この記事の3行まとめ
日本時間2022年9月28日から9月29日の2日間にわたって行われたIntel® Innovation(※)でインテルコーポレーションCEOであるパット・ゲルシンガー氏が基調講演を行い、さまざまなハードウェアやソフトウェア、サービスにおける新しい製品、技術の情報が発表になりました。
※ インテルの年次カンファレンスイベント。もう1つの年次イベントである「Intel®Vision」に比べると技術的な内容が発表される傾向にある
「第13世代インテル®Core™プロセッサー」の発表
フラッグシップとして期待されるCPUでは、インテル®Core™ i9-13900Kを筆頭とした第13世代インテル®Core™プロセッサー・ファミリーの情報が公開されました。最大24コア、32スレッド、最大クロック数5.80GHzで動作し、ゲーム、ストリーミング、録画、コンテンツクリエイトなどにおいて最高レベルのユーザー体験が可能になると発表されています。
オーバークロック(※)についても比類のないオーバークロック体験とうたい、エキスパートから初心者までユーザーは最小限の労力でオーバークロックを実施できると語られました。
※ CPUなどを定格の最高数値を上回る周波数で駆動させること。消費電力・発熱が増加する、安定性が低下するなどのリスクがあるが、より高いパフォーマンスが得られる場合がある。
第13世代インテル® Core™ デスクトップ・プロセッサー Kシリーズは2022年10月20日に発売が予定されています。
詳しいスペックなどについてはプレスリリースをご確認ください。
「第13世代インテル®Core™プロセッサー」発表についてのプレスリリース『インテル®Arc™ A770 GPU』の販売価格と販売開始日を正式発表
また、今年発表されたインテルの新たなゲーミングGPUブランド『インテル®Arc™ A』シリーズに関して、最上位モデルである『インテル®Arc™ A770』の小売価格と販売開始日も正式発表されました。
発表によると、販売開始は(米国太平洋時間)10月12日(水)、販売価格は329ドルからとなる予定です。
AIによるゲーミング性能アクセラレーター「XeSS」
『インテル®Arc™ A』シリーズに搭載される独自のAIディープラーニングによるスーパーサンプリングを用いたアップスケーリング技術「XeSS」についても紹介され、年内に20以上のタイトルで利用可能になる見込みだと発表されました。
XeSSのSDKはインテル®Arc™ A770の発売に先駆け、1.0がGitHub上で公開されています。
その他にもさまざまな新技術やサービスなどが発表されています。詳細はプレスリリースや基調講演動画をご確認下さい。
『第13世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー』公式ページプレスリリース
以下、プレスリリースから引用です。
2日間にわたるIntel® Innovationで、第13世代 インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー、Intel® Developer Cloudの拡大、インテル® Geti™ コンピューター・ビジョン・プラットフォーム、グラフィックスの選択肢拡充を発表
インテル コーポレーションは、2回目の開催となる年次のIntel® Innovationイベントで、多数のハードウェア/ソフトウェア開発者参集のもと、オープン、選択の自由、信頼性を基本理念とするエコシステムに向けて、シリコンレベルで「Systems of Chips」を実現させるオープン・スタンダードの推進から、効率的かつ移植性の高いマルチアーキテクチャーAI(人工知能)の開発まで、インテルが進めてきた数々の最先端テクノロジーを公開しました。
またインテルは、広範な開発者エコシステムの支援として、課題の解決と今後、数世代にわたるイノベーションの実現に寄与するハードウェア、ソフトウェア、サービスなど、多岐にわたる新製品の発表も行いました。
インテル コーポレーション CEO(最高経営責任者)のパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)は「この先の10年も、あらゆるモノのデジタル化が続くでしょう。コンピューティング、コネクティビティー、インフラストラクチャー、AI、センシングという5つのSuperpowersの基盤技術が、世界の仕組みを大きく変えていきます。この未来を築く担い手は、ソフトウェアとハードウェアの両方の開発者です。開発者は実現できることをさらに前進させ、まさにマジシャンと言えます。このオープン・エコシステムの育成は、インテルが目指すトランスフォーメーションの中心であり、開発者コミュニティーはインテルの成功に不可欠な存在です」と述べています。
早期のハードウェア提供と簡素化されたAIによる開発者の生産性向上
ゲルシンガーは基調講演で、開発者が直面している多くの課題の中から、特定ベンダーへの依存(ベンダーロックイン)や最新ハードウェアの利用、生産性と市場投入に要する時間、セキュリティーなどを取り上げ、解決策となるさまざまなソリューションを提示しました。その一部は次の通りです。
Intel® Developer Cloudは、インテル® oneAPI ツールキットやインテル® Geti™ プラットフォームなど、パフォーマンスの最適化を念頭に設計された開発者用のツールやリソースとの併用により、インテル® プラットフォーム上に構築されたソリューションの市場投入までの時間を短縮します。
テクノロジー・ポートフォリオの拡大がもたらす柔軟性と選択肢
ゲルシンガーはさらに、インテルの製品ポートフォリオ全体にわたる数々の進展も紹介しました。
「チップ製造の新時代」の到来を告げるシステム・ファウンドリー
ゲルシンガーの基調講演にはSamsungとTSMCのトップリーダーもビデオ出演し、チップレットのオープン規格「Universal Chiplet Interconnect Express(UCIe)」コンソーシアムのサポートを表明しました。UCIeコンソーシアムは、最先端のパッケージング技術の統合に向けてさまざまな企業の連携を図り、異なるプロセス技術に基づいたチップレットの設計と製造を可能にするオープン・エコシステムの構築を目指しています。半導体最大手3社と、80社を超える半導体業界の大手企業がUCIeに参加したことを受け、ゲルシンガーは「今こそ現実にするタイミング」と述べています。
ゲルシンガーは、チップレットによる顧客とパートナーへの新たなソリューションの提供を通じてプラットフォーム・トランスフォーメーションをリードしていくため、ウエハー製造、パッケージング技術、ソフトウェア、チップレットでのオープン・エコシステムの4つの主要コンポーネントを基に「インテルとIntel Foundry Services(IFS)がシステム・ファウンドリー時代の先駆者となります。かつては不可能とされていたイノベーションの実現が、チップ製造で全く新しいさまざまな可能性を切り拓いています」と述べました。
インテルは半導体開発でのイノベーションとして画期的なプラグ型コパッケージ・フォトニクス・ソリューションも事前公開しました。光接続は、特にデータセンターでチップ間の帯域幅を新たな水準に引き上げると期待される反面、製造には難易度が高く、また多大なコストも要します。インテルの研究者チームは課題解決に向け、堅牢で歩留まりも高い、プラグ型コネクターを用いるガラスベースのソリューションを考案しました。このソリューションは製造工程の簡素化とコスト削減を可能にし、将来的なシステムとチップパッケージのアーキテクチャーに可能性をもたらします。
未来の創造には、ソフトウェア、ツール、製品に加え、資金も必要です。インテルは年初に10億ドルのIFSイノベーション・ファンドを創設しました。このファンドは、アーリーステージのスタートアップ企業から歴史のある企業まで、ファウンドリー・エコシステムに革新的なテクノロジーをもたらす企業を支援します。インテルは本日、このファンドが支援する第一弾の企業を発表しました。半導体スタック全体にイノベーションをもたらす多様な企業が揃いました。
本日の発表は、Intel® Innovationで公開される最新情報のほんの始まりにすぎません。明日、インテルCTO(最高技術責任者)グレッグ・ラベンダー(Greg Lavender)が、ユビキタス・コンピューティングによりソフトウェアのスピード感でイノベーションが生み出され、無限のビジネス機会が創出される仕組みやと、開発者が潜在能力を最大限に引き出せるようにインテルが現在取り組んでいる内容について説明します。また、今後展開予定のテクノロジーの一部も紹介する予定です。サプライズゲストの登場にもご期待ください。
注記:
第12世代 インテル® Core™ プロセッサー、AMD Ryzen 9 5950X、AMD Ryzen 7 5800X3Dとの比較を含め、2022年9月7日現在の性能評価と、第13世代インテル® Core™ プロセッサーに備わる独自の機能に基づきます。詳細については、http://www.intel.com/PerformanceIndex/(英語)を参照してください。結果は状況によって異なります。
インテル® Unison™ ソリューションは現時点で、対象のインテル® Evo™ デザインを基盤とするWindowsベースのPCでのみ利用できます。また、AndroidベースまたはiOSベースのスマートフォンとのみペアリングが可能です。すべてのデバイスが対象のOSバージョンに対応している必要があります。セットアップ要件を含めた詳細については、https://www.intel.com/performance-evo/(英語)を参照してください。結果は状況によって異なります。