SWERY氏・須田剛一氏が初コラボ。スラッシャーアクション『ホテル・バルセロナ』のプレイレポート、インタビューをお届け【BitSummit Drift】

SWERY氏・須田剛一氏が初コラボ。スラッシャーアクション『ホテル・バルセロナ』のプレイレポート、インタビューをお届け【BitSummit Drift】

2024.07.24
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2024年7月19日(金)から21日(日)の3日間、京都みやこめっせで開催されたBitSummit Drift

さまざまな作品が集まった会場の中から、今回はWhite Owlsが手がける『ホテル・バルセロナ』をピックアップ。同社代表 SWERY(スエリー)氏と、グラスホッパー・マニファクチュア 須田 剛一氏の初タッグ作品として注目を集める本作をプレイレポートとSWERY氏へのインタビューで紹介します。

TEXT / ハル飯田

EDIT / 神谷 優斗

目次

前回プレイ時の自分と共闘する横スクロールアクション

『ホテル・バルセロナ』は主人公となる保安官のジャスティーンが、心のうちに眠る「Dr.カーニバル」を発現させ凶悪な殺人犯を殲滅すべく躍動する、横スクロール形式のスラッシャーアクション。

本作では、通常攻撃と強攻撃、回避やパリィなどのアクションを使って敵を倒しつつステージを進みます。攻撃ボタンを連打するだけでかっこいいコンボが繰り出せる手軽さもありつつ、高めに設定された敵の攻撃力によって的確に攻撃をかわすテクニックが求められるシビアさも持ち合わせているように感じました。

本作にはローグライク要素があり、倒されてしまうと最初の拠点から再スタートとなります。その際、敵を倒して集めた素材を使って永続的にスキルを強化できます。

周回プレイにおける最も大きな特徴は、これまでプレイした時の自分が「幻影殺人鬼(スラッシャーファントム)」として同行してくれること。

赤い影のような「ファントム」がプレイヤーをサポートしてくれる(画像はSteamストアページより引用)

ファントムは過去のプレイにおける自分の行動をトレースします。筆者が試遊した際は、2度3度とプレイするたびにファントムがかなりの戦力になっていきました。

ステージの最奥には強力なボスが待ち構えており、全部で7体のボスを撃破することが目標です。

会話シーンでジャスティーンが見せる、「Dr.カーニバル」時とのギャップも魅力のひとつ

今回の試遊では、ファントムや、敵の返り血を浴びるとプレイヤーの能力が強化され必殺技「カーニバル覚醒」が使えるようになるシステムなど、本作ならではの要素が序盤からしっかりと感じられました。

また、ステージ途中で登場するモブキャラクターたちもフルボイスで話すなど世界観の作りこみも魅力的で、アートも含めて恐ろしくもスタイリッシュな雰囲気をじっくりと楽しめました。

ゲーム内容はほぼ完成済!まだ未発表の要素も?

今回はBitSummit会場にて自らブースに立っていたSWERY氏にインタビューを実施。斬新なアイデアの狙いや開発の工夫、そして個性派クリエイターの個性をうまく組み合わせる秘訣などを伺いました。

──『ホテル・バルセロナ』の紹介をお願いします。

SWERY:本作は何度も死にながら繰り返し遊ぶアクションゲームで、過去の自分が一緒に戦ってくれるのが最大の特徴です。

SWERY氏

──アクションで意識しているポイントはどこでしょうか。

SWERY:ローグライク要素を入れ、周回プレイと強化によってより多彩なアクションができるようにしています。とはいえ、単純に成長・強化をさせすぎるとアクションが作業になってしまうため、バランス調整には気を付けています。また、死亡時に持ち帰れるのも「過去の自分」と、ユニークな要素に仕立てています。

──私もデモ版をプレイしてみました。何度も倒されてしまいましたが、繰り返すと少しずつ先のエリアに進めるようになりますね。

SWERY:例えば、「1ー3」で倒された後のプレイでは、1ー3までは過去の自分(ファントム)がサポートしてくれます。そのため、以前よりも楽に「1-4」まで進めます。

そうしてプレイを繰り返すうちに自然と自分のアクションが上手くなっていき、気付けばずっと先まで進めるようになっていく……。ということが起こるゲームになっています。

──「ファントム」は非常にユニークなアイデアである一方で、プレイごとにキャラクターが増える点で処理負荷が心配になります。

SWERY:実際、開発時には処理負荷が問題となりました。一般的にはプレイヤーキャラの周囲に対してのみ処理を行えばよいのですが、本作ではファントムが違う場所で戦闘していることもあるため実行すべき処理はかなり多くなります。整合性を保ちつつ、処理負荷を軽減する工夫が必要でした。

処理についてはチームのプログラマーにも怒られています(笑)。ですが、彼も処理を向上させる工夫をするのはパズルみたいで好きだと言ってくれますし、私も負荷軽減のアイデアを考えるために積極的にミーティングを行っています。そのお陰で、現在はエフェクトなどを多く出してもカクつかないほど効率的に処理できるようになりました。

──本作は須田 剛一氏とのコラボレーションですが、どうやってお互いの個性を出しあったのでしょうか。

SWERY:「ふたりの個性はぶつからなかったのか?」とよく聞かれます。今回は、原案・原作という立場として須田さんにキャラクターや世界観を提案いただき、私が肉付けする、と役割を明確に分けることで、個性の衝突を避けています。もちろんあらゆる要素に対し須田さんとのディスカッションを行いますが、こうした役割分担によって須田さんの描くポップな世界と、私が得意とするちょっとシリアスな要素が上手く混ざったのではないでしょうか。

イラストレーターのヒロアキ氏が描くビジュアルも印象的

──キャッチーなビジュアルとホラーな世界観、そしてじっくり遊べるアクションが上手く融合していますね。

SWERY:特に派手さを感じさせる部分については須田さんのアドバイスが大きく役立っています。返り血を浴びると能力が強化されるシステムでは、須田さんの「ジャスティーンのマフラーがゲージに応じて伸びていく」アイデアによってよりヒロイックな演出が実現できました。こういった人の心を掴む提案がたくさん出てくるため、本当に助かっています。

──現在の開発状況はいかがでしょうか。

SWERY:実はコンテンツはほとんど完成しており、後は細かな調整とバグチェックという段階です。また、SteamだけでなくPlayStation 5とXbox Series X|Sへの移植も同時に進めています。ただ、まだ未発表の要素もありますし、インディーゲームは認知度を上げていくのに時間がかかるため、発売時期は公開していません。

──マルチプラットフォーム対応は非常に大変な作業になりますよね。

SWERY:そうですね。ただ、私は自分のことを「インディーおじさん」と呼んでいるくらいですから、こういうところで若い人との違いを出さないと、と思って取り組んでいます。そこは押していきたい部分ですね。

──コンテンツはほぼ完成ということですが、ここまでで苦慮した部分や大きく変更した要素などがあれば教えていただけますか。

SWERY:変更したのは周回プレイについてですね。アクションがベースで周回プレイを前提とする作品であるため、「何度も遊ばせるにはどうすればいいか」について仮説を立て、その通りにゲームフローを組んでいます。

最初は「増えるのがうれしいからどんどん遊ぶだろう」と思い、周回によって獲得できる強化素材をずっと貯めておける仕組みにしていました。しかし、実際に作ってみると「序盤で倒されても強化素材が入るから別にいいか」と緊張感がなくなってしまいました。そこで、周回の最初に素材を全部捨てるように変更しています。

仮説の段階では正しいと感じたことも作ってみないと分からない、「人間って思ったより面倒くさがりなんだな」と実感しました。

スキルの強化素材は出撃時にすべて破棄されてしまうため、使い切りが重要

──そうしたテストはチーム内で行ってフィードバックをもらっているのでしょうか。

SWERY:チームもですが、ほかのクリエイターさんが会社に来て作品を見せあう機会があり、そこでいただいた多くの意見を参考にしました。海外のクリエイターさんはそうした文化が盛んで、私がほかのスタジオに遊びに行った際にも「遊んで意見をくれ」と開発中の作品をプレイさせてもらうことが多いです。

──ほかに開発段階で工夫したポイントがあれば教えていただけますか。

SWERY:UIは苦労しましたね。出展時のUIは、今年に入ってから新しく自分で作り直したものです。

以前のUIは、ボタンや説明文の位置が画面ごとに変わってしまっていたんです。「それがかっこよくていいじゃん」と思っていたんですが、そのせいでプレイヤーが情報を見逃すことにつながっていたため、ルールを決めてレイアウトを統一するように改善しました。

映画のポスターを意識したイラストなども飾られていた『ホテル・バルセロナ』ブース

──インディーゲームに限らずスタイリッシュなUIが流行している印象もありますが、遊びやすさとの両立は難しい要素ですね。

SWERY:そうなんですよね。タイトル画面も「古いDVDで表示される画面っぽく作ろう」と思ったんですが、良くない仕上がりになってしまったため、作り直しました。

──それは面白いエピソードですが、UI作りにおける大事な学びも含まれていますね。今回のBitSummitは一般来場者の反響も見られる機会になりました。

SWERY:たくさんの方にプレイしていただけて嬉しいです。この『ホテル・バルセロナ』は5年前に行われたトークイベント「トラヴィス・マンデー・ナイトロ2」で須田さんが勝手に発表してスタートしたゲームなのですが、当時のトークイベントに来場していた人が「5年間待ちました!」とブースにまで来てくれたことが、今回一番驚いた出来事です。

BitSummitではステージに登壇するなど、精力的に活動

──期待値も高い作品になっていると思いますが、プレッシャーもあるのではないでしょうか。

SWERY:面白いゲームは自信を持って作ります。そうでないとおじさんがゲームを作っている意味がないと考えているので、信じて待ってください。ただ、須田さんとの初コラボ作品であるため、ご迷惑をおかけしないようにとは思っています(笑)。

──楽しみにしていながらも今回残念ながら遊べなかった方も多いと思います。

SWERY:このゲームの特徴はどうしても文字だけでは伝わらないと思うので、体験してもらいたいですね。デモを出したいと思っているので、Steamページをチェックし、ウィッシュリストに入れてお待ちいただけるとうれしいです。

──私も実際に遊んでみてほしいタイトルだと感じます。今後のイベント出展の予定などは決まっていますか?

SWERY:9月にスペインのバルセロナで実施される「IndieDevDay」に出展が決まっており、私も現地へ向かう予定です。

──ありがとうございます。最後にメッセージをお願いします。

SWERY:現在は認知度を上げる段階なので、発売までしばらくお待ちください。今回のデモ版を遊んだ人にもまだ未発表の情報がありますので、お楽しみに!

White Owls Xアカウント https://x.com/WhiteOwlsInc
SWERY氏 Xアカウント https://x.com/Swery65
販売サイト(ストアページ) https://store.steampowered.com/app/2286600/HOTEL_BARCELONA/
リリース時期 未定
『ホテル・バルセロナ』SteamストアページBitSummit Drift 公式サイト
ハル飯田

大阪生まれ大阪育ちのフリーライター。イベントやeスポーツシーンを取材したり懐ゲー回顧記事をコソコソ作ったり、時には大会にキャスターとして出演したりと、ゲーム周りで幅広く活動中。
ゲームとスポーツ観戦を趣味に、日々ゲームをクリアしては「このゲームの何が自分に刺さったんだろう」と考察してはニヤニヤしている。

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