インディゲームのカルチャーが交差する「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2025」現地レポート。エンタメから学びまで吉祥寺に一挙集結!

2025.03.15
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2025年3月8日(土)から3月9日(日)にかけて、東京・吉祥寺にて「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2025」が開催されました。
本イベントは「インディーゲームを中心とした様々なクリエイターの才能が一堂に会し、頂きを目指すきっかけとなる場」を目指しており、出展者・来場者は国内外から集まりました。
メイン会場である武蔵野公会堂・吉祥寺東急REIホテルを中心に、吉祥寺PARCO、吉祥寺マルイ、キラリナ京王吉祥寺など街全体を巻き込んだ本イベントは、様々なインディーゲームと関連のあるカルチャーともコラボレーション。本記事ではこうしたカルチャーイベントとしての側面を中心に、会場の様子をレポートします。
なお、本イベントに展示された注目タイトルについては別途掲載中です。そちらもぜひご覧ください。

TEXT / 種村 朋洋

EDIT / 酒井 理恵

インディーゲームをあらゆるカルチャーとコラボレーション

TOKYO INDIE GAMES SUMMIT(以下、TIGS)」は、東京都武蔵野市の吉祥寺で開催されるインディーゲームのイベントです。タイトルや開発ツールの出展はもちろん、プログラミング教室、グッズ販売、音楽ライブ、フード販売など幅広いジャンルの催しが開かれました。

メイン会場となった武蔵野公会堂のビジネスデイ開場前。ホールや会議室など館内のあらゆる場所を使って催しが行われた

もう1つのメイン会場・吉祥寺東急REIホテル。宿泊施設と直結した会場は海外や遠方からの出展者にとって利便性も高い

武蔵野公会堂では、吉田修平氏、水谷俊次氏、坂本和則氏が登壇した「TIGS2025 ビジネスデイスペシャルセッション インディーゲームパブリッシングを語る」や渋谷ハジメ氏、魔使マオ氏、ソフィア・ヴァレンタイン氏、立伝都々氏の「にじさんじライバーも参戦!吉祥寺海賊王 決定戦!」などの学びあり、エンターテインメントありのステージイベントを両日開催。ステージイベントはTIGSのYouTube公式チャンネルにアーカイブが公開されています。

TOKYO INDIE GAMES SUMMIT YouTube公式チャンネル

3回目となる今年は1日目をビジネスデイ、2日目を一般公開日に設定。ビジネスデイには出展者と来場者による商談マッチングシステム「MeetToMatch」も取り入れられました。

デジタルハリウッド STUDIO吉祥寺で行われた「MeetToMatch」。クリエイターがパブリッシャーやメディア、来場者とゆっくり商談や交流ができるスペース。現地会場以外にもオンラインでミーティングする機会を提供

出展タイトルは昨年の133タイトルから200タイトル以上へ拡大

展示ブースではゲームの展示や試遊が行われ、開発者や担当者に来場者が生の感想を伝えられる場となっていました。また、出展者・来場者ともに海外からの参加者も多く見られ、インディーゲームを通じて国境を超えたコミュニケーションが取られていました

また、メイン会場である武蔵野公会堂、東急REIホテルの他にも、サブ会場としてキラリナ京王吉祥寺、吉祥寺マルイ、吉祥寺パルコなど、吉祥寺駅周辺の施設でも関連イベントが展開されました。サブ会場では、ゲームに関連した物販や体験イベントなどが展開され、吉祥寺の街全体がインディーゲームで賑わうイベントとなりました。

TIGSのエリアマップ。吉祥寺の北側・南側双方に会場が用意された

吉祥寺PARCOの1階ではレトロゲームの展示・試遊・販売も

「現地」の熱量を感じられた海外のゲームショウブース

今回のTIGSでは、「Indonesia Game Developer eXchange」(インドネシア)、「India Gaming Show」(インド)、「WePlay  Expo」(中国)、「Taipei Game Show」(台湾)、「Play X4」(韓国)、「gamescom latam」(ブラジル)といった世界のゲームショウイベントのブース出展が行われました。

「WePlay」のブース。TIGSの海外のゲームショウブースとしては最多の8タイトルを展示

「Taipei Game Show」は昨年のTIGS開催時に会場を視察。「とてもいい展示会場だ」と出展を決めたそうです。ブースでは、国内と海外の双方で受賞した厳選タイトル3作を出展していました。

今回のために、展示タイトルはすべて日本語でプレイできるように準備されていた

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2029年には2024年の2倍となる72億4,000万ドルの市場規模になると予測されているインドのゲーム市場からは「India Gaming Show」が出展。2026年の出展者を現在募集中です。

韓国の「Play X4」は、当初はアーケードゲームの展示会として開催されていたため、物理的なコントローラーを使用したゲームが比較的多いのが特徴。2025年は5月22日(木)~25日(日)に開催され、出展募集も記事執筆時点では受付中とのこと。

Indonesia Game Developer eXchange」の規模感は韓国の「G-STAR」と同程度で、インディーゲームと大企業のブースの比率は半々ぐらい。毎年10月頃に海沿いのロケーションで好アクセスのStones Entertainment Centerで開催されます。

YouTube動画「IGDX Business and Conference 2024 Highlight」

多数の海外のゲームショウがパビリオンのごとく集まったのは「認知向上し、日本からの出展者を増やしたい」という狙いもあるようです。興味が湧いたゲームショウは出展の条件などを調べてみてはいかがでしょうか。

コンテスト「受賞後」のさまざまな取り組み。スマホで受賞作が遊べるキーホルダーや開発者の解説付き大会

ゲームクリエイターズギルドが主催する「ゲームクリエイター甲子園」のブースでは受賞作を「キーホルダー化」。専用アプリケーションをインストールした上で、キーホルダーをスマホにかざすと「ゲームクリエイター甲子園2022」受賞作であるZeF氏の『CHROMIX』を遊べます。

3色のキーホルダーにはそれぞれ別のステージが入っている。スマホにかざすと、NFCタグを読み取ってゲームが起動する

バンダイナムコスタジオが創設し、インディーゲームのコンテストでも知られる「GYAAR Studio」はTIGSのステージイベントと連動した企画を実施。「第2回GYAAR Studioインディーゲームコンテスト」で受賞した『Jelly Troops』の日本一決定戦を開催しました。開発者わけん氏も登壇し、開発者の視点からプレイ解説も行われました。

会場からゲームプレイの生配信を行う試みも。配信を見て面白そうだと思ったら、すぐ会場で試遊できる仕組みだ

賞を授与し、リリースをサポートするだけでなく、リリース後にゲームをプレイしてもらうための支援としてもさまざまな試みが行われていると感じました。

子供から大人まで大人気!変わったコントローラーのゲームが集まる「make.ctrl.Japan」

サブ会場の一つであるキラリナ京王吉祥寺では、変わったコントローラーをテーマにしたゲームイベント「make.ctrl.Japan」が開催されました。

1階では吉祥寺駅の線路をまたぐ連絡通路の一区画にブースが展開されており、通りすがりの人や周辺の商業施設を利用した人たちがブースに立ち寄る場面も見られました。

「make.ctrl.Japan」では、ボタンやスティックを搭載した通常のコントローラーではなく、タイトルごとにオリジナルで開発されたコントローラーを利用して遊ぶゲームが展示されています。有志のゲーム開発者で集まり、年に2、3回のペースでイベントを開催しているほか、海外へのゲームイベントにも出展しているとのこと。

今回のTIGSでは、黒板消しを使って敵(チョーク)を倒す、のへもん氏による『チョークの叛乱』や、箱からバナナを取り出せない体験をする宮澤 卓宏氏の『SARU BOX』など、全14タイトルが展示されました。タイトルごとに独自のコントローラーや操作が展開され、開発者のアイデアや創意工夫が感じられる展示コーナーとなっていました。

迫りくる敵(チョーク)を黒板消しで倒す『チョークの叛乱』

3Dプリントされた足のコントローラーを傾けて操作し、タンスにぶつけるスピードとポイントでスコアを競う『ACID FOOT』

目の前でプログラム通りに機械が動くのを体験「プログラミングワークショップ」

吉祥寺マルイの5Fでは、パブリックスペースにて小学生を対象としたプログラミングワークショップが開催されました。

ワークショップを開催したのは小学生向けのプログラミング教室やワークショップを運営するキッズプログラミングアカデミー。小型PC「IchigoJam」を利用し、ゲーム制作を体験します。

ワークショップでは、コードを入力するとプログラムが動いてライトが光るというところから学習を行い、迫りくる隕石を避けるゲームを作成するところまでを実施しました。制作したゲームは自機や障害物の見た目をカスタマイズすることもでき、プログラミングが初めての小学生でも楽しくゲーム制作に取り組めていたようです。

TIGSのスタンプラリーで巡る、サブ会場のフォトレポート

TIGS2日目の一般公開日には、メイン会場とサブ会場を巡るスタンプラリーが開催されました。

関連イベントや物販、フォトスポットなどでにぎわうサブ会場様子をフォトレポート形式でお届けします。

吉祥寺マルイ

店頭スペースにはTIGS公式グッズや展示タイトルの缶バッジがラインナップした「TIGSオリジナルグッズショップ」がオープン

『陰キャラブコメ』とコラボしたポップアップストアには、書き下ろし等身大パネルが登場

吉祥寺PARCO

吉祥寺PARCO屋上では、ミニゲームフェスが開催。DJパフォーマンスやショップなど、様々なゲームカルチャーを味わえる20以上のブースが展開された

商品に印刷された謎を解かないと購入できないアパレルブランド「トキキル」。TIGSに先行して公開された『グノーシア』『都市伝説解体センター』『コーヒートーク』とのコラボ商品(写真右)が並んだ

話題のインディーゲームのグッズを取り扱ったグッズショップや『コーヒートーク』とコラボしたキッチンカーがオープンした

キラリナ京王吉祥寺

キラリナ京王吉祥寺の1階と4階にて、「make.ctrl.Japan」とのイベントが共催された

コピス吉祥寺

コピス吉祥寺では親子で楽しめる体験イベントが開かれた。2日目は縁日が開かれ、親子連れで賑わった

スタンプラリー、完成!

2023年の初開催から3度目の開催となり、国内外から数多くのタイトルが並んだTIGS。家族連れや海外から来た来場者も多く見られ、インディゲームが惹きつける客層の広さを感じました。TIGSは、2026年の開催も予定されている模様。ゲームクリエイターの交流の場として、参加してみてはいかがでしょうか。

「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2025」公式サイト
種村 朋洋

ゲームデザインとプレイヤーのインタラクションを考察しながらゲームを遊ぶのが好きです。

ゲーム以外だと謎解きイベントを遊んだり漫画を読んだりしています。

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