2024年7月19日(金)から21日(日)の3日間、京都みやこめっせで開催されたインディーゲームの祭典『BitSummit Drift』。最終日のメインステージでは、2024年度のアワード作品を選出する授賞式が行われました。ゲームメーカーズはMEDIA HIGHLIGHT AWARD(メディア賞)として『Bionic Bay』を選出し、編集長の神山が登壇しました。
TEXT / 神山 大輝
目次
MEDIA HIGHLIGHT AWARDとして『Bionic Bay』を選出
BitSummit AWARD授賞式では例年「INNOVATION(革新的反骨心賞)」「GAME DESIGN(ゲーム・デザイン最優秀賞)」など6つの項目で表彰が行われています。今年度はゲームメーカーズがAWARDのひとつ「MEDIA HIGHLIGHT AWARD(メディア賞)」に参加し、『Bionic Bay』(Psychoflow Studio)を選出しました。
徹底的に親切&丁寧なデザインが施された点を評価
本作は『LIMBO』や『INSIDE』を彷彿とさせるギミック豊富な2Dアクションゲームで、ハイスピードな移動と手触り感のよいアクションが魅力的な作品です。キャラクターは移動とジャンプ、低い姿勢で素早く横に移動するローリングに加えて、鉄の箱や爆弾などと自分の位置を交換するアクションが行えます。
トラディショナルなゲームスタイルであり、革新性を感じる部分は少ないものの、特に2つの点が優れていると感じました。
全てが丁寧に作られていること
本作は各レベルでユニークなギミックが登場し、「ここでしか使わない」というゲームロジックが数多く登場します。新たなアクションが追加された際の視覚的に分かりやすいチュートリアルや、死亡モーションのバリエーションも含め、細部に渡って細かな造り込みが素晴らしく、作り手目線として「ここまでやるのか」と驚きを受けました。
多くの商業作品ではクオリティの担保と効率的な開発の両面を追い求めます。その過程で「ここは前パートの流用で良いだろう」などと合理的に判断します。一方、この作品は細部にわたってユニークな造りが多く、キャラクターの所作が破綻なく実装されている点などを含めて各部のこだわりに感銘を受けました。
カメラが遠いからアートスタイルがよく見える。カメラが遠いのにインタラクション箇所がよく分かる
本作はカメラが大きく引いているため、キャラクターの動きが大きいダイナミックなアクションが可能であり、さらに背景が大きく見えることから「取り残された孤独」がよく表現されていると感じました。通常、背景美術は凝れば凝るほどインタラクションできる対象が分かりにくくなり、場合によってはゲームプレイ観点からノイズになるケースもあります。
本作では爆弾などインタラクト可能なオブジェクトがプレイヤーの接近に応じてリムライト的に発光する仕様となっており、「キャラクターが掴まることができるワンドットの梯子」も、レイヤーされた後ろ側の背景がシンプルな箇所に設置されているため分かりやすいと感じました。
軽快でハイスピードなアクションとストレスの少なさが相まって、プレイフィールが非常によい、シンプルに楽しいゲームであると感じた点を評価させていただきました。
ゲームメーカーズでは今後もBitSummit記事を更新予定!
今年のBitSummitは「ひとつの完成されたゲーム」としてクオリティが高い作品が多い一方、独創的・挑戦的なタイトルも数多く見られました。ボードゲームブースの初出展や、昨年も登場した変わったコントローラーを使う「make.ctrl.Japan」などユニークなブースも多く出展しています。
ゲームメーカーズでは、今後も編集部やライターがそれぞれの目線で選んだ作品のプレイレポートを掲載予定です。どうぞ楽しみにお待ちください。
Bionic Bay バイオニックベイゲームメーカーズ BitSummit Drift 記事一覧ゲームメーカーズ編集長およびNINE GATES STUDIO代表。ライター/編集者として数多くのWEBメディアに携わり、インタビューや作品メイキング解説、その他技術的な記事を手掛けてきた。ゲーム業界ではコンポーザー/サウンドデザイナーとしても活動中。
ドラクエFFテイルズはもちろん、黄金の太陽やヴァルキリープロファイルなど往年のJ-RPG文化と、その文脈を受け継ぐ作品が好き。
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