材にした心理戦ゲーム『ヒット&アウト』を先行発売。価格も2,000円とお手頃価格でルールも簡単でありながら、実際の野球に近い駆け引きが楽しめる。
ittenのブースは『ヒット&アウト』を前面に押し出しつつ、人気タイトルをズラリと並べていた
『ヒット&アウト』はコンパクトな盤面で、選手の駒はピッチャー・バッター・ランナーと個別に用意されている
エリア34:オインクゲームズ
オインクゲームズの新作は3つ。袋の中にあるウナギとヘビをつかみ取りする『ウナギかヘビか』、ランダムに並べたカードに法則を見いだす『ペチケ』、過去作『ベネチアのおみやげ』をアレンジした『フェアトレードのおみやげ』と、ゲーム性が違うものばかり。
会場限定のグッズ等もあり、試遊スペースも含めて会期中は終始賑わっていた。
イメージカラーのブルーが際立つオインクゲームズのブース
エリア46:HEY! & キューハチドッグ
「HEY!」と「キューハチドッグ」が合同で出展。
とくに人気があったのは『マッチ売りの大富豪』で、マッチ棒パズルの要領でカードの数字を変えられる大富豪。マッチをたくさん持っていれば有利かと思いきや、残ったマッチ棒は1回の手番で1つずつ戻して、カードもマッチ棒もゼロにならないとあがりにならないのがポイント。
開場後、すぐにお客さんが並んで行列になったHEY!&キューハチドッグのブース
エリア68:Engames
富山県のボードゲームショップおよび出版社のEngamesは、段ボールで作った大きな円柱の形をしたブースを設営。
先行販売のトリックテイキングゲーム『ステラクエスト』やパズルゲーム『キューブル』が好評を博していた。
オシャレなエリアがあるぞと思って近づいてみたら、すべて段ボールで作られたEngamesのブースだった
エリア69:CMON
CMONのブースでは、特製バッグを無料配布。もちろん大箱のボードゲームがいくつも入る大型のバッグなので、ブースに立ち寄った人は積極的に受け取っていた。
ブース内では新作『キャプテン・フリップ』の試遊および販売、そして2023年の発表からようやく発売間近となった『メタルギア ソリッド: ザ・ボードゲーム インテグラル・エディション(以下、メタルギア ソリッド: ザ・ボードゲーム)』などの展示を行っていた。
『メタルギア ソリッド:ザ・ボードゲーム』は何度も延期となっていたが、現在のステータスは「製造が完了し日本へ向けての輸送手配待ち」とのこと
エリア75:JELLYJELLYGAMES
ピチカートデザインのボードゲームブランド「JELLY JELLY GAMES」は、パーティーゲームの『タブートーク』(先行発売)と、お手軽トーク系パーティーゲーム『ヘンケン単語帳』(ゲムマ開催と同日発売)、しゃべってはいけない協力パズルゲーム『クワイエットハウス』(先行発売)を出展。
会話NGの『クワイエットハウス』は、駒をどこに動かすかで他のプレイヤーに考えていることを察してもらう協力ゲーム
エリア77:ジーピー
『カタン』でお馴染みのジーピーは、『ギャングポーカー』日本語版を先行発売した。前回の「ゲームマーケット2024秋」で日本語マニュアル付き英語版を発売して大好評となり、今回日本語版が正式発売となった。協力プレイ型ポーカー(テキサスホールデム)で、お互いの手札を見せずに強さ順をみんなで予想する、というもの。
『ギャングポーカー』日本語版がついに発売。何度も遊んでいるうちに、だんだんとみんなの手の内がわかってくるのが楽しい
恒例の1,000円ガチャ。開始時はいつも大勢並んでいる。今回も特賞は『カタン 3D版』(価格は税込みで46,200円)
「ゲームマーケット」公式サイト
パソコンゲーム雑誌、アーケードゲーム雑誌、家庭用ゲーム雑誌を渡り歩き、現在はフリーのゲーム系編集/ライター。マイベストゲームは『ウィザードリィ 狂王の試練場』で、最近だと『Forza Horizon』シリーズに大ハマリ。メインPCはAlienware Aurora。セガ・レトロゲーム系メディア「Beep21」副編集長をやりつつ、ボードゲームメディア「BROAD」編集長も兼任。
「BROAD」Webサイト