この記事の3行まとめ
- レンダリング効率向上を図るオープンソースのライブラリ「OpenQMC」が公開
- VFX制作プロダクションのFramestoreが開発し、Academy Software Foundationのプロジェクトとして公開された
- モンテカルロ法に比べ、ノイズの収束率が向上しやすい準モンテカルロ法を起用している
映画・メディア業界のオープンソース開発を推進する「Academy Software Foundation(以下、ASWF)」は2025年10月7日(現地時間)、オープンソースのライブラリ「OpenQMC」を、同団体のブログにて発表しました。
(画像はASWF公式ブログより引用)
OpenQMCは、映画やゲームなどにおけるレンダリングの忠実度と効率を向上させることを目的とした、準モンテカルロ法(Quasi-Monte Carlo:QMC)を使ったオープンソースライブラリです。Apache License 2.0のもと、GitHubにてソースコードが公開されています。
(画像はGitHubより引用)
このライブラリはVFXプロダクションのFramestoreが開発。同社のレンダラー「Freak」の一部として制作現場で活用されてきたものであり、このたびASWFの公式プロジェクトとして受け入れられました。
なお、OpenQMCは『ウィキッド』『F1』『ヒックとドラゴン』といった映画の制作でも活用されたことも同ブログにて発表されています。
そんなOpenQMCの特徴は、レンダリング時にモンテカルロ法ではなく準モンテカルロ法を採用している点にあります。レンダリングの処理には、光の経路をシミュレーションするためにランダムなサンプルを選ぶモンテカルロ法が使われますが、サンプル数が少ないと画像にノイズが生じやすい課題を抱えていました。
OpenQMCでは、モンテカルロ法と比較してノイズの収束率が向上する準モンテカルロ法を起用しており、Framestoreは解析例を通じて、サンプル数が少ない状況でのノイズ低減と効率改善が期待できると述べています。
(画像はGitHubより引用)
このライブラリはC++14に対応したヘッダーオンリーのライブラリとして提供されており、既存アプリへの組み込みが容易な点も特徴としています。また、CPUとGPUの両方をサポートしており、x86-64、AArch64、NVIDIA GPUといったプラットフォームやアーキテクチャにも対応しています。
OpenQMCの詳細は、公式サイトやGitHubをご確認ください。
OpenQMC Becomes an Academy Software Foundation Project「OpenQMC」公式サイト