この記事の3行まとめ
- トヨタコネクティッド北米法人のTCNA、「ゲームエンジン」と称した内製3Dツール「Fluorite」を発表
- UI開発フレームワーク「Flutter」をベースに構築し、3DシーンをFlutterのウィジェットとしてDartで管理できる
- オープンソースとしての提供が予定されているほか、コンソールゲーム機をサポートするといった展望も語られている
トヨタコネクティッドの北米法人であるToyota Connected North America(TCNA)は2026年2月1日(現地時間)、同社が「ゲームエンジン」と謳う内製3Dツール「Fluorite」を発表しました。
本ツールはオープンソースとしての提供が予定されており、記事執筆時点では公式サイトが公開中。今後サイト上で順次続報を公開していくとしています。
(画像は「Fluorite」公式サイトより引用)
「Fluorite」は、TCNAが主導のもとVery Good Venturesと共同で開発が進められている、「Flutter」(※)をベースに構築されたツール。
※ Googleによって開発されたオープンソースのプログラミング言語「Dart」を用いてUIを開発できる、同じくGoogle製のオープンソースフレームワーク
主に自動車のデジタルコックピットなど、IVI(※)における利用が想定されていますが、同社は本ツールを「ゲームエンジン」の名称で発表しています。
※ In-Vehicle Infotainmentの略。「Infotainment」は「インフォメーション」と「エンターテインメント」からなる造語で、情報と娯楽が一体となったサービスやシステムのこと
(動画はは「Fluorite」公式サイトより引用)
本ツールは、2026年1月31日~2月1日(現地時間)にベルギーで開催されたカンファレンス「Free and Open Source Development European Meeting(FOSDEM) 2026」における同社の講演で発表されました。
講演によると、同社ではすでにFlutterを用いた車載システムを実用化していましたが、従来の仕組みでは2Dの静的なインターフェースしか実装できず、3Dによる表現力に制約があったといいます。
アンリアルエンジン・Unity・Godot Enginといった既存のゲームエンジンを採用することも検討しましたが、ライセンス料の都合やリソース消費といった要件を満たさなかったことから、同社独自の内製ツールを開発するに至ったとのこと。
(画像はFOSDEM公式サイトの講演ページに掲載された講演動画より切り出して引用)
本ツールは、Flutter、Simple DirectMedia Layer(※1)、Google Filament(※2)といったオープンソースのライブラリをもとに構築されています。
※1 入力システム・サウンド・描画処理などOS固有のAPIの差異を吸収し、統一されたインターフェースを提供するライブラリ
※2 Googleが開発・提供する物理ベースのレンダリングエンジン
アーキテクチャとしてはEntity Component System(※)を採用。プログラミングは基本的にDartで完結しますが、ツールの中枢部分はC++で記述されており、メモリ効率の最適化により高速な処理を可能としています。
※ 実装単位を、IDとなる「Entity」、データ構造を定義する「Component」、Component同士の振る舞いを定義する「System」に分離する設計手法。並列処理の活用により大量のオブジェクトを高速に処理できるといった特徴を持つ
(画像は「Fluorite」公式サイトより引用)
3DシーンはUIと同様にFlutterのウィジェットとして扱われるため、Dartのスクリプトによってレイアウトの制御などが可能です。
そのほか、glTF 2.0を標準サポートしており、Blenderなどで作成した3Dモデルを直接インポートできることなどが講演で語られています。
ホットリロードにも対応。動画は赤色のライトを紫色に変える場面(動画は「Fluorite」公式サイトより引用)
なお、本ツールは今後モバイル(iOS / Android)やPC(Windows / macOS / Linux)、そしてコンソールゲーム機を含めたマルチプラットフォームに対応するといった展望が語られています。
詳細は、「FOSDEM」の講演ページや「Fluorite」公式サイトをご確認ください。
Fluorite - console-grade game engine in Flutter | FOSDEM 2026「Fluorite」公式サイト