時を渡るタクシーで“大統領暗殺事件”の謎に迫る――世界の命運を賭けたSFアドベンチャー『TIMEMOON』試遊レポート【BitSummit the 13th】

時を渡るタクシーで“大統領暗殺事件”の謎に迫る――世界の命運を賭けたSFアドベンチャー『TIMEMOON』試遊レポート【BitSummit the 13th】

2025.08.01
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2025年7月18日(金)から20日(日)に京都みやこめっせで開催されていた「BitSummit the 13th」。本記事では展示作品の中から、「けんこうランド」のココロ・テン氏が開発しているADV『TIMEMOON』を紹介します。

TEXT / tyap
EDIT / 浜井 智史

目次

タイムトラベル先はプレイヤー次第。タクシー車内で乗客の本音/建前を見極める

『TIMEMOON』は、2150年の近未来を舞台にしたSFアドベンチャーゲームです。

プレイヤーは月面都市のタクシードライバーとして乗客を目的地まで運転しますが、目的地は単なる場所ではありません。過去や未来に渡航して目的の時間軸へ送り届ける、いわゆる「タイムトラベル」が行われます。

タイムトラベルによって過去のニュース内容が書き変わってしまう

タイムトラベルするタクシーとなると、それを利用する乗客の事情もさまざまです。

試遊では「ライフ・アンド・カンパニー」社のCEOである「ラ・ウィルソン」(以下、ウィルソン)を乗客に迎えてプレイすることができました。

ウィルソンは会社のさらなる繁栄のため、未来へのタイムトラベルを指定しましたが、彼を本当に未来へと送り届けるべきなのでしょうか?

繰り広げられる会話を通じて、乗客がタクシーを利用する表向きの理由と、心の中に潜む裏の動機を探り、乗客にとって最適なタイムトラベルを運転しましょう。

本作に登場する乗客たちには、さらに大きな事情が隠されています。それは――彼ら全員が大統領暗殺事件の容疑者であること。

主人公自身も市民ランクという制度への事情に縛られており、その立場は運転中の選択肢によって変動していきます。

市民ランクを上げるために暗殺事件の真相を突き止めたい主人公と、容疑者として疑いの目を向けられる乗客たち。タイムトラベルという目的の裏で、互いの探り合いや猜疑心が交錯した末に、車内には張り詰めた空気が漂っていきます。

会話がヒートアップすると運転スピードが加速。画面は緊張感に包まれたレイアウトへと変貌する

本作の特徴の一つとして、時間制限の課された選択肢やQTEといったリアルタイム性を重視するシーンが多く存在します。

テンポよく進むテキストにスピーディーな映像表現、主人公の目線や乗客の表情、迫り来る選択肢のタイムリミット――随所に凝らされた粋な演出だけでなく、マウスでの直感的な操作が会話にリアリティを与えています。

タクシーという密室で繰り広げられる1対1のコミュニケーション。スピード感と緊張感あふれる体験を楽しみましょう。

臨場感あふれる映像をティラノスクリプトで実装。キーフレームアニメーションや3D機能などを駆使した表現技法

ブースには「記憶保持のためにメモの付箋を全身に貼り付けている」という設定のキャラクターのパネルが設置されており、ゲームの感想を付箋に書いて貼ることができた

開発者のココロ・テン氏にお話をうかがうと、本作の開発を始めたのは約1年前。前作となる『世界滅亡共有幻想マミヤ』(以下、マミヤ)の完全版をリリース後にスタートしたといいます。

開発初期は「2150年の月面が舞台」という情報をベースに方向性を模索しつつ、様々な設定を組み合わせている状態でした。

そこで、世界観の土台を固めるべく資料収集に専念する期間を設け、現実の社会情勢や歴史背景について情報を集めた結果、「大統領暗殺事件」という印象的な題材にたどり着きました。

リアリティを追求した設定に加えて、本作のストーリーはタイムトラベルで発生した過去の出来事が未来に大きく影響する多層的な構造を取っています。設定の統合性と時系列を管理するため、FigmaMiroを活用しています。

開発にはティラノスクリプトを使用。グラフィックはドットのピクセル数が混在した特徴的なピクセルアートを描画しています。

前作の『マミヤ』での厚塗り調のグラフィックスタイルから一転した本作。アニメーションの使用と作業コストのバランスを考慮し、ピクセルアートでの表現方法を採用しています。

また、左右に分割された画面レイアウトは『The Cosmic Wheel Sisterhood』や『Papers, Please』に影響を受けているとのことです。

キャラクターや背景のアニメーションが魅力的な本作は、多彩な手法によって世界観を際立たせています。

たとえば、運転中に背景のビルが手前から奥へと移動していくアニメーションは、3D機能を活用して奥行きのある背景を表現。リアリティのある背景が実装できた反面、3D機能のレイヤーや表示挙動の把握にはかなり時間を要したそうです。

また、ライティングや陰影のアニメーションにも丁寧な工夫が施されています。運転中の画面では、キャラクターの顔や肩に街灯などの光が反射して点滅するようなライティングをキーフレームアニメーション機能で演出し、画面に立体感を生み出しています。

さらに、最新のPVではトンネル内の照明を彷彿とさせるアニメーションも確認できます。

先に紹介した点滅するライティングとは異なり、キャラクターの顔の形状に合わせて陰影の形が変化しています。

トンネル内におけるライティングのアニメーションは手描きで作成。ループ処理はキーフレームアニメーション機能ではなく、まばたき用プラグインを応用して実装したとのこと

本作はクリエイター支援プロジェクト「創風」のゲーム部門2期生に採択されています。

開発は基本的に個人で進めていますが、外部からの進捗管理や支援を受けたいとの思いから「創風」に応募したそうです。

今後もさまざまな支援制度を活用しながら、さらなる作品の充実を目指して開発を進めていく予定です。

前作である『マミヤ』から続くビジュアルノベルとしてのミステリーの面白さに加えて、新たに融合したアニメーションセルワークとインタラクティブ性がポイントです」と、ココロ・テン氏は本作の魅力を説明しました。

「けんこうランド」公式Bluesky https://bsky.app/profile/kenkouland.bsky.social
ストアページ https://store.steampowered.com/app/3305750/TIMEMOON/
リリース時期 2026年
「けんこうランド」公式Bluesky「BitSummit」公式サイト
tyap

ゲームを遊び、ゲームを作り、絵を描き、文章を書くエビです。

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