2024年9月26日(木)から29日(日)の4日間、幕張メッセで開催されている「東京ゲームショウ 2024」。展示されたゲームの中から、今回は「メタスラ」が開発する“釣り”をテーマにしたアクションRPG『Sea Fantasy / シーファンタジー』を紹介するとともに、同作品の開発者 中島氏らに、本作独自の戦闘システムをはじめとする作品の魅力・こだわりなどを聞きました。
TEXT / 浜井 智史
目次
釣り×バトルアクション!独自の戦闘システム「釣りバトル」で魚影を釣り上げろ!
『Sea Fantasy / シーファンタジー』は「釣り」をテーマにした冒険RPGです。舞台はピクセルアートで描かれた広大な2Dオープンワールド。小さな田舎島に住む青年のロッドとアクセルが、一艘の船で大海原に乗り出し、海洋生物「シーアズ」を釣りに島々を巡ります。
『Sea Fantasy / シーファンタジー』トレーラー vol.1
「釣り」と聞くと、どのようなゲームが思い浮かぶでしょうか。釣り竿を振ってウキを水に投げ入れ、魚影が食い付いた拍子にボタンを押下。おそらくこの形式が最もポピュラーな釣りゲームだと思われます。ところが本作の「釣り」要素は、そういった馴染み深い釣りゲームとは一線を画しています。
本作の大きな特徴は、「釣り」と「アクション」が融合した独創的な戦闘システム「釣りバトル」です。魚影がウキに食い付いた瞬間、横長のメーターが出現し、針が高速で動き始めます。針が規定のエリアに重なるタイミングで左クリックすれば攻撃がヒット。最終的にシーアズのHPを削り切れば釣り上げ成功となります。
メーターの上に表示されているゲージはHPバー。緑がプレイヤー、赤が釣り上げる対象のシーアズのHPを示している(画像はSteamストアページより引用)
青いエリアでクリックすれば攻撃成功。黄色いエリアなら2倍のダメージが与えられます。
タイミングがずれると逆にシーアズから攻撃を受けます。しかし、慎重に狙い過ぎると今度は時間切れでダメージを受けてしまうため、速いペースでのアタックが必要です。
メーターを2回、3回と立て続けにバチッと揃えられると、リズムゲームのような爽快感があります。一般的な釣りゲームの駆け引きとは趣の異なる、新感覚のゲーム体験を味わえます。
青いエリアは幅が広くて狙いやすいが、時間経過で縮んでいく。黄色いエリアは強力な一撃を打ち込めるが、幅が狭いため空振りのリスクも高い(画像はSteamストアページより引用)
エリア外でクリックしてしまうとダメージが発生。慎重に狙いたいが、もたついているとあっという間に時間切れ。手痛い反撃を受けてしまう(画像はSteamストアページより引用)
こうした「釣り」機能が前面に押し出されている本作。スローライフものに近い作風かと思いきや、Steamのストアページには「これは平和な釣りゲームではありません。世界の滅亡が迫っています…。」という不穏な文章が。二人の青年を待ち受ける運命が暗示されています。
世界滅亡の危機が迫る!?作り込まれた重厚なPRGストーリー
本作のストーリーは、ロッドとアクセルが住む田舎島で2人が釣りに興じる場面から始まります。その翌日、2人は連絡船に乗せてもらって海を越え、遠く離れた島々で釣りに励みます。
道中訪れた島のジャングルに踏み込んだ2人は、奥地にある川までやってきます。これ以上は行き止まり、一旦引き返そうとしますが…。
突如、カエルのような見た目の不気味な生物が2人を襲撃。アクセルは咄嗟にロッドを庇い、カエルに飲み込まれてしまいました。
その後ろから謎の人物が姿を現します。どうやらカエルを使役しているらしく、そのままアクセルを連れ去っていきます。
川に転落し、見知らぬ場所まで流されてしまったロッド。意識を取り戻すと、そこには金色に輝く龍が身を隠していました。
何らかの原因で力を失ったという金色の龍は、ロッドに「秘薬があれば力を取り戻し、アクセルの居場所を突き止められるだろう」と語ります。ロッドは、世界中からシーアズの素材を集めて秘薬を作り、アクセルを助けることを決意します。
アクセルを攫った勢力は何者か。金色の龍に過去何があったのか。この世界の命運は?「釣りで世界を救う」というキャッチコピーに相応しい、壮大な物語が幕を開けます。
独立開業した3人チームで開発中。多彩なアクション要素や幅広いプレイスタイルの実現など、細部に込められた工夫
本作は、「メタスラ」のプログラマー中島 克征氏と飯島 悠汰氏、デザイナーの古澤 日向氏の3人体制で開発されています。
「メタスラ」代表の中島氏は、もともと1人で副業としてスマホゲームを開発していたそうですが、作品がヒットしたことを契機に独立して会社を設立。さらに大きな規模で開発したいと考え、メンバーを誘ったといいます。
使用ゲームエンジンはUnity。キャラクターイラストなどのアセットは社内で制作したものありますが、外注・購入した素材も含まれています。モーションデータは自社で制作しているそうです。
BGMなどは予算や時間的な事情でフリー音源を使用していますが、ボス戦ごとにオリジナル楽曲を用意してみたいとも語っていました。
釣りゲームが好きだという中島氏。以前も釣りを題材にしたアプリゲームを開発しており、その時から既にカーソルを動かすギミックが導入されていたそう。本作はその機能を発展させています。
少ないクリック操作で快適なプレイ体験を提供できるように、操作感が良くない箇所は全て潰して調整を重ねてきたといいます。
(画像はSteamストアページより引用)
本作の特徴の1つでもあるRPG要素についても伺いました。本作では、一般的なRPGでいうところの「装備品」が竿や餌などの釣り用具に置き換えられています。また、プレイヤーの能力値はHPのほか、攻撃力を増強する「パワー」、メーターの横幅が拡大して攻撃が当たりやすくなる「テクニック」など5種類が用意されています。
RPGの例に漏れず、レベルアップ仕様も搭載しています。パラメーターの成長システムは、ポイントを各ステータスに振り分けるスタイルです。攻撃精度に自信があれば「パワー」に振ってクリティカルを連発し、ハイペースでアイテムを獲得できます。アクションに不慣れな人は「ガッツ」で防御を固め、「テクニック」で当たり幅を拡大すれば、落ち着いてプレイできます。
アクション要素は釣りバトルだけではありません。障害物を越えるギミックや、ボス戦開始前にボスの攻撃を避ける前哨戦など、遊びの幅を広げる要素が盛り込まれています。
各種ボスは固有の攻撃パターンを持っており、釣りバトル時には特殊ギミックも登場しますが、操作方法を直感的に理解できるような工夫が施されています。
100種類以上にも上る「シーアズ」たちにはそれぞれ生態情報などが設定されています。釣り上げたシーアズの情報は「シーアズ図鑑」に登録され、丁寧に作り込まれたグラフィックとともに各種設定を鑑賞できます。
装備品などにもフレーバーテキストが用意されています。設定やテキストは開発メンバーで分担して制作しているそうです。
効果音にもこだわって制作されているといい、例えばクリティカルを当てる爽快感を想起させるため、イメージ通りのサウンドを探し出して導入しています。
「東京ゲームショウ2024」で展示された体験版では、ストレスなく遊んでもらうためにデスペナルティが撤廃されているそうです。HPが尽きてゲームオーバーになっても素早くリトライ可能な仕様になっており、時間を忘れてひたすら釣りに没頭できます。
本作の制作が始まったのは去年9月頃。1年ほどで7,8割ほど完成しているといい、12月に開発を終える想定で進めているとのこと。
配信プラットフォームはSteam。ストアページでは体験版デモが公開中です。また、XBox版も同時リリースを予定しています。
また、本作の専用Discordサーバーも運営中。ゲームのデバッグやフィードバックなどを募集しています。
『メタスラ』公式サイト東京ゲームショウ2024公式サイトゲームメーカーズで編集や諸業務に携わっています。『星のカービィ』シリーズと『ポケモン不思議のダンジョン』シリーズが好きです。
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