2023年3月25日(土)、インディーゲーム展示会「ゲームパビリオンjp」が開催されました。
会場は大阪の梅田スカイビル 10階、アウラホール。インディーゲームイベントの開催地としては印象の薄い大阪・梅田ですが、全国各地からバラエティ豊かな出展タイトルが集まり、来場者も多く、活気であふれていました。
80以上のタイトルが展示されたゲームパビリオンjpの模様を、ライターが注目したタイトルのレポートとともにお届けします。
2023年3月25日(土)、インディーゲーム展示会「ゲームパビリオンjp」が開催されました。
会場は大阪の梅田スカイビル 10階、アウラホール。インディーゲームイベントの開催地としては印象の薄い大阪・梅田ですが、全国各地からバラエティ豊かな出展タイトルが集まり、来場者も多く、活気であふれていました。
80以上のタイトルが展示されたゲームパビリオンjpの模様を、ライターが注目したタイトルのレポートとともにお届けします。
TEXT / ハル飯田
EDIT / 藤縄 優佑
『パーリィ・ナイトメア』は、コミック調のグラフィックや爽快なプレイフィールを特徴とする、ステージクリア制の見下ろし型アクションゲームです。
本作では、悪夢の世界で主人公「タマシイ」を操作しながら、もう一人の自分「ホンノウちゃん」と協力して、全方位から大量に押し寄せる敵を倒します。ギリギリまで敵を引き付けたら円状に発生する「パリィ」で敵をダウンさせ、パリィ成功で溜まるゲージが最大に達したら、「バースト」で周囲の敵を一掃!その爽快感は格別の一言です。
多数の敵に囲まれるハラハラ感、バーストの爽快感と窮地を脱してホッとする安心感、そして再び敵に囲まれて緊張……という感情の起伏がクセになります。
ステージをグルグルと逃げ回りながらパリィするのが基本戦法ですが、ホンノウちゃんとの距離には気を払う必要があります。ホンノウちゃんはタマシイに追従するように動きますが、バーストなどの攻撃はホンノウちゃんから放たれるため、離れすぎるとピンチに陥ります。位置取りやとっさの判断が重要な、スリリングなアクションが楽しめる作品です。
開発を手がけるカクカクゲームス代表のチャレヒトさんによれば、「シンプルながらも気持ち良いゲーム」がアイデアのベースとのこと。かわいらしさと不気味さが共存したグラフィックや、カッコいい音楽も、心地良いプレイ体験を後押ししているように感じられました。
何と、beatmania等で有名な作曲家 @osamukubota さんに参加して頂くことになりました!
今回は、展開に合わせて変化していくサウンドをチョイ見せ。フルバージョンは、ぜひ15日の #東京ゲームダンジョン にて!
『パーリィ・ナイトメア』Steamhttps://t.co/6DA6kzBwTt#GameDev #ゲーム制作 pic.twitter.com/2MoYztuiOM
— チャレヒト@パーリィ・ナイトメア制作中 (@charehito) January 8, 2023
現在はステージやストーリー要素を追加している段階で、リリース時期は2023年秋から年末の時期を目指して開発されています。画面上が敵やエフェクトでいっぱいになるゲームが故に、内部処理を工夫する必要があるものの「変に凝らないように」と、今の魅力を失わないように務めているそうです。
インディーゲームでも人気のジャンルの一つである「ローグライク」に、アクションとカードデッキ要素を組み合わせた『CodeReactors』は、クオリティの高いアクションが楽しめた一作です。
本作では、ジャンプ・回避と近接攻撃で進むベーシックなアクションだけでなく、カードに秘められた魔法を放つ「スペルカード」による特殊攻撃が可能です。スペルカードは魔法攻撃だけでなくシールドを展開するものなど、攻守における役割もさまざま。
そんなスペルカードは、デッキに編成した順番で発動する仕組み。スペルカードは単体でも強力ですが「敵を炎上状態にするスペル」から「炎上状態の敵に大ダメージなスペル」など、コンボで発動させることで真価を発揮します。
入るたびに姿を変えるダンジョンでは、入手できるスペルカードや強化アイテムもプレイごとに異なります。入手状況や敵の特徴に応じて、デッキの編成やスペルカードの並び順に頭を悩ませることになるでしょう。
加えてアクション面の手触りも軽快で、パリィやダッシュ、バックフリップで攻撃を回避しながら敵に連続攻撃を打ち込む面白さも魅力。スペルカードと自らのテクニックを武器に、手強い敵に立ち向かいます。
開発を手がけるおにどらさんは「難易度が高いアクションゲームが好き」とのこと。今回プレイできたデモ版でも、ボスが繰り出すパリィ不可攻撃や広範囲の大技など、歯応えあるアクションを盛り上げる要素も見られました。
「理論的な部分は頭で考えて解決するんですが、グラフィックはレンダリングやライティングなど、こだわり出すとキリがないですね……」と悩みもあるようですが、会場では、かわいいキャラクターの滑らかなモーションが注目を集めていました。
現段階ではベースとなる部分が完成して「1割から2割程度」の進捗であり、2023年末から来年初頭のリリースを目指しているそうです。
ゲームパビリオンjp内では、有志が企画・運営する「プチオンリー」も開催され、プチオンリーの一つである「インディーロボゲー祭」は、10作品が集結する大きなイベントとなっていました。
VR作品やツインスティック+フットペダルで操縦する作品など、熱の入ったタイトルが並ぶなか、するめ工房の『PROJECT SIX』もこだわりの強さが印象に残るロボゲーでした。
本作は、パーツや武装をカスタマイズ可能な二足歩行型の機体「イカルス」を操ってミッションをクリアしていく、スピード感あふれる3Dアクションゲーム。高速ダッシュやジャンプ、両腕・両肩に装備した武器を使い分けながら攻撃などは快適に行えたうえ、残弾数管理もシビアではありません。そのため、目の前の敵を倒すことのみに集中できました。
空中戦もしやすく、多数の敵の攻撃をかいくぐりながら戦う様は「これぞロボゲー!」という気持ちに。それでいてグラフィックのクオリティも高く、ブースの前で足を止めて画面に見入ってしまう来場者の姿も見られました。
普段はCGデザイナーとしてのお仕事をされているという開発者の方にお話を伺うと、元々は「会社で使うことになったUnreal Engineを自習するために触りはじめた」ことが本作のきっかけであるそうです。
ゲームタイトル名や見た目からわかる通り、本作はあるメカアクションゲームシリーズの影響を大いに受けているとのこと。たしかに、HUDの表現や音声合成ソフトを駆使したナビゲーターの音声など、ロボットものが好きなら外せない要素が網羅されています。
メカカスタマイズ要素も、ロボゲー愛を強く感じるポイント。「パーツの性能を調整できる機能を盛り込んでいるので、見た目も自分好みにしやすくしています」と、見た目へのこだわりを感じさせてくれます。
現時点ではゲームの土台となる部分が完成したばかりで、リリース時期については「早くても来年」とのこと。「主役のメカや映像のディテールにはこだわっていきたいです」と、さらなるクオリティアップを目指す強い意欲を語っていただきました。
プチオンリー「爽快☆シューティングゲームオンリー」では、その名の通り眩しいばかりの弾幕が飛び交うシューティングゲームが集結。オンリー参加タイトル以外でも多数の作品が出展されていたシューティングゲームのなかでも、一風変わったビジュアルで異彩を放ったタイトルが『闘う受験生 Entrance Exam』です。
作品名の通り、大学受験に挑む学生が主人公のシューティングである本作。社会教師が日本列島を投げつけたり、英語教師の英字ラッシュをしかけてきたりと、科目にちなんだ弾幕がプレイヤーを襲います。
科目別に練習できる「模試」モードや攻撃技「鉛筆ころがし」など、勉強関連のフレーズが随所に盛り込まれているのもポイント。制限時間内に教師を倒して問題をクリアしても、被弾が多いとテストの結果が悪くなってしまう仕組みなのもユニークです。
プレイしながら「あー、このテストはもうダメだなぁ」なんて懐かしい気持ちも味わえてしまいます。多少は被弾してもゲームオーバーにはならないので、初心者でも遊びやすいゲームともいえるでしょう。
過去に制作した作品が、ゲームクリエイターズギルド主催のコンテスト「ゲームクリエイター甲子園 2022」で好評だったことを受けて、思い切って自身のイラストの“ゆるさ”を面白さとして生かす方向で本作を制作していると話してくれたのは、開発者のヘソライダーさん。
「コルーチンでの制御が意図しない動きをしてしまったり、プレイ中に会話シーンに移行したのに弾が撃ててしまったり」と、開発での苦難も数多くあったそうですが、無事にゲームは完成。フリーゲームとして公開されているので、興味のある方はプレイしてみてください。
「難易度の調整箇所や、スコアを偏差値で評価する機能など、追加・改修したい要素もあるんです」と、さらなるアイデアものぞかせたヘソライダーさんは、鳥取大学の学生。「鳥取大学電算研ゲーム開発班のタイトル『波動対戦』もよろしくお願いします!」と、PRも忘れませんでした。
関西圏でよく知られているインディーゲームイベントといえば、京都で開催されている「BitSummit」をイメージする方は多いでしょう。そんなエリアで新たに登場したゲームパビリオンjpは、どう受け入れられるのかが少し不安に思ったのですが、イベント中は盛況で居心地も良く、杞憂に終わりました。
出展者・来場者の方々にお話を伺うと、学生さんや西日本在住のクリエイターさんも多かったように思います。イベント開催日は春休み中であり、開催地の梅田のアクセスの良さも相まってか、なかなか関東圏のイベントに出展・参加できないインディーゲームファン・クリエイターにとって、非常に良い機会になったのではないかと想像します。
主催者の方もイベントを振り返り「イベント発表後から反応は好感触で、いざ当日を迎えてみると想像以上の方々にご来場いただけました。本イベントに参加いただいた出展者・来場者の方々には感謝の念に堪えません」とコメント。次回以降の継続した開催にも期待が持てるほど、良い雰囲気のイベントでした。
お疲れ様でした。#ゲームパビリオンjp pic.twitter.com/6xdQzLjyPt
— ゲームパビリオンjp準備会 (@gamepavilion_jp) March 25, 2023
大阪生まれ大阪育ちのフリーライター。イベントやeスポーツシーンを取材したり懐ゲー回顧記事をコソコソ作ったり、時には大会にキャスターとして出演したりと、ゲーム周りで幅広く活動中。
ゲームとスポーツ観戦を趣味に、日々ゲームをクリアしては「このゲームの何が自分に刺さったんだろう」と考察してはニヤニヤしている。
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