この記事の3行まとめ
- Ubisoftの研究開発部門「Ubisoft La Forge」、画像からPBRマテリアルを生成するAIモデル「CHORD」をオープンソースで公開
- ノードベースでAI画像生成機能を使用できる「ComfyUI」で「CHORD」を使用できるノードセットも公開された
- 「CHORD」は学術研究目的に限り非商用で使用可能
Ubisoftの研究開発(R&D)部門である「Ubisoft La Forge」は2025年12月9日(火)、1枚の画像からPBRマテリアルマップを生成するAIモデル「CHORD(Chain of Rendering Decomposition)」をオープンソースで公開しました。
本モデルに関する論文は、2025年12月15日(現地時間)より香港で開催される「SIGGRAPH Asia 2025」にて発表予定。イベント開催に先駆けて、モデルの概要や開発事例を紹介した記事が、同社の公式ニュースページにて公開されています。
(画像は公式ニュースより引用)
Ubisoft La Forgeは、AIを用いて高品質なPBRマテリアル(物理ベースでレンダリングされたマテリアル)を制作可能とするパイプライン「Generative Base Material」について、プロトタイプの研究開発を続けています。
このパイプラインは、「テキストプロンプトなどによるテクスチャ画像の生成」「作成した画像から材質を推定」「テクスチャのアップスケーリング」という全3層で構成。各層ではそれぞれ異なるAIモデルを使用しています。
このたび公開された「CHORD」は、パイプラインの2層目にあたる「作成した画像から材質を推定」の工程で用いられるモデル。入力された画像のアルベドやカラーマップを解析し、ノーマル(法線)やハイト(高さ)、ラフネス(粗さ)などのマップを生成します。
「Generative Base Material」パイプラインの構成。「CHORD」はこのうち2番目(画像中央)で使用されるAIモデル(画像は公式ニュースより引用)
本モデルの特徴は、名前の一部に含まれる「Chain」のとおり、一連の推定プロセスを連鎖的に行うこと。
このプロセスでは、まずベースカラーを解析し、その後、ノーマルやハイトを計算。次にそれらのマップをレンダラーに入力して合成画像を生成し、ラフネスや金属度を推定するといったフローで生成されます。
画像右の「Stage 2」が、「CHORD」の担当する生成プロセス(画像は公式ニュースより引用)
「CHORD」の公開に併せて、ノードベースで画像をAI生成できるGUIツール「ComfyUI」で「CHORD」を使用するためのカスタムノードセットが、オープンソースで公開されました。
なお、「CHORD」および「ComfyUI」のカスタムノードセット・サンプルワークフローは、学術研究を目的とした場合に限り非商用で使用可能。ソースコードや生成されたマテリアルの商用利用は不可となっています。
ComfyUI上でノードをつなぐことで、第1の工程である「テクスチャ画像の生成」から各マップの生成までを実装可能(画像はComfyUI公式ブログより引用)
「CHORD」の詳細は、公式ニュースやGitHubをご確認ください。
「Generative Base Material: An Open-Source Prototype for PBR Material Estimation Debuting at SIGGRAPH Asia 2025」Ubisoft公式ニュースページ「CHORD」GitHubリポジトリ