2023年4月15日(土)、東京・ベルサール秋葉原でインディーゲームの展示を中心としたイベント「TOKYO SANDBOX」が開催されました。公式発表によれば、80組以上の出展者のうち20組以上が海外出展者とのことで、たしかに会場を見渡すと国際色豊かなことが伺えました。
本記事では、そんな会場のなかでライターが「面白い!」と感じた作品をピックアップして紹介します。
2023年4月15日(土)、東京・ベルサール秋葉原でインディーゲームの展示を中心としたイベント「TOKYO SANDBOX」が開催されました。公式発表によれば、80組以上の出展者のうち20組以上が海外出展者とのことで、たしかに会場を見渡すと国際色豊かなことが伺えました。
本記事では、そんな会場のなかでライターが「面白い!」と感じた作品をピックアップして紹介します。
TEXT / arissa
EDIT / 藤縄 優佑
フランス系カナダとマダガスカルにルーツを持つSalim Larochelle氏が、家族のルーツを調べていくなかで得た知見を元に開発しているタイトルが『Hiboka』です。
ゲームの舞台は1942年のマダガスカル。フランスに植民地化されていた時代です。プレイヤーはフランス人の「Alexandre」とマダガスカルに住む女性「Ramala」を操作しながら、マダガスカルの民話で伝わる「Hiboka」……日本でいう常世のような世界を目指します。
本作はホラーアドベンチャーゲームで、謎やギミックを解いてストーリーを進めますが、ときには襲いかかってくる敵と戦うアクションパートも展開されます。
開発チーム「Flying Carpets Games」は、メインメンバー3人はカナダに、アート担当は日本、音楽担当が英国に在住と、世界中に散らばっています。
その影響もあってか、多言語対応には力が入っています。取材時点で英語・日本語・フランス語・マダガスカル語は確定で、さらに多くの言語にも対応したいと意気込みを見せていました。
『ジオラマナイト』は、そのタイトル通りジオラマのようなポップな見た目が特徴の、1対1で戦うターンベース戦略シミュレーションです。お互いダンジョンの最上階からスタートし、ナイトなどのユニットを配置・指揮しながら、相手より早く目標を達成できれば勝利。
目標は相手ユニットの全滅ではなく、ダンジョン最下層にある宝箱の入手やボスの討伐です。そのため、相手ユニットを倒して侵攻を阻みながら、いち早くダンジョンを攻略する必要があります。
ユニットは、離れた位置の敵を攻撃できたり周囲を巻き込んで自爆したりと、種類によって特徴が異なり、呼び出すコストも変わります。
コストを支払うためのお金は、穴を空ける、敵を倒すといったアクションで獲得可能。ユニットごとの特徴をつかみ、現在の資金と相談しながら状況に合った最適なユニットを呼び出したいところです。
また、空けた穴はバトル中そのまま残る、落下した場所に敵ユニットが居た場合は倒せる、相手ユニットを倒すと同じ場所に墓のオブジェクトが登場する、といったシステムも備えています。
そうした仕組みを鑑みると考えるべきことが多く、一手の重みを感じます。それだけ対戦しがいのある作品ともいえるでしょう。
『ジオラマナイト』の開発メンバーは、プログラマーのT. Sawa氏とアーティストのMIKIHIRO HAYASHI氏。2人とも、本作開発のために会社を辞めてフリーランスとして活動しています。
4年以上の開発期間を経ている本作については、「今年中にリリース!」「Twitterでの告知も頑張ります!」と意気込んでいました。
かわいらしい邦題『びびばっけ』。これは、日本語の翻訳を担当した方が考案してくれたものだと、開発者のBen Sherratt氏は話してくれました。
アドベンチャーゲーム『びびばっけ』は、暗闇が怖くて、夜に墓場にやってきた子どもたちも怖くて、自分のねぐらを陣取る気の強いネコに「どいてほしい」とも強く言えない気弱なオバケが主人公。
墓場ではしゃぐ子どもたち全員を立ち退かせたらどいてあげる、というネコの依頼を渋々ながらも引き受けた、びびりのオバケが奮闘する内容を試遊できました。
ステージ上を歩き回る子どもたちに見つからないようにこっそり立ち回り、暗闇の中を進めないオバケのために明かりを灯して行動範囲を広げます。
道中ではチェックポイントとしても機能する、多くのネコたちからアドバイスをもらいつつ、子どもをびっくりさせる道具を入手するなどしてゲームは進行します。
Ben氏に話を伺うと、小さなころからオバケが苦手で、今でもちょっと怖いそうです。なんとか克服しようと考えた末に、「こんなオバケだったらきっと怖くない」というイメージを元にした主人公を作り上げ、このゲームを開発しているといいます。
主人公にとって恐ろしい存在である子どもたちがオバケに興味津々なのは、Ben氏が住むイギリスでゴーストハント(肝試し)が子どもたちの間で流行っており、その子たちの反応を忠実に描いたから、とBen氏は笑いながら話します。
Ben氏が主に利用しているゲームエンジンは「Pico-8」。同氏はゲームの根幹部分をサッと作ったあとに調整しながら作るスタイルが好みで、Pico-8はその手法に合うエンジンだと感じているそう。
『びびばっけ』の進捗は、根幹部分は完成し、かわいさや面白さはそのまま保ちつつ、コンテンツの拡充を考えている段階と話していました。
『Thunder of the DemonKing』は、マウスを使ったシンプル操作のタワーディフェンスゲームです。ちまっとした二頭身の敵がひっきりなしに襲ってくるので、プレイヤーはこれを撃退します。
攻撃手段は落雷のみ。ステージ上の好きな位置にクリックするだけで即座に雷を落とせるうえ、長押ししすれば落雷範囲が広がり、強力になります。ただし、長押ししている間も敵は侵攻の手を緩めません。
敵がまばらならシングルクリック、敵がまとまって押し寄せてきたら長押しなど、状況を見極めて攻撃を使い分けて猛攻をしのぎます。
開発チーム「teamHoliday」はKako氏と西川 圭祐氏、大前 司氏の3人チームで、趣味の一環としてゲームを作っています。本作の展示デモは「Unity1週間ゲームジャム」で作った『Demon’s Holiday』をベースに、本イベント出展を目指して2週間で作り上げたといいます。
先に述べた通り、チームの皆さんは趣味としてゲームを開発しています。本作にかけられる時間が限られたなか、ゲームイベントに出展することをモチベーションにしており、いわゆる「イベント開発駆動」の方式で制作したそうです。
出展の感想を聞いてみると、「たくさんの方に試遊してもらえたことが本当に楽しかった」とにこやかに話す姿が印象的でした。
Kevin Lim氏が主催するTOKYO SANDBOXは、海外のゲーム開発者も大歓迎とのこと。開催時は日英通訳ができる方を会場に必ず手配していることから、今回も海外の開発者さんが多数出展していました。そのおかげか、本イベントのためだけに来日している開発者さんもいるそうです。
国際色豊かで、完成が楽しみな作品ばかりだったTOKYO SANDBOX。気が早いとは思いつつも、次回の開催が今から待ち遠しくなるイベントでした。
「TOKYO SANDBOX」公式サイト「TOKYO SANDBOX」Twitterアカウントインディーゲーム翻訳者、ゲームデザイナー勉強中。時々ゲームメディアにも翻訳、インタビュー、イベレポ記事の執筆で関わっています。ゲーム以外は、旅人映画が好き。
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