天空は、Shenzhen GPD Technologyのデュアルディスプレイ搭載ノートパソコン「GPD DUO」の国内正規版を2024年12月13日に発売することを発表した。価格は246,700円(税込)から。現在、GPDダイレクトやAmazonなどで予約を受け付けている。2024年10月22日に都内で行われた発表会にて実機を触ってみたので、そのレポートをお届けする。
TEXT / 松井ムネタツ
EDIT / 酒井理恵
2枚目のディスプレイが叶える「GPD DUO」の多彩な使い方
ノートパソコンのGPDブランドは、2017年発売の「GPD WIN」から”小型で高性能”なノートパソコンを展開し、直近では「GPD WIN Max 2 2024」や「GPD WIN Mini 2024」といった超小型のゲーミングノートパソコンを発売。昨今のUMPC(Ultra-Mobile PC)ブームの先駆け的な存在とも言えるのがGPDブランドだ。そんな中で発表された「GPD DUO」は、GPDシリーズに新たな流れを生み出した機種とも言うべき存在で、ゲームプレイはもちろんのこと、ゲーム開発を含めたクリエイティブ方面でもしっかりと活躍できるノートパソコンとなっている。
その最大の特徴は、名前と見た目からも分かる通り、有機ELディスプレイが上下に2つある、という点だ。
たとえば筆者は、この記事を執筆するなどライター仕事をしているわけだが、自宅のデスクトップパソコンではディスプレイを2枚使って作業している。1つは実際に執筆作業に使い、もう1つのほうではブラウザを開いて調べ物をしたり、ゲーム画面を表示させたり……といった使い方だ。同じような使い方をしているクリエイターはライターに限らず存在し、マルチディスプレイ環境は作業の効率化に必須と言ってもいいだろう。
この「ディスプレイが2つ」という環境をノートパソコンで外出時にも実現させたい……と考えると、別途モバイルディスプレイを用意する必要があるが、一緒に持ち歩くのはちょっと面倒。とはいえ、ディスプレイが2つある環境は作業効率が44%アップするし、1時間あたり5分節約できると聞いたら、家だけではなくノートパソコンのディスプレイもやはり2つあったほうがいいと考えてしまう。
そこでこの「GPD DUO」だ。普通のノートパソコンにおけるディスプレイの上部にヒンジがさらにあって、そこにもう1つの同サイズ(13.3インチ)ディスプレイがある。閉じているときは2枚が折りたたまれて収納されており、これを展開すると上下に並ぶ形になる。自宅環境だと左右に設置している人が多いと思うが、縦に並べても2画面の便利さは引けを取らない。
上部ディスプレイは反対側まで倒すことができ、さらに表示をOFFにすることも可能(キーボード上で上部ディスプレイのON/OFFが可能)で、通常のノートパソコンと同じように1画面だけでいいときに使用するラップトップモードとなる。背面(上部)のディスプレイ表示をOFFにすれば、画面を誰かに見られる心配がなくなり、逆に背面も表示をONにするスタイルは、プレゼンテーションでも活用できるモードとなる。
つまり、この「GPD DUO」は、以下の4つのモードで使用することができる。
- 通常のノートパソコンと同じようにディスプレイ1つのモード(下部のディスプレイだけ表示ON)
- 上下に展開してディプレイを2つのモード(2つともON)
- ディスプレイを背中合わせにして、他の人にも見せるモード(2つともON)
- 折りたたんでタブレット状態で使用するモード(表面になった上部ディスプレイのみON
さらに上部のディスプレイは外部入力にも対応しており、Nintendo Switchなどの各種ゲーム機やスマートデバイスの画面を、UBS Type-C(※)端子に接続して画面を表示させることができる。これも便利な機能のひとつだろう。
※ 接続にはDisplayPort Alternateモード(DP Altモード)を使用。DisplayPort Alternateモードとは、USB Type-Cの拡張機能の1つで、HDMIケーブルを使わなくてもUSB Type-Cポートへの接続でモニターなどのデバイスに映像出力ができる。映像出力する側のデバイス、映像入力する側のデバイス、接続するケーブルの3点がDisplayPort Alternateモードに対応している必要がある
「ディスプレイ1枚分」加わって約2.3kg&約25万円
基本的なスペックまわりを確認しておこう。13.3インチの有機EL(OLED)ディスプレイは2つとも同じ2,880×1,800(3K)のもの。CPUはAMD Ryzen 7 8840UかAMD Ryzen AI 9 HX 370で、AIアプリケーションにも対応。ストレージは1~2TB、メモリは32~64GB。本体サイズは約297×209.65×23.8mm、重さは2,285g。バッテリーは80Whと大容量で、1,080pの動画なら最大30時間再生し続けることが可能となっている。
GPUはAMD Radeon 890MもしくはAMD Radeon 780M。ベンチマークを調べるとNVIDIAならGeForce GTX 1650 Ti前後の性能なので、いまどきの最新3Dアクションゲームを遊ぶ場合の動作保証環境ぐらいのスペックだろう。
246,700円(税込)からという価格は同じクラスのノートパソコンと比べると高額だが、モバイルディスプレイを別途買うと思えば納得のできる価格帯ではある。それ以上に気になるところがあるとすれば、やはりその重量感。A4サイズ相当なのはいいとして、厚さが23.8mmとひと昔前のノートパソコンクラスで、重さは約2.3kgと決して軽くはない。十分なバッテリー+デュアルディスプレイとのトレードオフだと思えば許容できる範囲ではある。
ともあれ、展開すると縦に2つ並ぶディスプレイのインパクトは絶大。これを喫茶店で広げたら間違いなく注目を浴びるはず。ガジェット好きなら入手したい逸品であるのは間違いない。
GPD DUO 主な仕様
基本情報
CPU
GPU
容量
ディスプレイ
インターフェース
マルチメディア対応
ネットワークコミュニケーション
I/Oデバイス
バッテリー
外観
GPD DUO取扱店
「GPD DUO」製品ページ(天空)パソコンゲーム雑誌、アーケードゲーム雑誌、家庭用ゲーム雑誌を渡り歩き、現在はフリーのゲーム系編集/ライター。マイベストゲームは『ウィザードリィ 狂王の試練場』で、最近だと『Forza Horizon』シリーズに大ハマリ。メインPCはAlienware Aurora。セガ・レトロゲーム系メディア「Beep21」副編集長をやりつつ、ボードゲームメディア「BROAD」編集長も兼任。
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今日の用語
被写界深度(DOF)
- Depth of Field(DOF)とも呼ばれる。カメラの焦点(ピント)があっているように見える範囲のこと。
- 3DCGにおいて、1をシミュレーションするエフェクト。注目させたい部分に焦点を合わせ、それ以外の部分をぼかすことができる。ゲームの開発現場においては、ボケ自体のことを示すことが多い。
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