同人・インディーゲーム展示・即売会「デジゲー博2024」レポート。「平成レトロ」な団地が趣深いドット絵アドベンチャーや、信号機が爆発するブロックパズルなど5作品をお届け

2024.11.14
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2024年11月3日(日)、秋葉原UDXの2階 アキバ・スクエア&4階 UDXギャラリーにて同人・インディーオンリー デジタルゲーム展示・即売会「デジゲー博2024」が開催されました。本記事では、イベントの様子や出展されていた同人・インディーゲームをピックアップして、フォトレポート形式で紹介します。

TEXT / じく
EDIT / 浜井 智史

目次

200団体以上が集結!今年も大盛況な「デジゲー博2024」

毎年11月開催が恒例となっている「デジゲー博」。今年度の「デジゲー博2024」も、おなじみの秋葉原UDX 2階 アキバ・スクエア&4階 UDXギャラリーで開催され、200団体以上のインディーゲームサークルが出展しました。

会場となった秋葉原UDXの2階 アキバ・スクエア(画像左)と、4階 UDXギャラリー(画像右)。いずれも大勢の来場者でにぎわっていた

なお、ゲームメーカーズでは「デジゲー博2023」のイベントレポートも掲載しています。こちらも併せてご覧ください。

▼過去のイベントレポートはこちら

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気になる作品たちをフォトレポート!

『Danchi Days』 作者:sandy powder/melos han-tani/mogu

『Danchi Days: Reveal Trailer (Cute Post-Cozy Japanese Adventure for Hamtaro/Earthbound/MOON Fans!)』

古い団地に住む小学6年生の少女が、夏祭りの復活を目指して参加者を集めるアドベンチャーゲームです。ゲームボーイアドバンス風のドット絵や、昔懐かしいインターネットのデザインが「平成レトロ」な趣を漂わせています。

夏祭りに招待できるキャラクターは最大で151人と大ボリューム。チラシを配って告知をするほか、住人の悩みを解決することで夏祭りに来てもらえるようになります。

キャラクターたちのホームページにアクセスすると、情報収集やミニゲームができます。

令和の時代で「インターネット」といえば、“フォロワーを集める”や“バズる”といった情報社会的な要素が思い浮かびますが、本作では夏祭りに参加者を集めるという優しいストーリーが展開されるところに好感を持ちます。

作中で訪問できるホームページは、手作りの個人サイトを思わせる「平成レトロ」なデザイン

また、団地の自然や空気感が感じ取れる「感覚ゲーム」というミニゲームも収録されています。

泥団子を集めるゲームなど、団地の世界観を反映したミニゲームが楽しめる

開発チームの1人であるsandy powder氏は、ご自身も団地に住んでいるといいます。本作を通して、「感覚ゲーム」などに込められた団地の独特な魅力や、かつて日曜朝に放映されていたアニメのような温かさを感じてほしいと語っていました。

本作は2026年にSteamでリリース予定です。

『Danchi Days』Steamストアページ『Danchi Days』公式Xアカウント

『プロジェクト・ソラリス』 作者:チーム プロジェクトソラリス

『プロジェクト・ソラリスPV(35秒 Ver)』

「おちこぼれ魔女」のソラリスが、パートナーのホムンクルス「ホム」とともに成長していく、デッキ構築型のローグライトRPGです。

ターン制のバトルシステムを採用しています。戦闘では主にホムを操作し、ソラリスはサポート要員として活躍します。

ホムの行動は、攻撃・防御など3種類の技から選択可能。一見すると普通のコマンド選択システムに思えますが、選択肢はデッキからランダムに引かれた3枚のカードで構成されます。これが本作の「デッキ構築」要素です。

画面左下に「こうげき」「ぼうぎょ」「うけながし」とホムの技が表示されている

ホムの技は、ソラリスとの「交流」により習得できます。

本作は、「戦闘」「交流」「休憩」といった複数の行動から毎回1つを選択することでゲームが進行します。プレイヤーの得意不得意を補完しながらクリアしていく面白さがゲームの魅力につながっていると感じました。

そのほかの特徴として、本作では戦闘にQTE(Quick time event)要素が導入されています。

ホムの行動時、画面下に表示されるゲージ内でカーソルが左右に揺れ動きます。タイミングよくカーソルを止めればアクション成功。攻撃を繰り出したり、敵の攻撃を防いだり、うまくカーソルを止めれば「クリティカル」も打ち出せます。

本作の開発経過を紹介する動画。ゲージの内側で動き回るカーソルをタイミングよく止めることで、ホムが攻撃や防御を行う様子を見ることができる

プログラミングを担当するtomo-mana氏に話を伺ったところ、本作は、過去に「Unity 1週間ゲームジャム」で開発したゲーム『迷宮ダイアログ』をベースに開発しているとのこと。また作中には、同じく「Unity 1週間ゲームジャム」で開発した『ホムの店番』というミニゲームを取り込んでいるそうです。

本作は2025年3月にSteamでリリース予定です。

tomo-mana氏 ブログtomo-mana氏 Xアカウント

『プロトリジゲン』 作者:テクナン

2D/3Dが1つに収められたアクションゲームです。ストーリーやギミックの中で自然に2D/3Dが切り替わることが特徴で、「裂け目」と呼ばれる箇所から両者を行き来できます。

ステージは一本道ではなく、2D側で仕掛けを動かすことで3D世界の道を開通させるといった謎解き要素もあります。試行錯誤を重ねて正解のルートを見つけ出し、道中のアクションを切り抜け、気になるストーリーを進めていく面白さがあります。

ゲーム内に登場するメモリを使うと、2Dのステージも側面視点(画像左)と俯瞰視点(画像右)で切り替えられる

開発者のテクナン氏によると、2Dアクション/3Dアクションという異なるゲームを1つにすることで新しい遊びを生み出し、そこにストーリーや各種ゲームシステムを融合させているとのことです。

ドット絵やテキストフォントなどにも、本作の独特な世界観が表れている

本作品は2024年11月にitch.ioでリリース予定です。

テクナン氏 ポータルサイトテクナン氏 Xアカウント

『シンゴウブレイカ』 作者:やなぼ~

『シンゴウブレイカ(仮) 1st PV』

歩行者信号を模した「シグナルブロック」を操作し、同じ色のシグナルを隣接させてブロックを爆発させていくパズルゲームです。

シグナルブロックは2マス分の大きさで、それぞれ「赤」か「青」のいずれかが点灯しています。点灯部分が隣接しなければ爆発しません。また、シグナルブロックは直線方向にしか移動できない制限があります。

さらに、矢印の向きにのみ動かせる「アローブロック」も混ざり込み、各ブロックが互いの行き先を阻害します。適当に動かしているとブロックが消せなくなる恐れがあり、全てのブロックを消すためには道筋を計算する必要があります。

シグナルブロックは本来の信号の向きから見て縦方向にのみ移動可能。アローブロックは矢印の向きに動かし、画面の端まで送り出すことで消去できる。黄色い枠は新たなブロックが出現する位置を示している

シグナルブロックが爆発すると、隣接していたブロックの色が「赤→青」「青→赤」と切り替わります。ブロックが消せない配置状況でも、シグナルの色を切り替えることで消せるようになるほか、爆発を連鎖させることで一気にブロックを消去できます。

さらに、シグナルの色や矢印の向きを切り替えられるスキル「ショック」も使用可能。詰んだと思える盤面でも、ギミックやスキルを駆使することで意外な突破口が開けることも。

画像中央付近のブロック2個が爆発することで、その右側にある2個の「赤」がどちらも「青」に切り替わり、自動的に隣接して爆発。さらにその右側の「青」が「赤」に切り替わり隣接可能に…と、連鎖を駆使してブロックを消去していく

開発者のやなぼ~氏に本作のアイデアが生まれたきっかけを伺ったところ、車を運転中に信号機を見たことで「誰もが知っている信号機を面白いパズルゲームにできないか」と考えたといいます。そして、駐車場の車を動かして自分の車を脱出させる『ラッシュアワー』というおもちゃをヒントに本作を開発したそうです。

本作は現在開発が続いており、itch.ioでの発表を予定しています。

『シンゴウブレイカ』紹介ページ|やなぼ~氏 個人サイトやなぼ~氏 Xアカウント

『ブルームパラダイス』 作者:H.T.Project Games

『BLOOM PARADISE – ブルームパラダイス 東京ゲームダンジョン6出展デモ』

荒らされて花が消えてしまった楽園「ブルームパラダイス」に花を取り戻すため、花の妖精「たま坊」と「はな坊」が冒険に出るアクションゲームです。

1人プレイでは「たま坊」がステージを歩くだけで床に花が咲きます。2人プレイの際は、「たま坊」か「はな坊」のいずれかが歩いた場所につぼみが育ち、もう片方が同じ場所を通ることで開花する協力ゲームとなっています。

妖精は水流を打ち出すことで、敵を倒したり、花が咲くのを妨げている床の泥を流したりできます。水に乗って一気に移動して、まとめて花を咲かせることも可能です。

壁に向かって流れる水を打ち出すと、跳ね返ってきた水流に乗って妖精も一緒に移動できる

1980~90年代のアーケードゲームを思わせるドット絵は可愛さにあふれ、シンプルなゲーム性ながら効率やスピードを求めてプレイヤーが何度もやり込める攻略性があります。

水流・プレイ中に「EXTEND」のアルファベットを収集する要素・クリア時の得点アイテム出現などは、1980年代のアーケードゲーム『バブルボブル』『レインボーアイランド』を思い出させる

開発者のひで殿氏は、以前はシューティングゲームを制作していたそうですが、花を咲かせるという優しい世界観のゲームを作りたくなり、かつてコンピュータ関連雑誌「マイコンBASICマガジン」に投稿したゲームをもとに本作を開発したそうです。

ひで殿氏は「2人プレイでは花を咲かせる工程が2段階に増えるだけでなく、相方も水に流してしまう可能性があるなどゲーム性が変わるので、ぜひ2人プレイにも挑戦して欲しい」と語っていました。

本作は2025年初頭にSteamやNintendo Switchでリリース予定です。

『ブルームパラダイス』Steamストアページひで殿氏 Xアカウント

「同人シューティングゲームキャラバン in デジゲー博2024」も6年越しに開催!

今回の「デジゲー博2024」の会期中、シューティングゲーム同人サークル「エンドレスシラフ」が独自に主催する企画「同人シューティングゲームキャラバン in デジゲー博2024」が実施されました。

企画に参加しているサークルを巡ってゲームを遊んで回り、総合スコアランキングを競う無料イベントです。総合スコア上位3名の人は表彰され、景品が贈呈されます。

また、この企画はスタンプラリーの要素も併せ持っており、スコアシートに各サークルのスタンプを押して記念に持ち帰ることができます。

総合スコア1位を記録し見事優勝したseriさんに、スコアシートと優勝トロフィーを見せていただいた

参加サークルは4階 UDXギャラリーの奥にまとめて配置されており、シューティングゲームが好きな多くのプレイヤー・ゲーム開発者が集まっていました。

企画の開催にあたり、ブースの配置場所の調整といったデジゲー博運営側からの配慮もあったといいます。

これまで「同人シューティングゲームキャラバン」は2014年・2018年と4年おきに開催されてきましたが、その後はコロナ禍の影響もあり開催が見送られ、今回ようやく6年ぶりで3回目の開催にこぎつけたそうです。

主催のエンドレスシラフの方によると、コロナ禍でリアルイベントが減り、衰えつつあった同人シューティングゲームのコミュニティを復活させたい思いもあったとのことでした。

次回はまた4年後を目安に、2028~2030年頃に開催できればとのことです。

「同人シューティングゲームキャラバン」についてお話を聞かせてもらった、エンドレスシラフのP+LuCK氏(画像左)とNICOLAI氏(画像右)

「同人シューティングゲームキャラバン in デジゲー博2024」特設サイト

2013年から開催されているデジゲー博ですが、今回の取材を通して改めて、公式サイトで掲げている「同人・インディーオンリー デジタルゲーム展示・即売会」という言葉の通り、同人やインディーでゲームを作るのが好きな人たちが培ってきた歴史やイベントの色を強く感じました。今後もそういった方々が集う場として、デジゲー博の継続と発展を望みます。

「デジゲー博」公式サイト「デジゲー博」Xアカウント
じく

ゲーム会社で16年間、マニュアル・コピー・シナリオとライター職を続けて現在フリーライターとして活動中。 ゲーム以外ではパチスロ・アニメ・麻雀などが好きで、パチスロでは他媒体でも記事を執筆しています。 SEO検定1級(全日本SEO協会)、日本語検定 準1級&2級(日本語検定委員会)、DTPエキスパート・マイスター(JAGAT)など。

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