国内最大規模のゲーム業界カンファレンス「CEDEC2024」が、2023年8月21日(水)から8月23日(金)までの日程で開催されました。2日目となる8月22日には、oldsport 代表 近藤 史一氏、TMI総合法律事務所 弁護士 落合 一樹氏が登壇し、「ゲーム実況における「配信ガイドライン」の利用・作成上の法的問題点」と題した講演が行われました。「ゲーム実況」と「法律」の専門家が共同して、ゲーム実況における「配信ガイドライン」の利用・作成上の法的問題点についての状況を語った本講演をレポートします。
TEXT / じく
EDIT / 田端 秀輝
目次
登壇したのはoldsport代表の近藤 史一氏(写真左)と、TMI総合法律事務所の落合 一樹氏(写真右)。
近藤氏は2009年にゲーム実況専門の映像制作プロダクションを
落合氏は日本法弁護士・シンガポール外国法弁護士としてTMI総合法律事務所に所属し、eスポーツ、ゲームやエンターテインメントに係る法務及びM&Aを専門としています。特にeスポーツ大会の運営事業に関わる法務や法規制、上場企業やゲーム関連企業のM&Aの対応経験を有しています。
配信ガイドラインとは何か? その背景と本講演の目的
講演の前半では、近藤氏から数々の調査結果が紹介されました。初めにゲーム実況における配信ガイドラインとは何かの説明があり、本セッションにおける「配信ガイドライン」とは、“ゲームメーカー等が個別で自社ゲームの配信プラットフォーム上での配信・利用に関する条件等を定めたガイドライン”としました。
ゲームメーカーにとって現在は配信ガイドラインの策定が実務上スタンダードとなりました。しかし、法的な問題については十分な整理が行われておらず、実戦的な議論の集積も多くありません。
配信ガイドラインは、法的性質を理解しないとゲームメーカーにとってリスクにもなり得るものです。そこで一般公開されている配信ガイドラインを調査・分析することで、配信ガイドラインの利用・作成上の法的問題点を考察し、利用・作成する上での留意点を明らかにしていきます。
調査総数590件の配信ガイドラインで得た情報の数々
調査では日本国内437件、国外153件、計590件の配信ガイドラインを確認しました。国外では見つけづらかった一方、国内の数が多く内容も丁寧で充実している傾向があります。
調査項目としては「配信可否」「収益化レベル」「配信可能範囲」「専用ページの有無」を対象としました。
配信可否では約98.4%が配信可能
配信ガイドラインの中で約98.4%が配信を可能とする内容でした。一方、配信を不可能とするものが約1.5%あり、その内容は以下のようなものでした。
- 謎解きコンテンツなので全編のプレイ動画や生放送を禁止
- 未プレイユーザーへの配慮として事前承認のないプレイ動画や生放送は禁止
- 私的使用や個人使用はよいが、実況や配信は遠慮するようお願い
収益化は約69.5%が「プラットフォーム機能ならOK」
次に収益化レベルです。段階を5つに分けて、「不可能」「プラットフォーム機能の一部なら可能」「プラットフォーム機能なら可能」「収益化可能」「不明」としました。
プラットフォームとはYouTube・Twitch・ニコニコ動画などの配信プラットフォームを指し、プラットフォーム機能とはこれらの公式な収益化機能(メンバーシップや投げ銭などを行う機能)を指します。
調査では約69.5%が「プラットフォーム機能なら可能」、次に多いのは約12.2%で「収益化可能」という結果となりました。収益化レベル別のガイドライン内容としては、不明を除いて以下の例があります。
- 不可能:プレイ動画を無断で商用利用に供する行為(広告収入・サブスク・投げ銭)は一切認めない。
- プラットフォーム機能の一部なら可能:動画投稿を収益化することは可能だが、投げ銭やスーパーチャットなど視聴者から直接金銭の授受を行う機能を利用した収益化や、メンバーシップなど有料会員登録者限定動画投稿は原則禁止
- プラットフォーム機能なら可能:YouTubeのパートナープログラムやその他の類似の動画共有サイトが提供する公式な収益化プログラムを通じて収益化可能
- 収益化可能:動画実況における収益化についても問題なし
配信可能範囲について約80.5%が「特記事項なし」
配信可能範囲については約80.5%が「特記事項なし」、つまり配信可能範囲を制限する記載はありませんでした。一方、配信自体は可能だが範囲に制限を設けている場合が約17.9%あります。
配信可能範囲を制限している場合には、以下の例があります。
- オープニング映像を含む部分は使用不可
- ストーリー第10章からエンディング後にセーブ画面が表示される場面までは配信禁止
- シナリオの第4章以降の内容は2023年10月まで配信や共有を禁止
約90.8%が配信ガイドライン専用ページを設置
公式サイト等に配信ガイドラインの専用ページを設けているケースが約90.8%でした。それ以外のケースとしては以下の場所に記載している場合があります。
- Xのポスト
- Steam販売ページの説明欄
- Googleドキュメント
計量テキスト分析から探る配信ガイドラインの傾向
調査した590件の配信ガイドラインの全文章を対象に計量テキスト分析、テキストマイニング(※)を行いました。そのアウトプットとして、「頻出後150語」「共起ネットワーク」「対応分析」「クロス集計」を得ています。
※「計量テキスト分析」とは、特定の文書情報を分析し、頻出する言葉や言葉同士のつながりから共有されている認識や考え方を明らかにする方法。とくに大量のテキスト・データをコンピュータで解析する技術を「テキストマイニング」と呼ぶ
頻出語150語
データ品質に意味をなさない具体的なゲームメーカー名などは除き、最も多かったのが「動画」で、以下「利用」「投稿」などがあります。プラットフォーム名としてYouTubeやニコニコ動画が含まれる一方、Twitchはランクインしていないなどの特徴もあります。
共起ネットワーク
共起ネットワークとは、どの言葉とどの言葉が同時に使用されているかを示す図です。読み取れる文脈としては、「侵害」「権利」「第三者」から「第三者の権利を侵害」、「個別」「問い合わせ」から「個別の問い合わせには対応しない」などがあります。
対応分析
上記の対応分析(単語間の関係性を散布図で視覚的に表現する方法)は2つの地域「日本」「海外」の2群に分けて行っています。右上に赤い字で「日本」、左下に「海外」とあり、2つの群れに分けてどの言葉が多く使われているかの差分を見ます。
傾向としては日本では多くの言葉が使われており、「ムービー」や「シーン」なども日本で多く見られます。一方、海外では「コンテンツ」「作成」「創作」など二次創作系の文脈が多いことを読み取れます。
上記の収益化レベルにおける対応分析は、4群にすると混乱するので「1:不可能」「2~3:プラットフォーム機能の一部なら可能 or プラットフォーム機能なら可能」「4:収益化可能」の3群で行っています。
上記の配信可能範囲における対応分析は、「制限あり」と「特記事項なし」の2群で行っています。右上に「特記事項なし」、左下に「制限あり」がありますが、「楽曲」「記載」「ネタバレ」などの言葉が多く使われているガイドラインほど制限をかける傾向にあるのが分かります。
クロス集計をする上で、まずコーディングという作業を行いました。先ほどの頻出語抽出で出した150語をグラウンデッド・セオリー・アプローチ(※)という手法でカテゴライズし、10個のカテゴリを作成したのが上記になります。
※インタビューや記録などで得たデータを文章化し、特徴的な単語などの区切りに具体的なラベルやコードの数字を付けて、分類したり分析したりすることで、客観的に現象を理解する方法
カテゴライズ後、クロス集計で「国内/海外」「収益化レベル」「配信可能範囲」の違いによってどのカテゴリの単語が使われているかを調べました。
上記の1段目が地域、2段目が収益化レベル、3段目が配信可能範囲のクロス集計です。それぞれ地域では「日本」、収益化レベルでは「プラットフォーム機能の一部なら可能/プラットフォーム機能なら可能」、配信可能範囲では「制限あり」の方が語の出現数が有意に多いものとなりました。
配信ガイドライン策定の意義と法的な利用許諾
ここまでの調査分析を踏まえて、講演の後半からは配信ガイドラインの法的な観点による分析が落合氏によって行われました。
なぜ配信ガイドラインが策定されるのか?
法的な分析を始めるにあたって、まず配信ガイドラインを策定するビジネス上の意義を考察します。そこには以下の理由が挙げられます。
著作権侵害の成否が問題となってゲーム実況者の法的地位が不安定なものとなるのを解消し、利用しやすいゲームと認知されて販売促進や売上向上に資することが、配信ガイドライン策定の意義とされています。
なお、考察するにあたって注意が必要なのは、「配信が不可能な場合はガイドラインをわざわざ挙げる必要がない」点です。調査から590件のガイドラインのうち9件だけ配信不可となっていましたが、これにはバイアスがあってのサンプル数の差とも考えています。
配信ガイドラインには「許諾する」という文言が少ない
ゲームメーカーの配信ガイドラインには、「ゲームタイトルを用いた創作活動を応援する」「積極的な権利行使をしない」「利用できる」という文言がよく使用されています。一方、「許諾します」と明示的に言っているものが圧倒的に少ない状況です。こういった書き分けの法的な差異について検討してみます。
利用許諾に関しては、著作権法第63条に「著作物の利用の許諾」が記載されており、さまざまな見解が分かれる中で利用許諾の本質としては以下の4つの考え方があります。
①契約相手に対して禁止請求権・損害賠償請求権・不当利得返還請求権を行使しない、あるいは刑事告訴しないという不作為を約束すること
②著作権者から禁止権を行使しないという許諾
③許諾にかかる利用方法および条件の範囲内において被許諾著作物を利用することができる
④「許諾」とは、第三者に著作物の利用を認める著作権者の意思表示のことである
上記のうち①②が禁止権を行使しないという約束、③④が一般的な言葉の意味に近い許諾になります。
落合氏としては、①②のように禁止権と捉え本来持っている権利を行使しないという約束事と考えるならば、文言の書き分けに有意な差はない、いわゆる著作権法上の利用許諾と言ってよいと考えています。
一方、③④のように著作物として利用してよいという利用許諾を説明するのであれば、「これは著作権法上の許諾です」と明示しないと法的な著作権補助の利用許諾とは呼べず書き分けによって差異が生じる可能性があるのではと考えています。
ただし、一般的な「使って良いのだから許諾されている」という考え方は、もし司法判断になっても裁判官は同じような考え方をして文言の書き分けに有意な差はないだろう、と落合氏は結論付けています。
「許諾」という文言に関する配信ガイドラインの例
以下のように許諾という文言を用いていないものと用いているものがあります。
配信ガイドラインで「利用権」は成立するのか?
次に利用許諾に必要な「利用権の成立」が一般的にどのように成立し、配信ガイドラインでは成立するのかを考えます。
通常の利用権はライセンス契約などの合意によって成立します。また、著作権者の単独行為によって利用権が成立し得るかは伝統的に議論があります。
一方、配信ガイドラインの場合は同意を取るようなフローはあまり想定されず、ゲームメーカーのHP等で公表しているのみで通常のライセンス契約とは異なります。つまり、双方の合意で成立しているのではなく著作権者からの一方的な単独行為となりますが、この場合に利用権は成立するのでしょうか。
単独行為で「利用権の成立」を認める見解が多数派
落合氏は、以下の考察により単独行為による利用権の成立を認める見解が多数派であるとしました。
②に関していうと、著作権法第63条1項では単独行為による利用権の成立を文言上排除していません。法律というものの性質上、本当に成立しないのならば記載されているはずで、記載されていない以上は成立するという反対解釈になります。
④に関しては、GPL(※1)やCCライセンス(※2)のように、著作者が一般公衆に対して一方的に自由度の高い利用を許諾する表示例が存在している点です。文化庁もこういった形態での利用許諾を認めており、日本の法解釈においては少なくとも単独行為による利用権の成立は認めてよいと考えています。
※1:「GNU General Public License」、GNU一般公衆ライセンス。フリーソフトウェア財団(FSF)によって公開されている。https://www.gnu.org/licenses/licenses.html
※2:「Creative Commons License」、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス。同名の国際的非営利組織により提供されている、著作権者が意思表示をするためのツール。https://creativecommons.jp/licenses/
また、仮に単独行為で成立しないとしても、利用を許諾する意思表明をした後に著作権侵害を主張した場合は、権利濫用としてその主張が排斥される可能性があります。これは法律用語で「禁反言(自分の取った言動に相反する主張は許されない)」に相当するからです。
ただ、ここで一つ近藤氏から単独行為に関しての問題提起がありました。それは民法上では単独行為に条件を付けることはできない、とされている点です。条件によって利用権が成立するかどうか決まってしまうのは、法的地位や安定性を害するので、民法では認められていません。
実際上の配信ガイドラインではさまざまな条件が付いていますので、これを利用権が成立する単独行為として理解してよいのかは疑問が残ります。そう考えると、今後は「配信ガイドラインというものに配信者やゲーム実況者は合意しており、利用権が成立した上で配信や実況を行っている」という法的な整理をした方がクリアになるのではと考えます。
配信ガイドラインでゲーム実況者に利用権は成立する
以上の考察から、利用許諾による利用権は単独行為によっても成立し、ゲームメーカー等は配信ガイドラインで利用者に著作物の利用を許諾していると考えるのが自然となります。
なお、ゲームメーカーが配信ガイドラインを定めながら法的効果を欲していないことも否定はできません。しかし、そう理解するとゲーム実況者の法的地位は著しく害され、ゲームメーカーとしても達成したかった結果を得られないので、利用許諾としての性質を否定すべきではないと考えられます。
配信ガイドラインにはどのような法的効果が生まれるのか?
落合氏は今回の重要なポイントとして、配信ガイドラインの策定・公表によりどのような法的効果が生じるかの考察を挙げました。これらに関しては厳密に書かれた文献などはなく、落合氏の私的見解となります。
ホワイトリスト化とブラックリスト化による法的効果
配信ガイドライン策定に生じる法的効果は2つあると考えられます。一つはホワイトリスト化による著作物の利用に対する禁止権の(一部)解除、もう一つはブラックリスト化による犯罪行為等の一般予防(犯罪に対する抑止効果)です。
ホワイトリスト化は、著作権者による禁止権行使を免れることが明確になって、ゲーム実況者の法的地位を安定したものにします。
ブラックリスト化に関して、まずゲームメーカーは自社タイトルの商品価値を下げる利用を抑止したいと考えます。そこで「少なくともこれは我々が許諾する利用方法からはかけ離れたものです。したがってこれは利用許諾していません」とブラックリストを作ることに意味があり、利用者も判断がつきやすくなります。
何をやっていいかというホワイトリスト化、何をやってはいけないかというブラックリスト化が明確になることに、法的効果があると落合氏は考えています。
ブラックリスト化に関する裁判例
ここで注目すべき裁判例として2つ挙げられました。
一つは配信ガイドラインで禁止されているネタバレ動画等を動画配信プラットフォームに投稿した件、もう一つは本来2時間ほどある映画を10分ぐらいにまとめて動画配信プラットフォームに投稿した件で逮捕の後に起訴、有罪判決を受けたケースです。
これらの裁判は、犯罪事実自体は認めて量刑を判断しているものです。よって司法判断上で配信ガイドラインに禁止行為を明示することに意味があることなのかを明らかにするものではありません。
しかし、裁判所の判断の裏にはあって然るべきもので、捜査機関からも非常に悪質な行為だと事実認定され、禁止行為に対して何かしらのアクションを取る時に禁止行為の明示は意味があると考えれると落合氏はいいます。
配信ガイドラインは「定型約款」に該当するか?
もう一点、論点として「定型約款への該当性」があります。
定型約款とは、「定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引で、その内容の全部または一部が画一的であることが双方にとって合理的なもの)において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体」のことをいいます。
配信ガイドラインは定型取引を想定していない
これまでに説明したとおり、配信ガイドラインには「合意する」というフローが存在しません。それに対し、もし配信ガイドラインが定型約款に相当するならば、明示的な合意がなく配信ガイドラインを公表しておくだけで合意したものとみなされるのではないか、という考え方です。
これに関して「そもそも定型取引が想定されておらず、定型約款に相当しない」というのが落合氏の考察です。
定型約款とは、例えば電車に乗る時の切符の裏に書かれている運送契約などの画一的な条件に、不特定多数の乗客が合意しているとみなされるものです。
それに対して、配信ガイドラインは不特定多数に対する定型取引を想定していないのが理由となります。例えばゲームの売買時にも購入者が配信するかどうかは人によって異なり、配信ガイドラインに対する合意も含めた取引は行っていないからです。
配信ガイドラインは撤回や変更をしてよいのか?
配信ガイドラインが定型約款に該当するかを論点にした理由として、定型約款の効果欄にある「不利益変更の規制」があります。定型約款は一度定めると勝手に不利益な変更はできず、一定の要件を満たさなければならないという規則になっています。この規制が、ゲームマーカーが配信ガイドラインを公開するにあたって重要と考えたからです。
配信ガイドラインは定型約款には相当しないので、不利益変更の規制は受けないと考えられます。しかし、配信ガイドラインを自由に撤回・変更することは大きなハレーションを起こすことも想定されます。
定型約款以外にも、撤回や変更に関する法的な規制が存在します。そのうちの一つが一般条項による制限です。これは一度許諾したものを撤回・変更することは司法判断としても権利濫用として判断される可能性があります。
また、書面によらない無償の利用許諾については未履行の分を解除できるという見解があります。これは一度作った配信ガイドラインで将来リリースするゲームも許諾しなければならないのかという考え方に対して、将来に関しては解除できるのではないかという考え方です。
配信ガイドラインの撤回・変更が独占禁止法に抵触するか?
撤回や変更に関する法的な規制のもう一つが、独占禁止法にある優越的地位の濫用(第2条9項5号)です。近年これに該当するおそれがあるとして公正取引委員会の調査を受けたケースが散見されます。
独占禁止法では、優越的な地位を利用して取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定、もしくは変更することを禁止しています。この考え方で、配信ガイドラインを勝手に不利益変更することは優越的地位の濫用とされる可能性があります。
一方、独占禁止法の第21条では「この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠または商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない」と書かれています。これは、そもそも著作権というものは著作物を私的に独占できるのが前提としているからです。
これをそのまま受けると、配信ガイドラインの撤回や変更は独占禁止法の優越的地位の濫用には当たらないと考えられますが、その解釈としての話が出てきます。
しかし、著作権法上の権利行使とみられる行為であっても、知的財産制度の趣旨を逸脱し、制度の目的に反すると認められる場合は「権利の行使としてみられない行為」として独占禁止法が適用されることが、公正取引委員会の公表するガイドラインに記載されています。
配信ガイドラインにおいて優越的地位の濫用とみなされた実例はまだ見受けられませんが、マーケットを歪めるような行為が独占禁止法で禁止されると考えられます。
例えば、問題となりそうなのは「自社タイトル配信のみを行う場合には利用を認めるような配信ガイドラインを策定する」「相当性を超えるライセンス料を後から請求できるように配信ガイドライン変更する」といった事例です。
本講演では590件におよぶ配信ガイドラインの分析から始まり、その法的な意義や分析・解釈の解説まで行われました。そして、最終的にはゲーム会社がどのような点に注意して配信ガイドラインを作成すればよいか、ゲーム実況者はどのような点に注意して配信ガイドラインを利用すればよいかについて、一定の行為規範を示すものとなりました。
近藤 史一氏 公式XTMI総合法律事務所 公式サイトゲーム実況における「配信ガイドライン」の利用・作成上の法的問題点 - CEDEC2024ゲーム会社で16年間、マニュアル・コピー・シナリオとライター職を続けて現在フリーライターとして活動中。 ゲーム以外ではパチスロ・アニメ・麻雀などが好きで、パチスロでは他媒体でも記事を執筆しています。 SEO検定1級(全日本SEO協会)、日本語検定 準1級&2級(日本語検定委員会)、DTPエキスパート・マイスター(JAGAT)など。
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