2024年7月14日(日)、番町麹町ビルディング 7Fの「note place」にてインディーゲーム展示会『東京ゲームダンジョン外伝 supported by note』が開催されました。今回の東京ゲームダンジョンは「学生制作ゲーム」と「アドベンチャーゲーム・ノベルゲーム」の2種類にテーマを絞った“外伝”となっています。本記事では会場の様子や出展していたインディーゲームをピックアップして紹介します。
TEXT / じく
EDIT / 藤縄 優佑
学生制作ゲームとアドベンチャーゲーム・ノベルゲームに限定した「外伝」イベント
今回の「東京ゲームダンジョン外伝 supported by note」は四ツ谷駅から徒歩2分と好立地にある番町麹町ビルディング 7F「note place」で開催されました。
フロアには「アドベンチャーゲーム・ノベルゲーム」のroomAに47団体、「学生制作ゲーム」のroomBに35団体が出展し、事前申し込み(入場無料)で来場した多くのゲームファンで会場は熱気に包まれました。
今回の開催時間は1部・2部に分かれており、小規模開催に対して来場者が過度に集中しないよう配慮されているように見受けられました。それでも東京ゲームダンジョンが開催する“外伝”への関心は高く、各部の入れ替わり時にはあっという間に出展ブース前が来場者であふれかえりました。
▼過去のイベントレポートはこちら
気になる作品たちをフォトレポート!
『Tournamentris』 作者:Studio ZeF
数字の書かれたパネルを「ブリッジ(トーナメント表のヤマガタに相当するもの)」で連結してトーナメント表を作る、新感覚の落ち物パズルゲームです。
パネルはサイコロの目のような形状で、1~3の数字が書かれています。同じ数のパネル同士はブリッジで連結でき、その上に王冠を落とすと、パネルやブリッジを消すことができます。
ゲームのポイントは、トーナメント風の連鎖。例えば、1同士のパネルをブリッジでつなげると、ブリッジの上はパネルの数字が1段階ランクアップして2になります。そのブリッジ(1と1→2)と2のパネルを、さらにブリッジでつなげることができるのです。このブリッジの頂点に王冠を落とせば、連鎖が発生します。
パネルのランクアップは、2同士のブリッジの上は3、3同士のブリッジの上は1と変化します。
また、同じ幅のブリッジを重ねることでブリッジを消すことも可能です。
大学生である開発者のZef氏に本作品のアイデアをうかがったところ「トーナメント表のブリッジが落ちてくるパズル」を直感的に思い付いたとのこと。そこに数字のパネルをゲーム要素として加えることで、面白さを加えていったそうです。
『Tournamentris』は1人用ゲームとしてはほぼ完成しており、今後はオンライン・オフラインによる対人や対AIの対戦モードを開発予定だそうです。
『Tournamentris』 公式サイト(unityroom内)ZeF氏 Xアカウント『イツカノヨル』 作者:Indigo Ingots, Starlit Chronicles Studio
「いつでも処刑出来るボタン」を前に、看守であるプレイヤーが死刑囚の竜族と5日間を過ごすノベルゲームです。英語や中国語にも対応しており、当日のブースには実際に操作できる「いつでも処刑出来るボタン」が設置されていました。
ストーリーは死刑囚の竜族との会話や選択肢を選ぶことで進みます。5日間という短い期間の後に、さまざまなエンディングが用意されています。筆者が初めてプレイした時は処刑をためらうあまりにボタンを押さないままゲームが終わってしまいましたが、その場合のエンディングもしっかり用意されていました。
本作品は「Unity1週間ゲームジャム」のお題「1ボタン」をきっかけに開発されました(unityroom版『イツカノヨル』はこちら)。死刑執行といういつでも終わるというゲーム性に対して好奇心や葛藤をもってプレイして欲しいとのことでした。
『イツカノヨル』 の正式リリース日は未定ですが、今後SteamやNintendo Switchでの発表を予定しています。
『イツカノヨル』 SteamストアページIndigo Ingots氏 Xアカウント『Fall Asleep 【 フォールアスリープ 】』 作者:Neo Games
落下し続けるキャラクターを操作して障害物を回避していくアクションゲームです。単なる回避系アクションではなく、「落下」という要素が操作性や世界観に反映されたユニークなゲームとなっています。
本作品はUnreal Engine 5で開発されており、N高に通う学生による人生初のゲーム作品です。展示時点では1ステージだけプレイ可能でしたが、今後はクオリティを向上させた上でステージ数を増やし、1年以内にはSteamでの発表を目指しているそうです。
「Neo Games」 Xアカウント『Typixie Typlops』 作者:おるむあるでひど
キーボードをタイプして戦うローグライトゲームです。キーを押す順番によって異なる効果が発動するため、その組み合わせを瞬時に判断して素早く打ちこむプレイヤースキルなどが重要となっています。
ゲーム画面に表示された各キーは凹凸のフォルムをしており、うまく凹凸がはまるような順番でタイプすることで、さまざまな効果を持つコンボが発動します。
敵もプレイヤーと同じようにキー入力を行い、時間経過によってプレイヤーへ攻撃します。この攻撃を受けると、それに対応したキーが「浸食」されて黒くなり、フォルムの凹凸が反転します。
浸食されたキーを入力するとゲージが溜まり、満タンになると次の攻撃が強化されます。
ただし、浸食されたキーは一定時間経つとしばらくの間無効化された後に、プレイヤーへのダメージとなります。そのうえ、一度に入力できる文字数も2つ減少してしまいます。
開発者のおるむあるでひど氏は大学生で、全て1人でゲーム開発しているそうです。デッキビルド型のゲームではプレイヤーが手札しか使えないのに対し、キーボードをデッキに見立てて全てを使えるようにすれば面白いのでは、とこのアイデアを発想したそうです。
開発方針としてはコンパクトに小さくまとめたゲームを目指しており、今回発表したデモ版も約1か月半で制作したとのことでした。
おるむあるでひど氏 Xアカウント『ケーキスマッシュ』 作者:チームフッカル
だるま落としの要領で工場のベルトコンベアに流れてくるケーキを叩き飛ばすゲームです。ケーキは赤・緑・青いずれかの段で作られており、それに対応するボタンを押す必要があります。
工場を巡回する警備員が来た場合は、しゃがんで隠れないとゲームオーバーになってしまいます。
特筆すべきは展示ブースに用意されていた入力デバイスです。ケーキの段の色に対応する大きなボタンが用意されており、警備員から隠れるしゃがみ操作もフットペダルを実際に踏む操作となっていました。
このゲームは東京国際工科専門職大学の学生による作品で、上記のようなアナログデバイスも大学の先生に教えてもらって自作したそうです。デバイス接続やカスタマイズにはXbox Adaptive Controllerを使用しており、こちらも先生から貸してもらったとのことでした。
本作品はイベント出展を意識したカジュアルなゲームとなっており、ゲームセンターで遊ぶような体験型の機器を目指したものだそうです。
「チームフッカル」 Xアカウント『犯罪者隔離世界』 作者:ACT
全12話で構成され、各話に独自のミニゲームが収録されているアドベンチャーゲームです。罪を犯した人間が収容されるVR空間「犯罪者隔離世界」に、無実の罪で迷い込んでしまった1人の少女をめぐるストーリーとなっています。
ストーリーには全編を通して伏線が張りめぐらされており、数多く登場するキャラクターたちにも声優によるボイスが収録されています。
本作品は、主催のあざみ氏が募った総勢56名の制作メンバーにより開発された無料ゲームです。エンジニア・イラストレーター・声優など数多くのメンバーが趣味で制作したもので、約2年半の期間を経て2024年4月10日に前編として1~4話が公開されました。
開発は1つのノベルチームと12のミニゲームチームで進められたそうで、各ミニゲームはオリジナルアイデアによる独自のものとなっています。
『犯罪者隔離世界』はPC版とAndroid版で前編のリリースがスタートしており、中編(5~8話)を8月、後編(9~12話)を12月に引き続きリリース予定です。
『犯罪者隔離世界』公式サイト『犯罪者隔離世界』 Xアカウント今回の「東京ゲームダンジョン外伝」は、通常の東京都立産業貿易センター浜松町館の開催とは異なり、note placeを会場としたアットホーム感のあるイベントでした。
より距離感の近い環境で試遊や交流を楽しむシーンは、インディーゲームイベントの原風景とも感じられました。
今後も本体である「東京ゲームダンジョン」、そしてその発展的イベントに期待したいと思います。
ゲーム会社で16年間、マニュアル・コピー・シナリオとライター職を続けて現在フリーライターとして活動中。 ゲーム以外ではパチスロ・アニメ・麻雀などが好きで、パチスロでは他媒体でも記事を執筆しています。 SEO検定1級(全日本SEO協会)、日本語検定 準1級&2級(日本語検定委員会)、DTPエキスパート・マイスター(JAGAT)など。
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