『台北ゲームショウ2024』レポート。現地で感じた、台湾と日本におけるゲームイベントの共通点

2024.02.06
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2024年1月25日〜28日(現地時間)、台湾にある南港展覧館1号館(TaiNEX 1)にて『台北ゲームショウ2024』が開催されました。

大型タイトルからインディーゲーム、ボードゲームまでが出展され、36万人もの来場者を集めた台湾最大のゲームショウの様子を、現地取材にてレポートします。

TEXT / 馬波レイ

EDIT / 神谷 優斗

目次

36万人が来場した大型イベント

日本人にとってゲームショウというと「東京ゲームショウ」が思い浮かぶでしょうが、「台北ゲームショウ」もそれに並ぶ規模です。

会場こそ幕張メッセの半分ほどのサイズですが、26の国と地域から377の企業が集まり、300タイトル以上を展示。4日間での来場者は東京ゲームショウを超える36万人でした。

初日の様子。土日ともなると身動きが取れないほどの混雑ぶりだった

開会セレモニーでは台湾の要人が挨拶。このほかにSIE吉田修平氏らも出席していた

会場には任天堂バンダイナムコエンターテインメントコーエーテクモゲームスといった大手メーカーが最新タイトルを引っ提げてブースを出展。そのほか、アニプレックス集英社ゲームズなども出展していました。

任天堂ブース。マリオやゼルダ、ポケモンは台湾でも別格の人気

バンダイナムコエンターテインメントブース。少年ジャンプ関連のコンテンツに人だかりができていた

アジアのメーカーを中心としたスマートフォン/PC向けタイトルも存在感がありました。特に、リリースが近い『ゼンレスゾーンゼロ』(HoYoverse)や『鳴潮』(KURO GAMES)などはプレイアブル出展がなされ、多くの来場者の注目を集めていました。

 『ゼンレスゾーンゼロ』ブース

『鳴潮』ブース

本イベントでは展示と物販が同じブースで行われることもあり、会場の通路の混雑ぶりはかなりのもの。特に土日ともなると通路で身動きが取れなくなるほどでした。

日本に近い台湾でのゲームトレンド

台北ゲームショウ2024での人気タイトルやトレンドは、日本とそう変わらない印象でした。

 『Fate/Grand Order』や『ウマ娘 プリティーダービー』など日本発のコンテンツは人気が高かった

集英社ゲームズのブース。台湾でも集英社の持つIPはかなり浸透しているようだ

出展タイトルの割合は、家庭用ゲームとスマホ/PCゲームが半々。日本と比較すると「ややPC(Steam)が多いかな?」といった肌感覚でした。

ただ、会場スペースの狭さもあってか、試遊台の数は日本のイベントと比べると少なめ。どちらかというとステージやアトラクション、フォトスポットなどでゲームの世界観を楽しむブース作りが目立ちました。

アナログゲームも同居

アナログゲームを展示即売する「ボードゲームワンダーランド」が併せて開催されているのは台北ゲームショウならではでしょう。

ボードゲームワンダーランド会場の様子

10周年を迎えるこの催しは会場の1割程度を占め、『マジック・ザ・ギャザリング』や 『ポケモンカードゲーム』を扱う台湾メーカーなどが出展していました。

日本のアナログゲームメーカーであるオインクゲームズのブース

そのほか、日本のメーカーは数社が出展。スタッフ同士で交流を深めたそう

ブース出展していた日本のメーカーに話を伺ったところ、台湾では家族でアナログゲームを楽しむ機会が日本よりも多いとのこと。街中の本屋で販売されていることもあるボードゲームは身近な存在なのだとか。

そのためか、場内では試遊コーナーでプレイを楽しむ家族の姿も見られました。大混雑のデジタルゲーム側と比べるとまったり落ち着いたムードとなっていました。

力の入ったインディーズコーナー

過去最大規模で行われたというインディーゲームのコーナー「インディーハウス」では、会場の2割ほどのスペースを占める広さに100を超えるブースが設置されていました。

会場は、主に英語でコミュニケーションする点を除いては、国内のインディーゲームイベントとほぼ変わらない雰囲気でした。長机ひとつ分のブースにデモンストレーション用の機材が置かれ、その場で試遊できるスタイルです。クリエイターの説明を聞きながらじっくりとゲームを吟味した後、その場で感想を伝える様子があちこちで見られました。

アジアの中央あたりという台湾の立地もあってか、韓国、フィリピン、タイ、インドネシアなど近隣の国からの出展者が多く見られました。珍しいところではキプロスのメーカーも!

もちろん、日本からもPhoenixxUkiyo Studiosなどのパブリッシャーや個人クリエイターが参加しており、注目を集めていました。

Ukiyo Studiosのブースでは国内外から多数のインディーゲームを展示

TOKYO INDIE GAMES SUMMITを主催するPhoenixxもブースを構えていた

ここからは、筆者が試遊したゲームの中からいくつかピックアップして紹介します。

『モノノケの国』 作者:スタジオライツ

ほのぼのとした和風世界で、村の発展とローグライトなダンジョン攻略を同時に楽しめる3Dアドベンチャーゲームです。共に行動する子犬のムサシが主人公を支援してくれる様子がとってもキュート。

会場では、島々を巡りながらモノノケを浄化していくアクション部分が楽しめました。

本作は2024年にSteamにてリリース予定です。

『モノノケの国』ストアページ

『ビビッドワールド』作者:アソビズム

タイトルにもあるビビッドな色合いのグラフィックスが目を引く、『ビビッドナイト』の続編です。ジャンルはパーティー構築型ローグライトゲーム。

ゲームのキモとなるのは、入手したユニット(宝石)によるパーティー編成。悪魔が支配する魔界を舞台に、主人公レムリアが持つ宝石術を駆使して、ダンジョンへと挑んでいきます。

本作は2024年にSteamでリリース予定です。

『ビビッドワールド』ストアページ

『漢字インダストリー』作者:Tsune Studio

部首を組み合わせてリアルタイムに漢字を作っていくゲームです。まるで工場のように、漢字を生成する機械と組み合わせる機械を並べて生産ラインを構築していくのがミソ。思ったように生産ラインが自動で動いて、複雑な漢字を組み立てられたときの手応えが楽しいです。ただし、制限時間には注意。

日本人クリエイターによる本作は、台湾の会社がローカライズを担当。漢字文化の中華圏ではありますが、日本の漢字を学べるようにあえて日本語版と同じ漢字を出題しているそうです。

本作はSteamにてアーリーアクセス中。ストアページではデモ版が入手可能です。

『漢字インダストリー』ストアページ

『Omega Crafter』作者:Preferred Networks

いわゆる“クラフト系”をベースにしたゲームシステムで、相棒のロボット「グラミー」の行動をプログラムできるのがポイント。グラミーは採取、生産、建築といった行動を自動化し、プレイヤーの街づくりをサポートしてくれます。

リリースが2024年3月29日に迫る本作は、ブースで積極的なアピールがなされていました。現在はSteamにてデモ版が配信中です。

『Omega Crafter』ストアページ

『Drowned Lake』作者:Monumental Collab

釣り×ホラーという異色の組み合わせが目を引くアドベンチャーゲームです。プレイヤーは学生が行方不明となった事件の真相を暴くべく、小さなボートで“瀕死の湖”へと漕ぎ出します。

ブラジルの神話からインスピレーションを受けた世界観はなんとも不気味で、暗闇の中での探索は心拍数が高まりました。謎解き以外にも魚釣りの要素があり、それらの要素がどう絡みあっていくのか気になります。

本作はSteamにて近日発売予定です。

『Drowned Lake』ストアページ

本イベントでは、毎年恒例の「Indie Game Award」も実施されました。

43の国と地域からエントリーした267のインディーゲームの中から、シナリオやビジュアルなどの各賞ごとにタイトルを選出。見事グランプリを獲得したのは、インスタントカメラを使ったギミックが新しい、Sad Owl Studiosの『ViewFinder』でした。

ほかにも、インディーゲームのクリエイターを招いたライブ配信企画や、商談が積極的に行えるB2Bコーナーの設置など、インディーゲームに対する手厚さが感じられました。

加えて、出展費も格安だとか。クリエイターの皆さんはプチ旅行も兼ねて来年の出展を検討してみてはいかがでしょうか。

Indie Wavemakersによるライブ配信も実施された

『台北ゲームショウ』 公式サイト
馬波レイ

90年代よりライター業をスタート。PCやゲーム系の雑誌・WEBメディアを中心に執筆活動を継続中。好きなゲームジャンルはアクションシューター(2D・3D問わず)だが、新しいアイデアやテクノロジーが感じられるゲームには目が向きがち。趣味はプロレス観戦。

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