全世界2億6,000万ダウンロードを5年で達成した『Sky 星を紡ぐ子どもたち』。国内人気の立役者・金澤唯氏にインタビュー

2024.09.24
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MMORPGであり、ソーシャルコミュニケーションツール的側面も持つユニークなスマートフォンゲーム『Sky 星を紡ぐ子どもたち』(以降、『Sky』)。一言では表しにくいゲーム性でありながら、ローンチから5年で全世界2億6,000万ダウンロードを達成しています。そこに至るまで、マーケティング面ではどのような戦略を用いたのでしょうか。

2024年7月13~14日、新宿住友ビル三角広場で行われた5周年記念イベント「SkyFest2024」を訪ね、『Sky』を運営するthatgamecompany(以降、TGC)のジャパン・ジェネラルマネージャー 金澤 唯 氏にお話を伺いました。

「SkyFest2024」当日の様子も交えながら、金澤氏に主にマーケティング面から『Sky』の5年間を振り返っていただきます。

TEXT & INTERVIEW / じく
INTERVIEW & EDIT / 酒井理恵

「SkyFest2024」での一幕。『Sky』のプレイヤーが身につける「ケープ」を模したバッグを背負って講演を聞く来場者。簡単に背負えるバンドが付いている

金澤唯氏

TGC ジャパン・ジェネラルマネージャーを務める。
新卒で電通に入社し、10年間勤務。その後、広告業界やゲーム業界を経た後にマーケティング会社を設立。TGCはそのクライアントの1つだった。

金澤氏が、クライアントだったTGCのジャパン・ジェネラルマネージャーになるまで

——はじめに、金澤様の『Sky』での職務について教えてください。

TGCは私が設立したマーケティング会社のクライアントの1社でした。『Sky』のプレイヤーが増加してきて、2019年にジェノヴァ(※)と会った時に「『Sky』がどれくらい大きくなったら日本に支社を作ればいいかな?」と聞かれて「これくらいだよ」と目安を回答しました。すると『Sky』はすぐにそれを超えてきました。

ジェノヴァから「言われたとおりになったけど、どうすればいい?」と問われ「支社を作った方がいいね」「では作ってもらえるかな」「分かりました、作りましょう」と話が進みました。最初はただのコンサルタント、アドバイザリーとして入っただけでしたが、それから担当が増えていき今のポジションになりました。
※ ジェノヴァ・チェン(Jenova Chen)氏。thatgamecompanyの創業者であり、クリエイティブディレクター。

——ジャパン・ジェネラルマネージャーというのは、TGC日本法人の社長的な立場ということですか?

そうなりますが、TGCはあまりポジションによる上下関係がない会社です。日本的な「社長」ではないので「ジェネラルマネージャー」という呼び方をしていますし、実際のところは、組織のピラミッドのボスというより日本のTGCメンバーをまとめるサポート役のほうが近いと思います。

「SkyFest2024」開催を迎えて

——会場も楽しませてもらいました。「SkyFest2024」の特色やコンセプトをお聞かせください。

Skyの5周年記念イベントを日本で開催し、グローバルに祝おうという話が社内で挙がりました。世界中の『Sky』のファンに感謝するにあたって、日本はユーザー数が多く、かつ、ファンの熱量が非常に高い国でした。目的は「日本および世界中のファンに感謝する」ことにあり、ここまで1ミリもぶれていません。

——イベントとして空間やホスピタリティがとてもリッチに用意されている印象を受けました。

何度も話し合いを重ねまして、「何名の方が来場されるのが体験としてちょうどよいか」を検討しました。今回の会場である新宿住友ビル三角広場では展示会系イベントを行う場合の最大キャパシティ1,000名だと、やや窮屈になるとのことでしたので、1回の開催で入るお客様を500名に制限させていただきました。

余裕を持った会場スペースで来場者は「SkyFest2024」を楽しんでいた

ただ、そうなるとチケットは確実に完売になることは分かっていましたので、周囲に撮影などが可能な無料エリアを用意しています

「感謝する」というのが一番の目的ですので、楽しい体験にならなければなりません。そのためには並びすぎや混みすぎは避けるべきだと、過去の経験から判断いたしました。

——「SkyFest2024」ではリアルイベントとオンラインイベント、イベント会場とゲーム内を連動させる施策が行われていますが、どのような目的をお持ちだったのでしょうか?

『Sky』は心温まる人とのつながりを生むゲームであると同時に、テクノロジーにも多く投資しています。例えば、ノルウェー出身のシンガーソングライターAURORAさんのバーチャルコンサートを、2022年12月9日に『Sky』内で開催しました。このバーチャルコンサートは数千人の同時接続を記録し、翌年2023年の8月には同時接続1万人のギネス記録を達成しました。このためのテクノロジーも複数年かけて開発しました

YouTube動画『Full AURORA Concert Experience | Sky: Children of the Light』

こういった例のように、テクノロジー面でのゲームの進歩にも『Sky』は力を入れています。今回の「SkyFest2024」のようなリアルイベントとオンラインイベントが同時に進行するというものは他にはあまり見られないので、こういった新しいチャレンジをしたいと考えました。

ゲーム内(左)と会場(右)。中央の池、後方左の建物、赤いライトを放つ暗黒竜のパネルがゲーム内と会場でおおよその位置も一致するように設置されている

ゲーム内(左)の録画講演と会場(右)のライブ講演の様子。ゲーム内でライブ講演を放送する際には、講演者がゲーム内の精霊のアバターに扮する演出もあった

『Sky』というユニークなゲームを運営するために

——金澤さんにとって『Sky』はどんなゲームでしょうか?

すごく特殊でユニークなゲームだと思っています。たくさんある特徴的な要素の中で私が好きなのは、「人のためにゲームをする」ことを目的としてゲームが設計されている点です。日本のゲームの多くは「戦って勝つ」「レアなアイテムを手に入れて自慢する」といったものが多く、それはそれで私も大好きでたくさんプレイしています。

ただ『Sky』はそうではなく、どうすれば人と人がよりつながっていけるか、人のために何かをしてあげるということをゲームの中でどう実現できるか、というのを念頭にゲームを設計しています。その例として、友達がいないと入れないエリアや、友達がいると簡単になるクエストが多数存在しています。
また、「人と交流する」「人のために課金する」という前提で制作された『Sky』のようなゲームは世界でも類を見ず、そのコンセプトに強く惹かれて現在に至ります。

「SkyFest2024」のジェノヴァ・チェン氏の講演「オンラインゲームでの有害行為を防止するデザイン」より。シーズンパスの総売り上げのうち40%がフレンドにギフトとして贈られている。ギフトとして購入したほうが割引になるとはいえ、高いパーセンテージ

——たしかに、外から見ても特殊なゲームで、どのように運営を進めているのかと不安になる部分もあります。

私はゲーム業界に長くいる人間として、また、ビジネスサイドのリードとして、そういった面もケアする必要がありました。そこには苦しい時もたくさんありました。ジェノヴァも言っていますが、経済的に成功しながら『Sky』のユニークなコンセプトを同時に達成するのが、このゲームの一番難しいところです。その経済的な成功というものが、今まで担当してきたゲーム会社とは全くコンセプトが違うので難しく感じられます。

——それはどのような難しさなのでしょうか?

一番分かりやすいのは、『Sky』は日本でリリースされているスマートフォンゲームの中でも特殊で、「ガチャ」が無いという点です。経済的に成功を収めているゲームの多くが頼っているガチャというシステム自体は素晴らしいと思います。ただそれを『Sky』の中では実施できないので、PLを持つ(損益計算書に対する責任を持つ)人間としては苦しいところです。

——課金やガチャに関する話が出ましたが、『Sky』ではどのようなビジネスモデルで運営されているのでしょうか?

ガチャという形式ではなく、ゲーム内のアイテム販売でビジネスを展開しています。これはこの5年間で変えていません。

アイテム販売で収益を上げるには、基本的に「アイテムの価格を上げる」「アイテムの個数を増やす」「アイテムを購入してくれる人を増やす」のいずれかになります。

アイテムの価格は上げれば上げるほど商業的な見え方になり、これはTGCとして最も避けたいと考えています。アイテムの個数を増やすのも同様で、プレイヤー1人当たりの課金率を上げることも商業的な見え方を促すことにつながるので、PLを持つ立場としてそのバランスが難しいところです。

「SkyFest2024」で配布されたノベルティ。チラシの類が一切ないことにも同社の姿勢が表れている。なお、熱中症対策のためか、水とうちわも同梱されていた

——そういう面からもプラットフォームの拡大などプレイヤー数を増やすことに注力しているのでしょうか?

そうですね。ただ、当初から変わらない目標として、より多くのユーザーの方に『Sky』をプレイしてほしいというものがあります。一方、プレイヤーを増やすとなると、マス向けのゲームにしなければならないという課題も出てきます。

——言われてみれば、ゲームローンチ当初は「癒し」をテーマにした要素が強かったのが、プレイヤー数が増えるにつれて「フレンドと遊ぶ」パーティー的な要素を推すようになり、最近はその中間地点を目指しているように路線変更されてきたように感じます。

YouTube動画『Sky 星を紡ぐ子どもたち TVCM映像 “心でつながる世界”編』。Switch版が販売され始めた2020年頃のCM

YouTube動画『Sky 星を紡ぐ子どもたち『星たちの軌跡』AnimeJapanトレーラー』。2022年のこの映像では、たくさんのフレンドと楽し気に交流する様子が見られ、同じフレンドの要素でも2020年のCMとは印象が異なる

このゲームをローンチした時は、こんなにも『Sky』がコミュニケーションツールとして遊ばれるということを想像していませんでした。ゲーム内におけるチャット回数一人平均1日45回、プレイ時間の約50%を他プレイヤーと共に過ごすなどの事実はローンチ後に気づいた発見となります。

ローンチ当初は「癒し」といったものも提供する1つの要素でしたが、コミュニケーションツールとして使われ始めたため、プレイヤーが求めている方向に機能も少しずつ進化させていきました

そして最近になって「『Sky』とはどんなゲームか」と原点に立ち返り、『Sky』が持つ本来の良さを押し出しつつ、コミュニケーションもできるという面も見せる方針に変化してきています。ローンチから5年で、『Sky』はこの両輪を得たということでもあると思います。

YouTube動画『Sky 星を紡ぐ子どもたち Steamローンチ公式トレーラー』。SteamローンチCMではあるが、動画内で使われているのは『Sky』で進行中のアニメプロジェクト『Sky: The Two Embers』のもの。一切セリフのないアーティスティックな作品で、公開に至れば新たなユーザーを獲得しそうだ

コミュニティを大事にする『Sky』のマーケティング

——マーケティングに関して、国や地域による違いなどはありましたか?

やはり大きく異なります。まず、日本は『Sky』にとって早熟な国でした。プレイヤーのクチコミによって瞬く間に広がったので、プレイヤー間の意見を基にゲームを調整していくだけでも充分だったんです。

一方、海外ではそれほど早く立ち上がらず、ゲームの存在自体をゆっくりとユーザーに周知する必要がありました。

世界の中では、継続率や課金率といったKPIで日本における1~2年目にあった急激な伸びを見せている国や地域もあります。

——『Sky』のユーザー数は世界各地でどのように異なっているのでしょうか?

TGCのパートナーであるNetEase様がパブリッシュしている中国が最も大きい市場です。日本は中国に次ぐユーザー数の多い市場で、ものすごいスピードでユーザー数が伸びました。それ以外で『Sky』を多く遊んでいただけている地域としては、アメリカや東南アジアの地域があります。一方、EUは徐々に伸びてきているという状況です。

各国のユーザー数の伸びなど、いま面しているステージに合わせて戦略は変える必要があると思っています。

——『Sky』は一言でゲーム性を伝えるのが難しいユニークなゲームですが、世界ではどのように周知を進めているのでしょうか?

いくつかのアプローチ方法があり、『Sky』ではコミュニティマーケティングに最も力を入れています。日本ならばX、海外ならばDiscordなど、その地域に合わせたSNSでコミュニティを形成し、プレイヤーとの会話を大事にしながら広げていくというアプローチですね。

thatgamecompany JPのYouTubeアカウントにある「生放送アーカイブ」。チャンネル登録者数4.4万人に対して、同リストの動画は1動画あたり平均1.5万回再生されている(記事執筆時点)

もう1つはペイドマーケティングと呼ばれる、いわゆる広告ですね。アドネットワーク、インフルエンサーマーケティングなども使いながら周知を広める方法です。

——Discordにはクローズドなイメージもありますが、海外では有効なのでしょうか?

おっしゃるとおりの側面もあると思いますが、Discordに参加するのはコアなユーザーコミュニティに参加したい人が多いです。そうしたユーザーとコミュニケーションを密に取ることから得られることはとても大きなものです。それに、コミュニティが大事なゲームであればあるほどDiscordは有効なんです。『Sky』に関しては多くの海外プレイヤーがDiscordを使用してくださっていました。Discord自体の認知も含めて日本との影響力の差はあると思います。

広告・コラボ・ブランド展開で広がる『Sky』の世界

——オンラインゲームを長く運営するとゲームの飽きなどでプレイヤーが減少してしまうこともありますが、『Sky』はなぜ今でもなお伸びを見せているのでしょうか?

新規プレイヤーは、時期によって増減があります。2つのパターンがあって、1つはペイドマーケティング、もう1つはオーガニック(自然流入)です。

ペイドマーケティングは予算が多ければその分だけ新規ユーザーも増え、オーガニックは時期によって変動します。なので一概にプレイヤーが増え続けているというわけではありませんが、トータルとして増加傾向にあるのはユーザーが定着したリテンションによるものだと思います。

もちろん『Sky』では新規プレイヤーを増やし、定着するよう運営やマーケティングを行っています。例えば、コラボレーションの企画や、プレイヤーが欲しい機能の追加などがそれにあたります。

特に、ジェノヴァは日本プレイヤーの声をよく聞いてくれるので、それをゲームに反映している点も「伸びている」と感じられる大きい理由だと思います。

ジェノヴァ氏の基調講演で発表された『ムーミン』シリーズとのコラボレーション。ステージ上にムーミンが登場すると来場者から大きな歓声がわいた

例えば、直近の企画でサンリオ様と『シナモロール』のコラボレーションを行いましたが、これにより新規プレイヤーが大きく増加しました。『シナモロール』は世界的なIPであると同時に、日本発かつ日本で人気のIPです。他にも『キズナアイ』や本日発表した『ムーミン』なども日本で人気のIPであり、『Sky』が日本のプレイヤーを重んじている表れだと思います。

——コラボレーション対象のIPも『Sky』との相性を考えられている印象を受けます。

日本の他のゲーム会社様とは少し異なるコラボのラインナップだとは思います。企画するにあたっては「どんなキャラクターとコラボすると嬉しいですか?」とプレイヤーに意見を聞いた上で我々の意見を反映し、IPをお持ちの会社様にお声がけしています。

——『Sky』が5年間その存在感を示し続けるために行ってきた施策はどのようなものでしょうか?

5年間かけて行ってきたものとして、先ほど挙げたペイドマーケティングやコミュニティマーケティングがあります。

そしてその先にブランドマーケティングがあります。例えば、本日も展示しているバンダイ様との『ガシャポン』やBANDAI SPIRITS様の『SOFVIMATES』とのコラボレーション、グッドスマイルカンパニー様『POP UP PARADE』に加えて、過去はPOP UP STOREやコラボカフェを実施するなど多くの会社様とコラボレーションしてブランド施策を進めています。

イベント当日に展示されていた、これから販売予定のグッズ類

もう1つはPRです。こういった取材やPR会社との展開にも力を入れています。5年間の施策の結果、少しずつではありますが、ユーザー数を増やして存在感を示せるようになってきました。

マーチャンダイジング専門チームが支えるグッズのクオリティ

——『Sky』のグッズは、他と比較してもデザイン・機能・アイデアなど非常にクオリティが高い印象を受けます。

グッズはTGCの100%子会社である「ThatMemory」というマーチャンダイジングの専門チームが、デザインから製造まで全ての工程を担当しています。

当然『Sky』と共に動いており、会社の組織としては別になりますがTGCのメンバーも100%グッズには目を通しています。日本のTGCメンバーからの意見が反映されていることもありますね。

グッズのクオリティは「『Sky』のエクスペリエンスを商品に吹きこむ」という点を最も意識しており、頭をひねって多くのアイデアを出し、商品に落としこむことで産まれたものだと思います。

『Sky』のグッズは化粧箱のデザインにもこだわりが感じられる。NFCチップを読みこむことで、『Sky』に虹を出現させたり、アバターにも同じアイテムを身につけさせたりできる機能を持つグッズもある(画像はthatskyshopからの引用)

世界のゲーム市場における『Sky』とは?

——世界のゲーム市場を見て、求められているタイトルの傾向に変化を感じていますか?

最近のゲーム市場は、新しいものが出ているというより、一度流行したゲーム性を持つゲームが今も引き続きトップランカーにいる傾向が強いです。ゲーム市場が成熟した市場に変わってきたという印象です。10年前の方が新しいジャンルやアイデアは生まれていたのではないでしょうか。

新しいものが求められているという側面はあるのでしょうが、現実的には世界を見ても、過去のビッグタイトルの存在が大きいと思います。

——そういった市場の中で、TGCとしてはこれまでリリースして良かったものを更にアップデートしていくという姿勢なのでしょうか?

『Sky』はTGCにとって初めてのモバイルタイトルでした。そのため「常にアップデートしていく」のも『Sky』からなんです。本日の講演でジェノヴァも言っていましたが、当初は『Sky』が5年間も続くとは思っていませんでした。それゆえアップデートというのは実際にやりながら学ばせてもらっています。

5年前はまだ今ほどの成熟市場ではありませんでしたが、それでも市場における強いゲーム会社やタイトルがありました。特に日本ではその傾向が強かったと思います。その中で『Sky』が受け入れられたというのは、やはり「その時に無かったものを出したから」というのが大きかったのでしょう。そして、5年経った今でも『Sky』は競合があまりない珍しいタイトルだと思います。

——「その時に無かったもの」とのことですが、CMでは『Sky』のどのような面を伝えたのでしょうか?

それはマーケティングにおいても一番悩ましかったところで、「『Sky』を15秒で説明してください」と言われるとすごく難しいんです。5年間模索してきて、結局行き着いたのは「飛んでいる」「着替えている」「音を奏でている」と機能をそれぞれ見せていくことでした。

YouTube動画『Sky 星を紡ぐ子どもたち PC版配信決定』。2023年にゲームとしての『Sky』を紹介したトレーラー

日本の広告にあるような「いろんな情報を詰め込んで『コラボ中!』」という感じにするより、ふわっと飛んでいて『Sky』と出る広告の方が実は効果が良いんです。20年間マーケティングをしてきましたが、これは初めての経験でした。

私がこうした映像から感じとって欲しいのは、「普通のゲームとは違う雰囲気のゲーム」だということです。その特異性を表し、「これってゲームっぽくないな」「ちょっと違うな」と興味を持ってもらうだけでいいんです。実際にゲームに触れてもらえれば、違いは分かってもらえると思っています。

強いメッセージや奇をてらった表現が日本の市場では受け入れられてきたのですが、『Sky』は特殊な表現をして受け入れられたという数少ないゲームだと思います。

——今回の「SkyFest2024」のようなイベントやファンプログラムは、今後も開催を予定していますか?

日本市場では引き続きファンの皆様とお会いできる機会を今後も作っていきたいと考えております。規模に関しては未定ですが、今後は世界各国や日本も東京以外の各地でイベントを開催していきたいというのは、ジェノヴァや自分を含めたTGCメンバーの思いです。

「SkyFest2024」で見られた、キャラクターとの撮影会(左)やTGCクリエイターによるアートブックサイン会(右)。サイン会は、定刻を過ぎてもファンのために対応するクリエイターの姿が多く見られた

——ありがとうございました。今後の展開も楽しみにしています。

『Sky 星を紡ぐ子どもたち』公式サイト「SkyFest2024 最新&チケット情報」thatgamecompanyニュースページ
じく

ゲーム会社で16年間、マニュアル・コピー・シナリオとライター職を続けて現在フリーライターとして活動中。 ゲーム以外ではパチスロ・アニメ・麻雀などが好きで、パチスロでは他媒体でも記事を執筆しています。 SEO検定1級(全日本SEO協会)、日本語検定 準1級&2級(日本語検定委員会)、DTPエキスパート・マイスター(JAGAT)など。

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