ゲームメーカーズが「メディア賞」作品として『Fantasketch』を選出しました【BitSummit the 13th】

ゲームメーカーズが「メディア賞」作品として『Fantasketch』を選出しました【BitSummit the 13th】

2025.07.19
ニュースBitSummit2024
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2025年7月18日(金)から20日(日)の3日間、京都みやこめっせで開催されたインディーゲームの祭典「BitSummit the 13th」。

19日(土)のメインステージでは、2025年度のアワード作品を選出する授賞式が行われました。ゲームメーカーズはMEDIA HIGHLIGHT AWARD(メディア賞)として『Fantasketch』を選出し、編集長の神山が登壇しました。

TEXT / 神山 大輝

目次

MEDIA HIGHLIGHT AWARDとして『Fantasketch』を選出

BitSummit AWARD授賞式では例年「INNOVATION(革新的反骨心賞)」「GAME DESIGN(ゲーム・デザイン最優秀賞)」など6つの項目で表彰が行われています。

今年度はゲームメーカーズがAWARDのひとつ「MEDIA HIGHLIGHT AWARD(メディア賞)」に参加し、『Fantasketch』(開発:Skeleton Crew Studio、開発協業:キグチーム)を選出しました。

描いた絵がそのまま動く2Dアクションパズル

Fantaskech(ファンタスケッチ)』は、プレイヤー自身が一筆書きで描いた絵を操作してステージを攻略していく、2Dアクションパズルゲームです。描いた図形はそのままキャラクターとして動かすことができ、物理的な形状やインクの色による特殊能力を活かしながらゴールを目指します。

丸い絵を描くと……

そのまま丸いキャラクターになる。左右に移動して転がりながらゴールを目指す

描いたキャラクターを踏み台にして進む

どの色で描いた絵も「寝る(その場に留まる)」という行動が可能で、プレイヤーは状況に応じてキャラクターを止め、スロープや橋などに活用します。「寝る」を選択したあとは、再び新しいお絵描きをすることができます。

キャラクターは左右移動しかできないため、段差を上がるためには三角形の図形を描いてスロープとして使い、その後丸を描いて転がって進むなどの工夫が必要になります。

三角形でスロープを作る。ちなみに、インクが「赤色」という部分にもきちんと意味がある

インクの能力は3種類。最もスタンダードな黒いインクは能力を持たない足場などのリソースに活用するインクで、赤いインクは木箱などの障害物を燃やして消すことが可能。そして青いインクは特定の場所に「くっつく」特性を持ちます。

また、寝ているキャラクターがゴールに触れてもステージクリアとなるため、ゴール近くで寝かせたキャラクターを操作キャラクターで押し込むなどの戦略が取れる点も創意工夫があって面白いと感じました。

赤いインクの四角形を押して木箱を消していく。描いた絵の形状だけでなく、インクの色選択や手順も重要になってくる

創造的な遊びとパズルが上手く組み合わさった“バランス感覚”の良い作品

「お絵描き」という創造的でアナログな遊びをゲームに取り入れるアイデア自体は普遍的なものですが、本作は描いた絵が図形的、あるいは機能的な意味を持ち、アクションパズルというデジタルなルールベースの遊びと上手く結びついた点を評価しました。

物理挙動がある点も、お絵描きの「揺らぎ」と相性がよいと感じました。丸いキャラクターは「寝る」の後もどこかに転がってしまったり、歪な形状のキャラクターは訳の分からないスキマに挟まってしまったり、うまくコントロールできないもどかしさがあります。ただ、そのもどかしさも、元を正せば自分が描いた絵が原因。ストレス感より「次はこうしよう」という創意工夫に意識が向く作品だと思いました。

正解が1つではない楽しさ

お絵描きと物理挙動のおかげで、ステージの攻略法が一本道でないのも良いところです。デモ用のステージは比較的シンプルな攻略ルートに落ち着いていた感覚もありましたが、「もっと自由な発想でクリアできそう!」「もっとヘンな形状を描きたい!」など、この先のステージを見てみたいという高い期待感を覚えました。

このほかにも、描いたキャラクターのインク量が重量に影響を与えており、重いキャラクターは障害物オブジェクトを押して動かせるなど、今後のゲーム性の広がりに期待できる要素も多いです。

創作性を高めると、ゲーム性の担保が大変になる。こうした中、本作は「絵を描く」という高い創造性を維持しながら、描いたものに意味を持たせてパズルゲームとして成立させている点において、アイデア一本勝負ではない奥深さのあるゲームであると感じたため、メディアハイライトアワードに選出いたしました。

ゲームメーカーズでは今後もBitSummit記事を更新予定!

今年のBitSummitは「ひとつの完成されたゲーム」としてクオリティが高い作品が多い一方、独創的・挑戦的なタイトルも数多く見られました。ボードゲームブースの初出展や、昨年も登場した変わったコントローラーを使う「make.ctrl.Japan」などユニークなブースも多く出展しています。

ゲームメーカーズでは、今後も編集部やライターがそれぞれの目線で選んだ作品のプレイレポートを掲載予定です。どうぞ楽しみにお待ちください。

Fantasketch「BitSummit the 13th」公式サイト
神山 大輝

ゲームメーカーズ編集長およびNINE GATES STUDIO代表。ライター/編集者として数多くのWEBメディアに携わり、インタビュー作品メイキング解説、その他技術的な記事を手掛けてきた。ゲーム業界ではコンポーザー/サウンドデザイナーとしても活動中。

ドラクエFFテイルズはもちろん、黄金の太陽やヴァルキリープロファイルなど往年のJ-RPG文化と、その文脈を受け継ぐ作品が好き。

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