インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン10」レポート。『8番出口』コタケ氏の新作ゲームや、終末世界で少女が日本縦断するADVなどを紹介

インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン10」レポート。『8番出口』コタケ氏の新作ゲームや、終末世界で少女が日本縦断するADVなどを紹介

2025.12.02
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2025年11月9日(日)、東京都立産業貿易センター浜松町館の3階・4階展示室にてインディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン10」が開催されました。

本記事では、出展作品の中からライターが注目したタイトルをピックアップして紹介します。

TEXT / 種村朋洋

EDIT / 浜井 智史

目次

出展団体数は300超!2,700人以上が来場した「ゲムダン10」

「東京ゲームダンジョン10」の会場は、毎回恒例の東京都立産業貿易センター浜松町館。今回も2階・3階展示室の2フロアが使用され、300を超えるインディーゲームが集結。来場者数は2,700人以上と、前回に匹敵する規模の大盛況となりました。

来年以降の「東京ゲームダンジョン」の会場は、2027年2月開催の「ゲムダン15」まで今後5回にわたり、東京都立産業貿易センター浜松町館に決定しています。

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気になる作品たちをフォトレポート!

『Pale Dots』/ KOTAKE CREATE

『Pale Dots』は、『8番出口』『8番のりば』を手掛けたKOTAKE CREATE氏が開発を進める3Dアクションゲームです。

プレイヤーは未知の惑星に不時着した宇宙飛行士となり、荒涼とした惑星の探索を開始します。

探索を進めていくと、空にはプレイヤーの何倍も大きな謎の生物が飛来します。その脅威にさらされながら、謎に満ちた惑星を探索するというのが本作のコンセプトとなっています。

本作の設計についてKOTAKE CREATE氏は、「巨大な物がもたらす脅威と、プレイヤーの孤独感」を演出することを心がけていると語りました。

本作はもともと『STRANGE SHADOW』というタイトルで発表されていました。その名称は「巨大生物の姿が遠くに見える」シチュエーションに由来しています。

タイトル変更に至った理由は「開発が進むにつれて、より深い意味付けを必要に感じたから」とのこと。その真意は本作をプレイした先で明らかとなるかもしれません。

同氏は今回初めて「東京ゲームダンジョン」に出展したそう。出展の決め手として、会場や展示ブースの広さを挙げていました。過去に一般参加者として来場した際も、会場の広々としたスペースに魅力を感じたそうです。

『Pale Dots』はSteamにて配信予定です。

『Pale Dots』SteamストアページKOTAKE CREATE氏 Xアカウント

『散るプラネット(Chill Planet)』/ aozorite

『散るプラネット(Chill Planet)』PV第1弾

『散るプラネット(Chill Planet)』は、隕石の衝突により3ヶ月後に地球の滅亡が予告された世界を舞台とするゲーム。

鹿児島で生まれ育った主人公・大原陽奈子(おおはら ひなこ)は、地球最期の日が迫りつつある中、かつて両親が訪れたことのある北海道を目指して日本縦断の旅に出発します。

本作のゲームシステムは、目的地までの道のりを「所要ターン数」として、ターンを消費しきる=目的地に到着するために集めたアイテムでビルドを組み上げるというもの。

陽奈子は2種類のパラメータ「HP奈子のやる気イント)」と「STナ)」を持っています。1ターンごとに手札からカードを使用することでHP・STを管理し、道中それらを切らさずに所要ターン数を全て経過させることでステージクリア。

目的地では旅の様子を垣間見るストーリーが進行するほか、旅の過程でさまざまな寄り道スポットを訪れることで、旅路を有利に進めるアイテムを手に入れることができます。

画面上に表示されている緑のパラメーターが「HP(陽奈子のやる気ポイント)」、青が「ST(スタミナ)」。画面下のカードを使用してHP・STを管理する

道中では実在するさまざまなスポットに立ち寄ることができ、お菓子などのアイテムを獲得可能。カード追加や元気の回復といった恩恵を受けられる

目的地に到着すると陽奈子のストーリーパートが見られるほか、パラメーター上昇などの効果も発生する

本作を開発するのは、インディーゲーム制作チームの「aozorite(アオゾライト)」企画のasaka氏を中心に、イラストレーター、ライトノベル作家、プログラマーなど、さまざまなジャンルで活躍する有志のクリエイターで結成されています。

本作の可愛らしいキャラクターやUIデザインは、イラストレーターのれつな氏が担当。同氏はゲーム会社での制作経験を持ち、VTuberのキャラクターデザインなども手掛けています。

作中では登場人物のキャラクター性が全面に押し出されています。開発陣も「ユーザーに愛してもらえる魅力的なキャラクターを届けたい」という思いが強まり、モチベーションにも繋がったといいます。

画面右のキャラクターは、旅先で陽奈子と出会う専門学生の赤坂愛依(あかさかめい)。こうして旅に同行する仲間たちが増えていく

「3ヶ月後に隕石で滅亡する」という悲痛な運命と、可愛らしいビジュアルがギャップのある世界観を構築している本作。そのテーマ性についてasaka氏は、「世界が終わる直前に社会のしがらみから開放されることに、ある種の癒やしを感じた」といいます。

デッキ構築パートでも、同氏が仕事で疲れたときにデッキ構築型ゲームで遊んだ体験をもとに、プレイヤーの負担を減らしつつも程よい作業感のあるバランスを心がけているそうです。

仕事終わりの夜など、日々の疲れが溜まっている方々にのんびりと遊んでもらえるような、癒やしを届けるためのゲームデザインにこだわっていると語っていました。

『散るプラネット(Chill Planet)』は2026年にSteamにてリリース予定です。

『散るプラネット(Chill Planet)』Steamストアページaozorite 公式Xアカウント

『シンヤノイズクラブ』/ 仕様です。

『シンヤノイズクラブ』は、深夜ラジオ番組をテーマにしたテキストアドベンチャーゲームです。

とある深夜ラジオ番組のDJが突如スキャンダルによって降板。プレイヤーはその代打で番組DJを務め、一晩で聴取率1位を取ることを目指します。リスナーの注目を引くような話題運びを考えながら、番組に寄せられたメールを選択してトークを進めます。

そのほかにも、放送中に起きるトラブルをCMの間に解決するといったスリリングな展開も用意されるとのこと。

プレイヤーが選んだトーク内容に応じて、リスナーも様々な反応やコメントを見せる

開発者の「仕様です。」氏は、普段はプランナーとしてコンシューマーゲームの開発に携わっているそう。本作では、キービジュアル以外の全てを1人で制作しています。

同氏は以前にも深夜ラジオをテーマとした別企画を構想しており、そのラジオパートを検証するために作り始めたゲームが本作に発展していったそうです。

「深夜ラジオ」というテーマからゲームとして面白くするために必要な要素を考え、「マイナーなラジオ番組が一晩で聴取率1位を獲得する」というドラマチックな状況を多くのプレイヤーに共感してもらえるような作りを目指しているとのこと。

『シンヤノイズクラブ』は現在鋭意開発中。なお同氏のBOOTHでは、本作のパイロット版が無料で公開されています(Windows版/Mac版)。

『シンヤノイズクラブ』パイロット版|ふりーむ!仕様です。氏 Xアカウント

『Skeleton: Outer Cosmos』/ ヤマバッハゲームズ

『Skeleton: Outer Cosmos』第0弾PV

『Skeleton: Outer Cosmos』は、人型ロボット「スケルトン」に搭乗して異星を探検するVRクラフトサバイバルゲームです。

スケルトンは、外部パーツを組み替える「アセンブリ」によって性能や動作をカスタマイズ可能。機体に銃火器などを装備することもでき、こちらも自由にカスタマイズできます。

完成したオリジナルのスケルトンに乗り込み、いざ異星に進出。広大な大地に徘徊する危険な敵性ロボットたちを、さまざまな武装を駆使して撃破していきます。

本作は1年半ほど開発が続けられており、現在のゲーム形式に固まったのは昨年10月頃だといいます。

開発チームのヤマバッハ氏に話を伺うと、当初は同氏とプログラマーの2人で開発を進めており、その後デザイナーとモデラーがチームに参加。専門的な知見が加わったことで仕様を見直すきっかけにもなったそうです。

開発の工夫について聞くと、とくにUIの実装に苦心したとのこと。VRゲームはプレイヤーの視線移動をコントロールしにくく、画面上で情報を伝えることが困難だといいます。

本作では、スケルトン搭乗中と降りた状態でUI表示を切り替えています。搭乗中はHPバーや敵の位置など戦闘に関わるUIをHUDとして表示。それ以外の場面では、メニューの呼び出しなど必要に応じてUIを表示させる仕組みにして、画面構成を極力普段目にする景色から乖離しないようにしています。

生身ではありえない強靭な体とパワーを誇る存在になることで非日常感を堪能できるロボットゲームの魅力と、自由な発想で遊べるクラフト要素を組み合わせ、VRで気軽にロボットゲームならではの楽しさを味わえるようにこだわりを込めているのだと同氏は語りました。

『Skeleton: Outer Cosmos』は、Steamでの配信に向けて開発が進められています。

『Skeleton: Outer Cosmos』公式サイト『Skeleton: Outer Cosmos』公式Xアカウント

「東京ゲームダンジョン」は今後も「個人・小規模チームのためのインディゲーム展示会」として継続的に開催されていきます。次回の「東京ゲームダンジョン11」は、東京・浜松町にて2026年2月8日(日)に開催予定です。

なおイベント主催の「ゲームダンジョン事務局」は、2025年12月27(土)に大阪・堺筋本町で「大阪ゲームダンジョン」を開催します。これまで東京内で開催されてきた「ゲームダンジョン」において、初の関西圏での開催となります。

「東京ゲームダンジョン」公式サイト「東京ゲームダンジョン」公式Xアカウント
種村 朋洋

ゲームデザインとプレイヤーのインタラクションを考察しながらゲームを遊ぶのが好きです。

ゲーム以外では謎解きイベントや漫画が好きです。

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