2024年10月26日(土)、兵庫県の神戸電子専門学校・学生会館4Fにてインディーゲーム展示会「神戸ゲームラビリンス2024」が開催されました。
神戸市で初のインディーゲーム展示会だという同イベント。当日は50を超えるタイトルが展示され、会場は熱気に包まれていました。

本記事では会場の様子を紹介するとともに、展示されたタイトルの中からライターが注目した作品をピックアップしてレポートします。
2024年10月26日(土)、兵庫県の神戸電子専門学校・学生会館4Fにてインディーゲーム展示会「神戸ゲームラビリンス2024」が開催されました。
神戸市で初のインディーゲーム展示会だという同イベント。当日は50を超えるタイトルが展示され、会場は熱気に包まれていました。

本記事では会場の様子を紹介するとともに、展示されたタイトルの中からライターが注目した作品をピックアップしてレポートします。
TEXT / tyap
EDIT / 浜井 智史
『Forever Time』は、兵庫県西宮市を舞台にしたノベルゲームです。
フリーターの主人公「羽生ユウト」は、アルバイトをクビになり途方に暮れているところ、カメラを持った女性「深町なずな」と出会います。
なずなに「卒業制作で撮る作品の被写体になってほしい」と頼まれたユウトは、その依頼を引き受けることに。二人の出会いから始まる、爽やかで甘酸っぱくもどこか感傷的なストーリーに心を揺さぶられます。
「シネマティックノベルゲーム」を謳う本作には、西宮市や神戸市などで撮影した実際の写真が背景に用いられているほか、演出として実写映像が絶妙なバランス感で使用されています。
プレイ後には、まるで1本の映画を鑑賞したようなすっきりとした気持ちが胸に残ります。
本作はティラノビルダーで開発されています。開発者の橋本 英征氏によると、基本一人で開発しつつ、イラストやサウンドは他の方にお願いしているとのことです。
開発中最も大変だったのは、約1、2年ほどイラスト担当の方を見つけることができず、開発を進められなかったことだといいます。
開発の継続を諦めかけていた頃、偶然職場で出会ったのが、ティラノビルダーでゲームを開発しイラストも描いているハカル氏だったそうで、ハカル氏に本作のイラストを担当してもらえることに。
「作中に神戸が舞台となるシーンがあるので、ご当地として出展できれば面白いのではないか」と本イベントへの出展を決意。橋本氏の地元である関西への縁を感じる作品となっています。
『Forever Time』は、Webサービス「ノベルゲームコレクション」にて無料で公開中されています。また2025年春頃には、シナリオやイラストの追加、エンディングのブラッシュアップなどを行った完全版をSteamにてリリース予定です。
「初めて遊ぶ方はもちろんのこと、既にノベルゲームコレクションで遊んだ人にも楽しめるものにしていきたいです」と橋本氏は完全版への意気込みを話してくれました。
『Forever Time』公式サイト『Forever Time』公式X『とかげメトロGB』は、ゲームボーイカラーでもプレイできるメトロイドヴァニアです。
トカゲである主人公「げっち」を操作し、コオロギの一部個体が狂暴化した原因を突き止めるため、巣の中を探索します。
狂暴化したコオロギは赤色に染まっています。触れるとダメージを受けてしまうので、ジャンプでかわすか、踏んで倒しましょう。
マップにはいたるところにアイテムが隠されており、それらを拾うことで、二段ジャンプやジャンプキックといった能力を獲得できます。能力がないと進めない場所もあるため、マップをよく観察し、積極的にアイテムを探しましょう。
ジャンプキックで障害を突破!#gbstudio #Gamedev IndieGamedev pic.twitter.com/SXsD5aXk45
— aze3【BitSummit 1F-D24】 (@aze_3) June 4, 2024
試遊の際は、隠し通路でチーズを発見できました。壁の左側の柄が周りと比べて少し違うのが出入口のヒントとなっています。限られたカラーリングで表現されたヒントに、本作ならではの魅力を感じます。
開発者であるaze3氏によると、画面の端にアイテムやステージをほんの少し映すことで「ここに行きたい」と思わせるような、2Dカメラワークならではの仕込みに力を入れていると言います。
本作は、aze3氏の「手に収まる携帯ゲーム機のサイズ感でゲームがプレイしたい」という思いから、GB Studioで開発されています。また、本職が2Dデザイナー・3Dモデラーであるaze3氏にとって、プログラミングの知識がなくても作りやすい点もGB Studioの魅力の1つだそう。
aze3氏は「ある程度プレイヤーの動きを予測しながらマップを作るのですが、イベントに出展して実際に試遊をしてもらうと想定外の動きをすることがあるため、その修正が大変です」といった苦労を語りつつ、イベント出展ならではの発見も教えてくれました。
本作の完成版を2025年3月29日に大阪で開催される「ゲームパビリオンjp」に持っていくことが今後の目標とのことです。
aze3氏 公式サイトaze3氏 Xアカウント『dropin』は、サークル「QUEST」が開発する、物理演算と音楽が融合したスマートフォン・タブレット向け音楽ゲームです。
暗闇の中落ちていくボールを、ノーツにぶつかるタイミングに合わせてタップします。
ノーツの種類は、タップするだけの「反射ノーツ」と「貫通ノーツ」、矢印の方向に合わせてフリックする「フリックノーツ」、白線に合わせて長押しする「ホールドノーツ」の4種類。
「反射ノーツ」と「貫通ノーツ」の操作は同じですが、ノーツを通過した後のボールの挙動に違いがあります。「反射ノーツ」にぶつかるとボールが弾くように飛んでいき、「貫通ノーツ」はそのまますり抜けていきます。音楽ゲームとしてだけでなく、ボールの動きにも注目して楽しむことができます。
試遊版では、全5曲の中から好きな楽曲を選んでプレイできました。難易度も5種類と幅広く、初心者から上級者までまんべんなく楽しむことができそうです。
筆者はレベル4のノーマル譜面をプレイしましたが、初プレイでも遊びやすくちょうどいい難易度設計だと感じました。
本作はUnityを用いて作られています。開発チームは5名。高校時代から付き合いのあるメンバーが集まっています。
開発のきっかけを伺うと、前作の『whiz!』をコンテストに応募した際、その結果を待つ空き時間ができたことが始まりだそう。
また、サウンド担当であるNonaqua氏の作曲モチベーションが高い時期でもあったため、Nonaqua氏の楽曲にフォーカスを当てたゲームを作ろうとも考えたと語ります。
Nonaqua氏がリリースしたアルバム「Dropin:ARCHIVE」のクロスフェード動画。『dropin』に提供を予定している楽曲全てが収録されている
リズムよくタップできる爽快感を生み出すため、楽曲と譜面のズレを調整することに尽力したそうです。音ズレのタイミングは端末環境によっても変化するといい、そこも難点だったとのこと。
取材時点で楽曲は10曲完成しています。これらの譜面を制作し、2025年春頃にリリースする目標で開発を進めています。
「QUEST」公式X「QUEST」公式Youtube『Slitherise』は、とある小さな赤い惑星を舞台に、深い穴に落ちた蛇のロボットを操作して上へと登っていく物理2Dアクションゲームです。
操作はマウスをクリックして動かすのみ。蛇はマウスカーソルに追従して移動します。
蛇の進行方向はライトのように光って表示されるため、思い通りの方向に進むことができます。矢印の書かれた看板も設置されており、迷うことなくマップを攻略できるでしょう。
しかし、全てが思い通りに進むわけではありません。蛇はその体長や重力の影響によりふんわりとした独特な動きを行うため、時にはマウスの動かし方に工夫が必要なことも。シンプルながらも奥深い操作感が癖になります。
マップはただ上に登っていくだけではありません。道中のギミックも満載で、試遊版ではタイミングに合わせて動く台車のようなものに乗る必要がありました。先述した蛇の操作感により、手ごたえのある難易度になっています。
ゲームシステムとミステリアスなグラフィックが見事にマッチしており、夢中になってプレイすることができました。
本作はUtayo氏が個人で開発しています。筆者が取材をしていて最も驚いたのはその活動スピード。今年の2月から本作の開発を開始し、4度のイベント出展を経て、今年の12月頃にはSteamでのリリースを目標としているとのこと。
開発ツールにはリファレンスの多さからUnityを採用していますが、情報が多い故に、イメージしているものを実装するための調べ方に苦戦することもあるそうです。
グラフィックはKritaを使って制作しています。特に植物の描画に力を入れており、手描きのみならず、撮影した写真からシルエットを抜き出して塗ることで思い描く世界観を表現しています。
「雰囲気に最もこだわって開発しているため、雰囲気を重視したゲームが好きな方にぜひ遊んでほしいです」とUtayo氏は本作の魅力をアピールしました。
『Slitherise』SteamストアページUtayo氏 Xアカウント『巡るアトリエ棟』は、京都市立芸術大学の沓掛キャンパスを舞台にした横スクロール探索型アドベンチャーゲームです。
主人公は京都市立芸術大学の守衛となり、アトリエ棟を巡回しながら学生の悩みを解決します。試遊版では、学生たちの行方不明となった油絵を探す途中までプレイできました。
マップは京都市立芸術大学の沓掛キャンパスを可能な限り忠実に再現しているとのこと。ドット絵の雰囲気をゲーム全体で合わせるため、背景の写真は加工した上から加筆修正を行っています。
温かみのあるタッチで描かれたグラフィックと、個性豊かでありながらも現代的なキャラクターたちが魅力的な作品です。実際に沓掛キャンパスを訪れたことがなくても、どこか懐かしい気持ちになるでしょう。
本作は、京都市立芸術大学に通う学生の有志15名によって開発されています。
ディレクターの川原 奈々氏が「ゲームを作ってみたい」と願望を友だちに伝えたところ、たくさんの人がその想いに共感し、開発メンバーが集まりました。
また、ちょうどその頃に沓掛キャンパスの移転の時期が重なったことから、キャンパスでの思い出をアーカイブ化するため題材に選んだといいます。
開発メンバーが多いため、まずは全員でブレインストーミングを行ったそう。「芸大生の専攻ごとに分かれた格闘ゲーム」「移転業者に立ち向かうバトルゲーム」「沓掛キャンパス内を巡回するゲーム」という3つの企画が考案されたという
開発ツールを決める際は、比較表を作り、作りたいものを最も実現しやすいUnityを採択しました。
「卒業生の人たちにも『こういう場所があったな』と思い出してもらえるように、沓掛キャンパスの再現を頑張っています」と川原氏は想いを語ります。
本作はunityroomにて公開中ですが、今後も遊びやすくなるよう少しずつブラッシュアップを重ねる予定とのことです。
『巡るアトリエ棟』unityroomページ『巡るアトリエ棟』公式X本イベントはどのようにして実現したのでしょうか。主催者である鎌田 陽介氏にお話を伺うことができました。
鎌田氏は、神戸電子専門学校にて講師を勤めるとともに、校内のゲーム開発スタジオ「Indie Studio」にてゲームを開発しています。現在開発中のローグライクアクション『蒐命のラスティル- とこしえの迷宮城-』は、今回のイベントでも出展されました。
鎌田氏自身もゲームを開発する中で、東京のゲームイベントに遠征する機会が多かったため、近隣の関西圏にもゲームイベントを増やしたいという思いからイベント開催に至ったとのこと。
また、学生たちはイベントの出展経験がない人がほとんどのため、学校内でイベントを開催することでイベントの活気を味わってもらい、モチベーションアップに繋がってほしい狙いもあるといいます。
「イベントを開催することで、関西圏の開発者の方はもちろんのこと、インディーゲームがあまり身近でない方にも作品を知っていただき、そこからゲームが売れ、さらに新たなゲームが作られるというサイクルを作っていきたいです」と鎌田氏はインディーゲームへの支援に対する気持ちを語りました。
『蒐命のラスティル - とこしえの迷宮城 -』Steamページ『蒐命のラスティル - とこしえの迷宮城 -』公式サイト本イベントはインディーゲームの出展だけでなく、兵庫県神戸市公認VTuberである九十九みな氏とのタイアップも実施。出展作品の紹介動画や、プレイ配信が行われています。
「神戸ゲームラビリンス2024」出展タイトル紹介動画
さらに、当日はオフラインイベントを開催。会場に設置されたマイクとカメラを用いて九十九みな氏と会話ができました。
そろそろ #九十九みな さん登場ですよ!
みんな集合!!#神戸ゲームラビリンス pic.twitter.com/t29Jgui2Ez— 神戸ゲームラビリンス / 関西のインディーゲーム展示イベント (@KGLabyrinth) October 26, 2024
鎌田氏はイベント開始前、「出展者の方には予想以上に集まってもらえましたが、来場者がどのくらい来るのかは読めません」と述べていましたが、当日は試遊の絶えない作品も多く見受けられるほど大いに賑わっており、今後の開催への期待が高まるイベントでした。
「神戸ゲームラビリンス」公式サイト「神戸ゲームラビリンス」公式Xしゅーりょー!!
ご参加頂いた皆様、出展頂いた皆様!
誠にありがとうございました!!また会いましょう!!! pic.twitter.com/KAiujavnQS
— 神戸ゲームラビリンス / 関西のインディーゲーム展示イベント (@KGLabyrinth) October 26, 2024
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