この記事の3行まとめ
サムザップは2024年12月13日(金)、「『呪術廻戦 ファントムパレード』呪術戦の頂点「領域展開」について」と題した記事を、自社エンジニアブログ「Sumzap Engineering Blog」にて公開しました。
同記事では、スマートフォン向けゲーム『呪術廻戦 ファントムパレード』における「領域展開」の演出をテーマに、背景の切り替えや合成など、Unityを用いた表現方法を解説しています。
領域の表現と、キャラクターの領域展開
本作における領域展開は、UnityのSceneで制作されています。
このSceneの中にはポストエフェクトや背景へのライト、パーティクルなどが含まれているほか、背景固有の設定としてキャラクターや敵に対するライト・Fogなどの表現も採用しているとのこと。これらの専用Sceneを、演出時に切り替えています。
また領域展開時には、必ず専用のカットイン動画が流れます。動画ではキャラクターを映しつつ、動画の一部を透過し、現在設定されている背景を描画しています。
領域展開の動画が終わると、バトル背景も領域に変化している必要があります。そこで、動画演出内のどこかでアルファ抜きのないフレームを作り、その裏で切り替えており、その具体的な手法が解説されています。
これを実現するには背景Sceneを一瞬で切り替えます。そのために、バトル中に発動しうるキャラクター・敵の領域は、バトル開始時にすべて読み込む工夫も施されているとのこと。
これにより、描画のON/OFFを変更するだけで、スムーズな背景の切替が実現できたと述べられています。
カットインのない、敵キャラクターの領域展開
敵キャラクターの使う領域展開はカットイン演出がないため、動画ではなく2つの背景をそれぞれ映すカメラを用意し、2枚の絵を合成する方法を採用しています。
「画面上のどのピクセルにどの背景の絵を合成するか」は、エリア指定でのマスクテクスチャを使用しています。
ただし、特定の画面におけるマスクテクスチャを手動で作ってチェックした際には、「カメラのカットを切り替えると、必要なテクスチャが変わってしまう」といった問題が発生したとのこと。
対策として、3D空間上に見えない「球」を配置し、その内側を領域としてエリアを定義。そのフレームにおけるカメラ範囲をもとに、エリア指定マスクテクスチャを制作するという方法で解決しています。
また、『呪術廻戦』の漫画原作やアニメを参考に、発動者の後方から広がるように球を拡大することで、領域の広がりを違和感なく表現しています。
記事ではほかにも、領域展開の演出時における詳細なワークフローや、「伏黒 恵」の領域展開「嵌合暗翳庭」における特殊な演出などについても解説しています。
内容の詳細は、Sumzap Engineering Blogのブログ記事をご確認ください。
『呪術廻戦 ファントムパレード』呪術戦の頂点「領域展開」について『呪術廻戦 ファントムパレード』公式サイト