インディーゲーム展示会「横浜ゲームダンジョン」フォトレポート!360°の実写動画を使ったVRホラーや、相場を見ながら怪獣の部位を解体・売買する経営シミュレーションなど7作品を紹介

2023.08.27
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2023年8月27日(日)、学校法人岩崎学園 横浜デジタルアーツ専門学校にて、インディーゲーム展示会「横浜ゲームダンジョン」が開催されました。本記事では、会場の様子や、ピックアップした出展ゲームをフォトレポート形式で紹介します。

TEXT・PHOTO / セレナーデ☆ゆうき

EDIT / 神谷 優斗

目次

初の開催となる「横浜ゲームダンジョン」は出展料・入場料が無料

「ゲームダンジョン」初となる横浜で開催された「横浜ゲームダンジョン」。学校法人岩崎学園 横浜デジタルアーツ専門学校とのコラボにより実現した同イベントは、出展料・入場料が無料です。

会場となる学校法人岩崎学園 横浜デジタルアーツ専門学校には、インディーゲームクリエイターを中心に120以上の団体が出展しました。

学校法人岩崎学園 横浜デジタルアーツ専門学校。新横浜駅から徒歩7分の場所に位置する

「横浜ゲームダンジョン」は、横浜デジタルアーツ専門学校の2階および3階で開催された。写真は開場前に撮影したもの

気になる作品たちをフォトレポート!

『JackALoop』作者:JACKAL

ゲーム開発サークル「JACKAL」による、1vs1のオンライン対戦アクション『JackALoop』。3ラウンドのうち、最終ラウンドでステージ内に存在するコアを占拠したプレイヤーが勝利します。

相手プレイヤーと出会わないように立ち回るか、あるいは積極的に倒しに行くかといった戦略性も特徴的ですが、何よりもこのゲームを象徴する特徴が「ループ」要素です。

なんと、ラウンドが進むたびにマップに過去ラウンドの自分が現れ、共闘できます。過去ラウンドの自分は、それぞれのラウンドの動きをもう一度再生するように動きます。相手に倒されてしまっていた過去の自分を、もしも次のラウンドで助けることが出来たとしたら……?そんなタイムパラドックスを起こしながら、あなたは生き残ることができるのでしょうか?

同作はモバイルで動作する

試遊では、スキルの組み合わせによって戦法や立ち回りも大きく変わり、かといって組み合わせによる大きな不利などは見られないような、絶妙なバランスが成り立っていました。

ラウンド開始前には使用するスキルを選択する

マップとコアの配置

上記動画で紹介されている「タワー」などのコンテンツは、採用の可否なども含めて更に鋭意研究中とのことです。

JACKALメンバーの皆さん

「JACKAL」Xアカウント

『TOKYO ENDRE4MZ』作者:E.N.D.R.I.

現実とネットの世界を題材にした、ARG風アドベンチャーゲーム。ストーリーを進める中で、プレイヤーは現実とネットの世界を何度も行き来することになります。時にはインターネット上のニュース記事を読み、時には街で聞き込みをして、町に巣食う秘密結社の謎を解き明かすことが目的です。

試遊では序盤を遊ぶことができ、主人公の住む吉祥寺駅周辺のほか、秋葉原駅周辺を探索できました。

自宅にあるPCでは、メールやニュース記事のほか、15年ほど前の大型インターネット掲示板さながらのインターネット掲示板を閲覧できます。秋葉原駅周辺ではインターネットアイドルやメイドさんの姿も見られ、一見平和(で、ちょっとブラック)な「あの頃の秋葉原」が見えるなど、2000年代のインターネットを愛する方々には垂涎ものの空気を楽しめます。

しかし、そんな秋葉原も裏路地に入ると怪しい雰囲気が……?ストーリーが進むにつれ、吉祥寺駅周辺にも不気味な男の顔が描かれた張り紙が貼られたり、近所では行方不明者が出たりと、どこか怪しい雲行きが感じられるように…。

というところで試遊は終了。この先の展開がとても気になる作品です。リリースは来年から再来年を予定しているとのこと。

『TOKYO ENDRE4MZ』 Xアカウント『TOKYO ENDRE4MZ』 YouTubeアカウント

『Project Y』作者:Y-PROJECT

寄稿している雑誌の企画のため、「聞くと呪われる」とされる怪談を複数の人間から蒐集する、フリーライターの流川 英二氏。「聞くと現れる」「見たら障る」、そして「出会えば最期」……。プレイヤーは流川氏の撮影した映像を視聴し、怪奇を追体験しつつ呪いの痕跡を探す、実写VR心霊ホラーゲームです。流川氏の撮影した取材映像やVlogは全天球映像になっており、プレイヤーは自分の意志で周囲を見渡すことができます

試遊では、流川氏がバーを経営するある女性から怪談を聞く場面を体験できました。場面の途中、コップが急に落ちるなどの怪奇現象が……。そして、視界にノイズが入ってきたかと思うと、バーのボックス席に女性のような奇怪な姿が!こういった「呪いの痕跡」を見つけることで、ストーリーが進行します。

今回は流川氏による取材映像と、自宅でのVlog映像などを見ることができました。しっかりと驚く実写映像になっており、ホラーゲームが苦手な筆者は会場で体をビクつかせてしまいました。もしかすると、それぞれの映像から得られる情報は何か繋がりがあるのかも……?と、怖いながらも解決編まで見たくなってしまうホラーゲームでした。

試遊で体験できた流川氏の取材映像

『Project Y』 Xアカウント

『ことのはレルナード』作者:SukeraSparo

プレイヤーは主人公の美少女 高遠 凜となり、迷い込んでしまった異世界で現地の言語を理解するために奔走します。この作品は、いわゆる「百合ゲー」に、(異世界の)言語学の要素を入れた美少女アドベンチャーゲーム『ことのはアムリラート』の派生であり、『ことのはアムリラート』よりも言語学習にフォーカスした作品です。

『ことのはレルナード』を含むこれらの作品では、エスペラント(※)をベースにした「ユリアーモ」と呼ばれる異世界の言語を学ぶことができます。ゲーム感覚で言語学習でき、また作中のオリジナル文字ではなくアルファベットに変更できる点、日本エスペラント協会が言語監修している点などから、実際にエスペラント学習の入り口としても高い評価を得ているとのこと。
※ ラザロ・ルドヴィコ・ザメンホフが考案した人工言語

試遊では、単語や例文の穴埋め問題に挑戦するほか、単語帳スタイルの辞書「眺める辞書」が閲覧できました。

問題を解く際には、「1文字だけ表示する」などのヒントや、「例文の意味を非表示にする」ハンデによって難易度調整が可能

「意味のみを表示」「単語のみを表示」などのオプションも用意されていた

クラウドファンディングによる応援の声を大きく受けて制作されているこちらの作品は、ブースに展示されたグッズも非常に可愛く、可愛い女の子と言語学が好きな方には特におすすめです。

「SukeraSparo」 公式サイト「SukeraSparo」 Xアカウント

『ShipSwing』作者:Tier-4 Games

宇宙船「アストロ号」を操り、惑星の万有引力を利用した移動「スイングバイ」を使って各ステージのゴールを目指す、超爽快グラビティ・アクションゲームです。
スイングバイが発動すると宇宙船が加速・旋回するうえ、バッテリーも回復。星々を利用してスイングバイしながら、ゴールであるワープゲートに到達できればステージクリアです。

Tier-4 Gamesのお二人

試遊では、いくつかのステージをプレイできました。操作性を理解するための易しめなステージから、ゴールするだけでも非常に難しいステージまで用意されており、大きなやりごたえを感じました。

ステージにはタイムアタック要素があり、クリアタイムによって評価のランクが変動します。加えて、難易度設定も存在し、高難易度では高ランクを獲得できるタイムがよりシビアになるなど「上手になりたい!」という気持ちを刺激する作品です。

画面左の惑星に近づくことでスイングバイが使える

クリアタイムによってGOLD・SILVER・BRONZEのランクが獲得できる

『ShipSwing』はすでにSteamでリリースされており、将来的にはポーズ画面で見られるミニマップの改良など、遊びやすさを向上させるアップデートが予定されています。

『ShipSwing』 Steamストアページ「Tier-4 Games」 Xアカウント

『ハネルバブル』作者:全自動シャボン玉割り機

泡を題材とした、爽快アクションゲーム『ハネルバブル』。たくさんの泡をもってゴールに向かうことが目的のゲームです。

特徴的なのは、泡を使ったアクション。主人公の後ろについてくる泡は、投げたり、踏みつけたり、敵を包んだりとさまざまな用途を持ちます。敵キャラクターたちに泡を割られないよう気をつけつつ、泡を駆使して進んでいきましょう。

試遊時点で(チュートリアルを含めず)20ステージも遊ぶことができる大ボリューム!「日本ゲーム大賞2023 アマチュア部門」受賞に納得できるほどの完成度でした。泡を使いすぎるとゴール時のランクが下がってしまうシステムと絶妙なステージの難易度が相まって、何度でもやりたくなる面白さを生みだしていました。

リリースは未定とのこと。日本工学院専門学校の学生チームによって製作された同作は、就職活動などにおけるポートフォリオになるそうです。

『怪獣分解コンパニー』作者:dot.studio

世界には、怪獣がはびこっています。ところで、勇敢な者によって倒された怪獣は、その後どうなるのでしょうか?

そう、解体しますよね。怪獣には、血や骨に脂肪分、皮など、商品価値のある部位がたくさんあります。そんな怪獣の身体部位を売買してお金を稼ぐことがテーマの経営シミュレーションゲームが『怪獣分解コンパニー』です。

名前にオリジナリティがあるという理由から、Companyを「カンパニー」ではなく「コンパニー」と表記したとのこと

制作者いわく「オフィスを大きくしていく経営シミュレーションはあるが、商品の売り買いで単純にお金を稼いでいく経営シミュレーションはなかった」ことから生まれた同作。

ゲームのルールはとても簡単です。討伐済みの怪獣をオークションで購入し、従業員が解体、得られた素材を売ってお金を稼ぐだけ。素材は買い取ることもでき、安く買った素材を高くなった時に売る、株式取引のように利益を生むプレイも可能です。売り時・買い時を見極めて1円でも高く利益を得られるかどうかの駆け引きが楽しめる作品です。

「横浜ゲームダンジョン」では、人が絶えない人気のブースとなっていました。完成までの進捗は20%ほどとのことで、まだリリースまでには時間がかかるそうですが、現場でプレイしただけでも「ハマりそう!」と直感で思ってしまう、シミュレーションの奥深さが垣間見えました。

同作は映画『大怪獣のあとしまつ』にインスパイアされているそう

「dot.Studio」 Xアカウント

2024年1月には、「東京ゲームダンジョン4」が予定されているとのこと。まだまだ盛り上がりを見せる「ゲームダンジョン」に、次回は出展者として参加してみてはいかがでしょうか?

今回の「ゲームダンジョン」はいつもの東京ではなく横浜での開催となりましたが、「東京ゲームダンジョン」と変わらず多くの出展者・来場者で大きな賑わいを見せていました。

なお、ゲームメーカーズでは2023年7月30日(日)に開催された「東京ゲームダンジョン3」のフォトレポートも掲載しています。こちらも併せてご覧ください。

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「横浜ゲームダンジョン」 公式サイト「東京ゲームダンジョン」 Xアカウント
セレナーデ☆ゆうき

ゲームのタイムアタックを中心に、ストリーミングサイト・Twitchで活動をしているストリーマー。ゲームイベントの紹介記事など、WEBメディアでの活動実績もあるが、繰り出されるダジャレのクオリティには賛否両論がある。

https://www.twitch.tv/serenade_yuuki

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