2025年4月13日(日)、埼玉・川越でオープンタウン型のゲームイベント「ぶらり川越 GAME DIGG」が開催されました。
メイン会場は100年以上の歴史を持つ文化財建築「コエトコ(川越市文化創造インキュベーション施設)」と「りそなコエドテラス」の2箇所。屋内外でインディーゲームやアナログゲームが展示されたほか、小江戸とも呼ばれる歴史ある川越の地で、ポストカードラリーやミニ音楽ライブなども催されました。町全体を巻き込んだ、お祭り感のある会場の様子をレポートします。
2025年4月13日(日)、埼玉・川越でオープンタウン型のゲームイベント「ぶらり川越 GAME DIGG」が開催されました。
メイン会場は100年以上の歴史を持つ文化財建築「コエトコ(川越市文化創造インキュベーション施設)」と「りそなコエドテラス」の2箇所。屋内外でインディーゲームやアナログゲームが展示されたほか、小江戸とも呼ばれる歴史ある川越の地で、ポストカードラリーやミニ音楽ライブなども催されました。町全体を巻き込んだ、お祭り感のある会場の様子をレポートします。
TEXT / じく
EDIT / 神山 大輝
川越は小江戸とも呼ばれ、江戸の情緒を今に残した観光地として知られています。その川越にある歴史的建造物「コエトコ(旧栄養食配給所)」と「りそなコエドテラス」の2会場が本イベントのメイン会場となっていました。
「りそなコエドテラス」は1918年に第八十五銀行本店本館として川越に誕生した建物。埼玉りそな銀行が出資する株式会社地域デザインラボさいたまが運営し、レストランやバーコーナー、コワーキングスペースなどとして活用できる
コエトコ会場内では、当時の家屋を復原したスペースや軒先を利用してインディーゲームが展示され、イベント名のとおり“ぶらり”と立ち寄ったゲームファンが試遊を楽しんでいました。
ふだんは展示室などに使われているスペースも開放され、歴史を感じさせる家屋と最先端のゲーム文化が同居する独特の雰囲気が醸し出されていました。
もう一つの会場である「りそなコエドテラス」では、屋外の広場と駐車場に設置されたテントと、会場3階のテラスで複数のインディーゲームやsponsorブースが出展されていました。
りそなコエドテラスは小江戸川越の中心とも呼べる位置にあり、純粋に観光で来た外国人観光客や休日を過ごしに来た家族連れも会場を訪れていました。
当日はインディーゲームの展示だけでなく、併設イベントやキッチンカーなども数多く見られました。屋内に留まらないブース出展や街全体を利用した催しは、「ぶらり川越 GAME DIGG」ならではの企画でしょう。
コエトコの敷地内にある常設カフェでは、今回の「ぶらり川越 GAME DIGG」に合わせたコラボメニューが販売されました。イベントの合間に訪れるお客様たちは、ゲームをテーマにして装飾も工夫したメニューを楽しんでいました。
また、コエトコとりそなコエドテラスの両会場で「ミニ音楽ライブ」が開催されました。演奏はホイッスル演奏者の高梨 菖子さんと、ブズーキ演奏者の岡 皆実さん。高梨さんは『星のハルカ』(アトリエミミナ)の音楽を担当しており、数々のゲーム楽曲やアイルランドの伝統ダンス曲が上演されました。
そのほかにも、現地からの人気ゲーム実況者フェイさんによるYouTube生放送、周辺の観光名所に配置されたポストカードラリーも催されました。
YouTube動画「【ぶらり川越 GAME DIGG】現地配信!『川越ゲムディグ生放送!』【埼玉初のインディーゲームイベント】」ポストカードは会場周辺の「弁天長屋」「玉力製菓」「スカラ座」「酒Bar HAGIYA」「仲町観光案内所」「旅籠屋」に設置され、6枚以上集めるとコエトコ会場で記念品がもらえる仕組みになっていました。
会場を巡る中で、「ぶらり川越GAME DIGG」ならではと思えるインディーゲームや協賛出展をいくつかご紹介します。
埼玉県が率いる各都道府県キャラクターを操作して、打倒東京を目指す横スクロールのアクションゲーム。川越だけでなく、さまざまな地方自治体のキャラクターを選ぶことができ、選ばれなかった自治体も踏み台などのリソースとして活用可能となっている点がユニークです。
キャラクターは全身の力が抜けたような状態で、独特の物理挙動を制御しながら進める必要があり、ボス戦では地元にまつわるクイズも登場。正解すると東京都に大ダメージを与えることができます。
川越をテーマにしたカードゲーム『KAWAGOENO』。川越の名所がカードに描かれたUNO風のゲームで、最後に上がる時は「カワゴエーノ!」と発声するルールになっています。
子供でも分かりやすいシンプルなカードデザインやオリジナルのプレイマットなど各所にこだわりが見られ、プレイしているうちに“川越通”になるカードゲームと感じました。
川越市にキャンパスのある尚美学園大学も出展。専門的にゲーム制作を学んだ、芸術情報学部情報表現学科の学生たちによる作品が展示されていました。
同学科では2026年度に新たに「ゲームポートフォリオ」「ゲームキャラクター制作」「ゲームオブジェクト制作」「キャラクター美術解剖」といったカリキュラムが新設されるそうで、新カリキュラムに関する紹介も行われていました。
シンプルな回路とソフトウェア処理で音を再生する、CRI・ミドルウェアによる「CRI SOLIDAS」が組み込まれ、空間認知が向上した本格的なデスクトップスピーカー「SOUND TECTOR」が実機展示され、ゲーム音声をその場で体験することができました。
パイオニアはかつて本社が川越にあり、今も技術部門などの事業所を置いているとのこと。その縁もあって今回の出展に繋がりました。
コエトコ内では、小学生が制作したゲームの展示と試遊も行えました。試遊時には、実際に開発を担当した子どもたちによる説明やプレゼンもあり、かくれんぼなどのミニゲームが含まれたアドベンチャーゲームを楽しむことができました。
開発環境はティラノビルダーで、1週間から1か月ほど掛けて制作が進められたとのこと。堂々としたプレゼンが印象的でした。
人気タイトル『都市伝説解体センター』も出展。呪物、怪異などの調査・回収を行う都市伝説解体センターの調査員である主人公が、能力者の廻屋渉とともにさまざまな依頼を解決していくアドベンチャーゲームで、興味深いストーリーだけでなく色数を抑えた独特なドット絵とそのアニメーションが印象的な作品となっています。
りそなコエドテラスの3階フロアは一時大行列となっており、作品の注目度の高さが伺えます。また、「ぶらり川越 GAME DIGG」の企画であるポストカードラリーにおいても、同作品のポストカードは人気が高く、昼過ぎには配布が終了していました。
今回の取材では何よりも「オープン」という要素を色濃く感じました。あいにく雨天だったのは残念でしたが、屋外の展示ではベビーカーの家族連れの方や川越観光に来られたであろうご年配の方、外国人観光客の方も気軽にブースを覗いていました。
川越という歴史ある街の建造物だけでなく周囲の観光地もイベントの範囲として含める試みは「ぶらり川越 GAME DIGG」というイベント名にふさわしく、参加者たちの多様な視点が交差して新たな価値が生まれる場となる可能性を感じさせるものでした。
「ぶらり川越 GAME DIGG」公式サイトゲーム会社で16年間、マニュアル・コピー・シナリオとライター職を続けて現在フリーライターとして活動中。 ゲーム以外ではパチスロ・アニメ・麻雀などが好きで、パチスロでは他媒体でも記事を執筆しています。 SEO検定1級(全日本SEO協会)、日本語検定 準1級&2級(日本語検定委員会)、DTPエキスパート・マイスター(JAGAT)など。
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