2023年9月21日(木)から24日(日)の4日間、幕張メッセで開催されている『東京ゲームショウ 2023』。展示されたゲームの中から、今回はチーム「Drossel/Studio」が開発する和風リズムゲーム『シノビスラッシュ / 妖』を紹介するとともに、同チームのリーダーである「かいぢう」氏に開発コンセプトやリズムゲームならではの工夫について聞きました。
TEXT /tyap
EDIT / 藤縄 優佑
疾走感抜群!タップ&フリックが織りなす爽快リズムゲーム
『シノビスラッシュ / 妖』は、Android/iOS向け和風リズムゲームです。これまでiOS版のみ提供されていた『シノビスラッシュ』がアップデートされ、2023年9月15日に『シノビスラッシュ / 妖』としてAndroid向けにもリリースされました。
基本操作は各レーン上を流れるノーツに対して、曲のタイミングに合わせてタップやフリックを行う、リズムゲームとしてはスタンダードなもの。
ノーツの種類は、リズムゲームでおなじみのタップやロングタップ、スライド操作を行うものだけでなく、画面両サイドに描かれた縦長の青い判定ラインをまたぐように現れる「フリックノーツ」、画面中央に迫りくる壁のような「スラッシュノーツ」も登場します。
フリックノーツ、スラッシュノーツはともにフリック操作で対処しましょう。とくにフリックノーツは判定ラインをしっかりまたぐようにフリックしないといけないので慣れが必要ですが、これらをタイミングよくフリックできれば斬撃のようなエフェクトとSEが流れ、気持ちよく爽快なプレイを楽しめます。
ミスすると画面右上のライフゲージが減少し、ゼロになるとゲームオーバー。しかし、上手くノーツを捌ければライフが回復するので挽回が可能です。
タイミングの正確さの判定は5段階ありますが、最良である「快斬」の判定が広めなうえ、ミスしたときのライフゲージの減少も緩やか。リズムゲーム初心者でも完走しやすいつくりといえます。
そう聞くと上級者向けのゲームではないのかな……?と思う方がいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。難易度は記事執筆時点で15段階あり、最高難易度は一筋縄ではいかない譜面が楽しめます!
また、カスタマイズオプションには細かな判定調整やノーツ速度、ライフゲージの減少が増加する猛攻、譜面反転、目標スコアの設定などなど、上級者も満足する充実したオプション内容も魅力です。
収録楽曲も和風のテーマを意識した充実のラインナップ。「conflict」「もぺもぺ」「竹」や「Reku Mochizuki」「打打だいず」「r0y」「siromaru」「Capchii」(敬称略)など、リズムゲーム経験者ならピンとくる有名楽曲とコンポーザーも多数参加しており、今後も続々追加予定とのことです。
リズムゲームへの情熱あふれる開発チーム
開発チームのDrossel/Studioは、大学のゲーム制作サークル内でリズムゲーム好きが集まって結成された8人組。在学中・卒業後もゲームを開発しており、その活動のなかで生まれた作品が『シノビスラッシュ』です。
チームメンバーはそれぞれUI、楽曲制作などに分かれて開発しており、譜面制作などは複数人で担当しているとのこと。大学卒業後は住まいもバラバラになったため、週に一度行うミーティングもオンライン上で実施されています。
『シノビスラッシュ』『シノビスラッシュ / 妖』の開発環境はともにUnity。『シノビスラッシュ』の開発は2019年からはじまり、2021年にiOS向けにリリースされました。
Andoroid版をリリースしない決断を下したのは、販売されているAndroid端末の画面サイズも性能も千差万別で、どこまで対応するべきかで悩んでしまったから、とかいぢう氏は話します。
しかしリリース後、Androidユーザーから要望が多かったため、このたびAndroid版のリリースに踏み切りました。当時の悩みの種だった端末の対応については、「すべての端末の動作を保証することは難しいため、エントリーグレードのようなスペックが低めな端末を用意し、一通りプレイが可能なことを検証するようにしました。また、開発メンバーなどのAndroid端末でも動作確認を行いました」と、自分たちで可能な範囲内での対応を行っています。
本作の特徴は、ゲーム全体を構成する和風の世界観と、ノーツを斬るようにフリックする独特で気持ち良い操作です。「テーマは『走る』、そして他のリズムゲームとの差別化を図る、という考えがありました。そこからアイデアを発展させ、忍者が刀でノーツを斬るようなイメージのフリック操作が生まれました」(かいぢう氏)
著名コンポーザーにも依頼して多数の楽曲をラインナップ
開発メンバーたち自身もリズムゲームが好きなため、プレイ可能な楽曲数は多く、チームのオリジナル楽曲だけでなく著名なコンポーザーによる楽曲も収録したい、という思いのもとに本作は作られています。
(画像はDrossel/Studio公式サイトより引用)
その情熱の結晶として、本作は有名楽曲を含めた多数の楽曲を収録できています。外部のコンポーザーへ新曲を依頼するときは、基本的に自由に作ってもらい、譜面はそれに合わせる形で作っているといいます。
譜面は「スマートフォンを持った状態でプレイすることを考え、両手の親指だけで遊べるようにノーツの同時押しは2つまで」といった独自のガイドラインを設けたうえで制作しています。
外部に依頼するとなるとコストがかかるのは当然ですが、本作は基本的に無料で、有料のコンテンツはほんの一部のみ。支出をまかなえる気がしないので質問したところ、「本作はリズムゲーム好きが趣味で作っております。赤字での運営ではありますが、できる限り開発を続けていきたいです」とのコメント。
今後の目標としては、他作品のコラボレーションや、コンポーザーとの繋がりを生かした新作リズムゲームの開発も行いたいと語っていました。
『シノビスラッシュ / 妖』公式サイト東京ゲームショウ2023公式サイトゲームを遊び、ゲームを作り、絵を描き、文章を書くエビです。
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