第4期生の募集が開始される、インディーゲーム開発者向けの無償支援プログラム「iGi」。前期で採択されたチームと作品について振り返る

2023.11.23
注目記事イベントレポート
この記事をシェア!
Twitter Facebook LINE B!
Twitter Facebook LINE B!

インディーゲーム開発者に向けた無償の支援プログラム「iGi indie Game incubator(以下、iGi)」公式サイトにて、2023年12月15日(金)から第4期生の募集を開始することが発表されました。

そんなiGi(イギ)とは具体的にどのようなプログラムで、どのようなチームがどんな作品を作っているのでしょうか。

本記事では、iGiの第3期生として採択された5チームが、2023年10月13日(水)に開発中の作品をピッチ(短時間のプレゼンテーション)した「Demo Day(デモデイ)」の模様をレポートします。

TEXT / セレナーデ☆ゆうき
EDIT / 藤縄優佑

目次

iGiとは

iGiとは、インディーゲーム開発者向けのインキュベーションプログラム(※)です。マーベラスが主催し、GameBCN、ヘッドハイ、ルーディムスなどの協力のもとに運営されています。

iGiに採択されると、開発だけでなく販売に関するセッション・トレーニングを国内外の専門家から受けられるうえ、パブリッシャーと関わる場も用意されるなど、数多くのサポートが提供されます。

※ 英語で卵をふ化させる孵卵器のこと。転じて、新しいビジネスに対する支援などをインキュベーションと呼ぶ

司会進行を担当したマーベラスの知念さおり氏

プログラムの期間は半年で、2023年4月14日に採択された第3期生の5チームがDemo DayをもってiGiから卒業します。

Demo Dayでは、各チームがあらかじめ用意したピッチ動画がスクリーンに映された後、質疑応答の時間が設けられます。質疑応答では、同イベントの主な来場者である国内外パブリッシャーの担当者たちが、ピッチを行ったチームに質問します。

開会の挨拶は、ヘッドハイの一條貴彰氏が務めた

閉会の挨拶を務めた、ルーディムスの佐藤 翔氏

ピッチ動画の上映や質疑応答などを終えた後は、第3期生の作品を試遊できました。

ここからは、Demo Dayが進行した順に、チームと作品を紹介します。

『Death the Guitar』 / トロヤマイバッテリーズフライド

(画像はiGi公式サイトより引用)

トロヤマイバッテリーズフライド氏が開発している『Death the Guitar』は、高難度の2D横スクロールアクションゲームです。

主人公は、持ち主を殺されたエレキギター。人間への復讐に燃える殺人エレキギターが、自らをかき鳴らすことで発する音と電気で敵の殲滅を図ります。

ゲームエンジンはGameMakerを使用している

トロヤマイバッテリーズフライド氏は日本の美術大学に通う大学生で、一人で本作を開発しています。

小さいころからインディーゲームをプレイしてきた同氏が特に興味を持っているのが、ゲーム特有の芸術表現や、インディーならではのディープな世界観。本作は、それらを大切にして開発しています。

本作は、主人公の持ち主を殺した犯人を追うため、4つのワールドを攻略します。ゲームは「音波や電気、ギミックを駆使してステージ内の敵をすべて倒し、次のステージに進む」というシンプルなルールで進行します。

操作に使うキー・ボタンは、移動とジャンプ、そしてギターをかき鳴らす「Guitar」のボタンのみ。ギターによる音波は攻撃手段だけではなく、ステージ上に設置されているアンプの起動にも使えます。アンプの爆音・振動を利用し、大ジャンプや障害物の突破が可能になります。

使用するボタンは少なく、方向キーと2つのボタンだけで操作できる

主人公は、音を鳴らすと同時に電気も放ちます。電気が流れた先にいる遠くの敵を倒す、ギミックを作動させる、といった使い方ができます。

音と電気を使った戦闘システムは、本作のセールスポイントでもあるとトロヤマイバッテリーズフライド氏は語っています。

サウンドにもこだわり、チップチューンテイストの音楽に、生収録のギターサウンドを重ねて響かせています。

主人公のエレキギターを鳴らすアクションを通じ、まるで実際にギターをかき鳴らしているかのような没入感を味わえるとのこと。

ステージのクリア時には、敵が流した血の量がスコアとして表示されます。このシステムにより、戦闘に燃えるプレイヤーのモチベーションが高まるとしています。

本作のメインターゲットは、歯ごたえのあるアクションを求める10代後半〜20代。

トロヤマイバッテリーズフライド氏は、「コアなアクションゲーマーを唸らせるレベルデザインと中毒性を実現できている」と本作に自信を見せました。

販売価格は11ドル、プレイ時間はおよそ7時間ほどを想定しています。

今後の開発計画としては、2023年秋に体験版の配布、2024年冬に完成。2025年春にSteamおよび各種コンシューマー機向けにリリースし、2026年3月までの大学在学中に一連の配信を完了する計画を立てています。

パブリッシャーに期待することとしては、移植に関する技術的なサポート、ローカライズ、イベント出展に向けたPRやマーケティング、そしてQAへの協力を挙げました。

質疑応答の時間では、主人公の持ち主が所属していたバンドメンバーなどがボスとして出てくる予定であることなどが語られました。

質問に答えるトロヤマイバッテリーズフライド氏

タイトル:『Death the Guitar』
開発:トロヤマイバッテリーズフライド
ゲームエンジン:GameMaker
リリース予定日:2025年春
価格:11ドル
ジャンル:2D横スクロールアクション
プラットフォーム:Steam、Nintendo Switch、PlayStation 4/5、Xbox Series X|S

『Death the Guitar』Steamストアページトロヤマイバッテリーズフライド氏 Xアカウント

『KALEIDOLA』 / hayatoskie

(画像はiGi公式サイトより引用)

hayatoskie氏が開発する『KALEIDOLA(カレイドラ)』は、万華鏡のようなギミックを解きながら3Dステージを攻略する、パズルアクションゲームです。

3Dのアクションと万華鏡のパートを楽しめる

hayatoskie氏は、2015年から2021年まで、デザイナーとしてソニー・インタラクティブエンタテインメントに勤めていました。

プロとしてUIやグラフィックのデザイン業務に携わりながら、独学でゲームエンジンを学び、ゲームの開発に集中するため独立。海外で語学も学び、ゲーム開発の土台を固めました。

幼い頃から物の形や色への関心が高く、グラフィックとパズル体験が融合したユニークなゲームを作りたいという気持ちがあったと述べるhayatoskie氏。その願いを実現するために生まれた作品が、『KALEIDOLA』です。

万華鏡をテーマにしたパズルアクションゲームである本作は、万華鏡を再現したギミック要素を採り入れることで、ユニークで新しい体験を実現しています。

ピッチ動画上では、プレイ動画をもとにギミックの解説が行われました。プレイヤーは3Dのステージを自由に歩き、ジャンプできますが、途中で障害物に直面することになります。

ピンクの矢印が描かれた柱に行きたいが、足場がない

上の画像は一見行き止まりのように見えますが、諦める必要はありません。

2Dの万華鏡モードに切り替えれば、対象物がどのように万華鏡で映るのかを見ながら調整でき、決定ボタンを押せば、万華鏡の中で映し出された物体がそのまま3Dの世界に出現します。

プレイヤーはこの機能を使い、物や道、障害物の形を自由に変え、新しい道を作り出すことで目的地を目指します。

物体を増やすように万華鏡で映すと、その形の足場が出現する(動画10秒ごろから)

万華鏡を使ったギミックでは、さまざまな使い道があります。ゲームで指示されたものと同じ形を作ることや、ゴールまで導いてもらえる生き物を作り出すこともできます。

3Dの世界に出現させたオブジェクトを落としてステージ上の物体を壊す、といった使い方も可能。これらは一例であり、新たな要素を追加したり合わせたりすることで、無限の可能性を持っているのが本作です。

万華鏡で動物を形作ると、3Dの世界にも同じ動物が登場

万華鏡で増やしたブロックを空中に出現・落下させることで、地面を壊す

物語の主人公は、1人の少年。少年は不思議な万華鏡の力によって5人のドッペルゲンガーに分かれてしまいます。

少年は自分を取り戻すためにドッペルゲンガーを追い、色彩豊かな世界を進みます。物語を進めるにつれて、なぜ少年はこの世界に辿り着いたのかという謎が明かされていく構成となっています。

フィールドは全部で5つ。各フィールドにはレベル(ステージ)が7つ、合計35レベルのマップが用意されます。

各レベルの想定クリアタイムはおよそ7分で、レベルごとに中断しやすく、忙しいユーザーでも遊びやすい長さ。合計プレイ時間は、4時間ほどを想定しています。

本作のメインターゲットは美しいビジュアルに興味があるライトゲーマー、ユニークな体験を求めるコアゲーマーをサブターゲットと設定しています。

価格は18ドルを予定。これは、同ジャンルのゲームである『Viewfinder』や『Superliminal』の価格を参考にしています。

Unreal Engine 5を用いてhayatoskie氏が単独で開発している本作。

ゲームデザインやプログラミング、アートディレクションは自ら行いますが、音楽やキャラクターデザイン、一部モデリングや2D素材などを外注。モーションやマテリアルはアセットを購入のうえ、カスタマイズして使用しています。

パブリッシャーへ期待することは、開発資金の投資のほか、移植、ローカライズ、PRやマーケティング、QAへのサポート。特に、移植に関する技術的サポートや、英語圏へのPR拡大などが強調され、グローバルな活動を見据えているピッチが披露されました。

スケジュールとしては、バーティカルスライス(※)・アルファ版・ベータ版・マスター版を経て開発を完了させたあと、Steamでのリリースを予定しています。

Steamリリース後は、「リラックスモード」の実装を予定。同モードは、ステージ上にオブジェクトなどを自由に配置したり、オリジナルの万華鏡を制作したりできるモードです。作った万華鏡の画像や動画は、SNSに載せられるようにすることを目標としています。

※ 一部のステージを、機能・システムが完成版に近い環境で遊べるように調整したバージョン

販売順は、Steam版を中心にリリース。各種コンシューマー機への移植についてはパブリッシャーと相談のうえ時期を決めていきたいと話します。

iGi第3期選出のほか、2023年の「BitSummit」では大賞である「朱色賞」候補にもノミネートされた本作を、より多くの人に届けられればという思いをhayatoskie氏は語り、ピッチを終えました。

質疑応答では、リラックスモードにおけるカメラ操作機能の追加といった要望が挙がりました。

これは、リラックスモードにて特定の角度で撮影をし、理想の角度からの写真を撮りたいというもので、hayatoskie氏も「その発想はなかった」と新しい発見があったようでした。

タイトル:『KALEIDOLA』
開発:hayatoskie
ゲームエンジン:Unreal Engine 5
リリース予定日:2025年12月
価格:18ドル
ジャンル:パズルアクション
プラットフォーム:Steam、Nintendo Switch、PlayStation 4/5、Xbox Series X|S

『KALEIDOLA』Steamストアページhayatoskie氏 Xアカウント

『World End Execute』 / HAMELN

(画像はiGi公式サイトより引用)

チーム「HAMELN」としてNoName:Re氏が個人開発している『World End Execute』は、自ら選んだスキルビルドで敵をなぎ倒す爽快感が特徴の、スタイリッシュな3Dアクションゲームです。

iGi選出当初は複数人チーム「PIGORIS」、ゲーム名『prj-Re:mnant』として活動していましたが、期間中にチーム改変によりNoName:Re氏単独で開発しています。

(画像はNoName:Re氏のXアカウントより引用)

NoName:Re氏は、普段はゲーム会社のテクニカルアーティストとして働きながら、3Dモデルを制作・販売する活動もしています。

(画像はBOOTHより引用)

SF調のアクションゲームが好きなNoName:Re氏が、自主制作の3Dモデルを用いてゲームづくりをしたいと思って手がけている、1人用のハイスピードSFアクションが『World End Execute』です。

舞台は、突如降り出した青い血の雨により、人類がコロニー生活を余儀なくされている世界。主人公はその雨を止めるため、さまざまな敵を倒して世界を救う物語が展開します。

現状の想定プレイ時間は5〜10時間程度、販売プラットフォームはSteamや各種コンシューマー機を予定。販売価格は20〜30ドルほどとしています。

登場キャラクターは、プレイヤーが操作するプレイアブルキャラクターを含め、総勢10体ほど。

フィールドマップは11マップを予定しており、プレイヤーはこれらフィールドを探索しながらストーリーを進めていきます。探索中に登場する敵を撃破して素材を獲得、素材をもとにキャラクターを強化、再び探索に赴く、という流れが本作のゲームサイクルです。

キャラクター強化は大きく分けて2種類あり、1つ目はプレイヤーの動作に基づいた「スキル」。通常攻撃や強力なアルティメット攻撃、回避など計5つのスキルを強化できます。

2つ目のキャラクター強化ポイントは、プレイヤーの戦闘能力を上書きする「モジュール」。ステータスの上昇や自動回復などの特殊効果を得られ、モジュールは最大3つまで装備可能です。

プレイヤーは、自身のプレイスタイルに合わせて多彩なモジュールを組み合わせて戦闘に臨めます。

想定しているターゲットは、ライトなゲーマー層です。特に、SFアニメ調のグラフィックや、モジュールの組み合わせによるスキル構築が好きな20代前半の男性をメインターゲットにしています。

NoName:Re氏は、本作の類似作品として『NieR:Automata』や『SCARLET NEXUS』、『禁忌の試練』を挙げていました。これらのタイトルに共通するビジュアルやシステムに、ハイスピードアクションやスキル構築の要素が加わることで、新たな体験を味わえるよう開発しています。

本作のスケジュールについては、チームの編成変更などにより、当初のスケジュールからずれてしまっていると同氏は話します。

修正後のロードマップとしては、2024年にはアルファ開発を終了し、2025年9月にはベータ開発を終了。その後アーリーアクセスを開始し、2025年12月にSteamでリリースすることを想定しています。

パブリッシャーに対しては、開発費支援、イベント出展や広報のサポート、そして簡体字や繁体字を始めとしたローカライズへのサポートを希望しました。

開発には内部開発費や外部開発費を合わせて60,000ドルを想定しており、外注としては音楽関連の制作などを予定しています。

タイトル:『World End Execute』
開発:HAMELN
ゲームエンジン:Unity
リリース予定日:2025年12月
価格:20~30ドル
ジャンル:ハイスピードSFアクション
プラットフォーム:Steam、各種コンシューマー機

「HAMELN」XアカウントNoName:Re氏 Xアカウント

『Strange Shadow』 / コタケクリエイト

(画像はiGi公式サイトより引用)

コタケクリエイト氏が開発している『Strange Shadow』は、巨大生物から逃げたり隠れたりする、スリルアドベンチャーゲームと3Dパズルプラットフォーマーゲームが融合した作品です。

コタケクリエイト氏は、以前はゲーム会社で3Dアーティストとして働いており、Nintendo SwitchやSteamのゲーム開発に関わっていました。

現在ではゲームの開発時間を確保するため退職し、個人開発では初作品となる『Strange Shadow』を作っています。

本作は「巨大生物から逃げるゲーム」で、巨大生物に襲われるスリルや逃げ切ったときの達成感を体験できます。

多くのゲームでは、巨大生物と遭遇したら戦うことになりますが、今作ではそれらと戦うことはありません。巨大生物から逃げたり隠れたりしながらステージを進みます。

本作の主人公は、ある惑星に墜落してしまった宇宙飛行士で、襲ってくる巨大生物から逃げながら惑星を探索し、脱出を目指します。

道中には黒い沼のような場所があり、近づくと引きずり込まれてしまいます。ゲームを進めていく中で、この惑星に何が起きたのか、黒い沼とは何なのか、なぜ巨大生物がいるのかが明らかになっていきます。

本作は、ホラーアドベンチャーと3Dパズルプラットフォーマーが融合したようなゲームで、巨大生物から逃げたり障害物を乗り越えたりしながら、惑星を探索していきます。

主人公は、ジャンプやダッシュなどが可能なうえ、ゲームを進めて入手する銃やロープのような道具も利用できます。

例えば、ロープは物を動かす、高いところに登る際に使います。また、障害物の破壊、大きな音を出して巨大生物の気を引くといったことに銃を活用できます。

こうしたアクションを駆使して巨大生物から逃げ延びるのが、『Strange Shadow』のオリジナリティあふれるポイントです。

惑星には、都市や砂漠、水中など6つのエリアがあり、エリアごとに多様な巨大生物が襲ってきます。

総プレイ時間は4〜5時間、ターゲットは「巨大生物が好きな人」「奇妙な世界を探索したい人」を想定しています。

巨大生物と対峙する類似作品は『Praey for the Gods』や『Solar Ash』、奇妙な世界を探索するパズルプラットフォーマーとしての類似作品は『INSIDE』や『Little Nightmares』を、コタケクリエイト氏は挙げました。

これら作品は本作と雰囲気やゲーム性が近いタイトルとのことですが、本作はやはり「逃げる」という点で大きく差別化できている、と同氏は語りました。

本作への期待を示すものとして、情報発表時の反響の多さを挙げています。

例えばSteamのストアページを公開した際のXアカウントでは、1万件以上のリポストがされ、多数のメディアで取り上げられたとのこと。

Epic MegaGrants(※)も受賞しており、こうした反響の多さから、Steamのウィッシュリストは1万件を超えています。

※ Epic Gamesが実施している資金援助プログラム。アンリアルエンジンや「Unreal Editor for Fortnite」などを使うクリエイターが対象

コタケクリエイト氏はパブリッシャーに対し、マーケティングやローカライズ、QAへのサポートや、50,000ドルの開発資金の投資を希望していました。

また、現在のウィッシュリストは日本のユーザーからのものが多いことから、海外向けのマーケティングにも力を入れたいと語りました。なお、本作のテキスト量はあまり多くないことから、ローカライズにかかるコストは高くならないだろうと述べています。

本作はコタケクリエイト氏が個人で開発しており、アセットもほとんどが自作。資金は、自身が開発に専念するための人件費や、サウンドなどの外注費に充てられるそうです。なお、本作の販売価格は20〜25ドル。

ロードマップとしては、バーティカルスライスを完成させ、Steamでのリリースは2025年10月頃を予定しているとのこと。その後、各種コンシューマー機へのリリースも予定されています。

質疑応答では、本作と雰囲気が類似した「クトゥルフ神話」について、そういった方面からのインスピレーションはあったのか?という質問などがありました。

コタケクリエイト氏は、そのようなコズミックホラーからの影響も少し受けているとし、そういったジャンルが好きな方にもおすすめのゲームだと話しました。

タイトル:『Strange Shadow』
開発:コタケクリエイト
ゲームエンジン:Unreal Engine 5
リリース予定日:2025年10月頃
価格:20~25ドル
ジャンル:スリルアドベンチャー
プラットフォーム:Steam

『Strange Shadow』Steamストアページコタケクリエイト氏 Xアカウント

『タクティクスグリード』 / ブラウザランド

(画像はiGi公式サイトより引用)

チーム「ブラウザランド」が開発している『タクティクスグリード』は、カジュアルなリアルタイムストラテジー(RTS)です。

本作のキャッチコピーは、「リビングで遊べるカジュアルRTS」

「片手で遊べる簡単操作」「かわいいキャラクター」「2人協力プレイ対応(オフライン)」といったカジュアルな要素で構成し、一見難しく思えるRTSを、誰でも楽しめるゲームに仕上げているのが本作の特徴です。

RTSは非常に面白いジャンルであるものの、同時に複数のことを処理しなければならず、ハイペースな操作・判断が要求されてしまいます。

そこで、リラックスした状態でも勝てるRTSを作るため、本作の開発が始まりました。

早いペースで操作や判断をさせないようにするため、操作に集中できるバトル画面と戦略(判断)を決めるフォーメーション画面を切り分けています。

バトルでは、プレイヤーは戦場で指揮官として行動します。AIにより意図を持って自動で動く仲間のユニットに対して攻撃魔法や回復魔法を使い、集団をコントロールする楽しさを味わえます。

フォーメーションを決める画面では、仲間ユニットがどう動くかを、「陣形」という視覚的に把握しやすい形で構築します。

つまり、本作は「事前に仲間のユニットに戦い方を仕込んでおいて、両チームを激突させるゲーム」です。

前もって用意しておいた勝利へのシナリオをもって戦場に赴き、それらを魔法を使って実現すること。このような、カジュアルでありながら戦術性の高いRTSを楽しむことができます。

遊んでみたくなるような画作りを演出するため、かわいいだけではなく印象にも残るビジュアルのキャラクターを用意。これらをリアルにレンダリングした結果、ミニチュアな世界のような見た目になったといいます。

無名IPで成功するためには、キャラクターへのこだわりは欠かせない、と開発者は語ります。

2人プレイで遊ぶことで、さらなる感動や興奮を味わえます。1人が指揮官を、1人が汎用ユニットの1キャラを操作することで、ゲームの腕前にかかわらず、友人や家族と一緒に遊ぶことも可能です。

チーム「ブラウザランド」は個人で開発しており、BGMと効果音以外のアセットはほぼすべて自作しているとのこと。

ブラウザランドのWebサイトでは2つのフリーゲームを公開しており、そのときに培ったゲーム開発ノウハウが本作に役に立っています。商業プロジェクトとして開発する作品は、今回が初だと開発者は話します。

ハードルが高いジャンルといわれているRTSを遊びやすくした『タクティクスグリード』は、カジュアル層をメインのターゲットとして据えています。

「BitSummit」で試遊したプレイヤーのSNSの反応や、アンケートの一部も公開された

総プレイ時間は10時間、価格は20ドルを想定しています。

本作のメインコンテンツは、世界ランキングの1位を狙う、非同期通信を用いた対戦です。この仕組みについてピッチ後に話を伺ったところ、プレイヤーのスキルの使用状況などをサーバーで管理し、それらを基にして再現されたNPCと対戦可能とのこと。

プレイヤー同士が直接戦うことはありませんが、擬似的な対人戦ができるようになっています。

2022年4月に開発がスタートした本作は、2023年10月にはバーティカルスライスを配信し、2024年10月に完成を予定。

パブリッシャーには、移植、PR、マーケティング、ローカライズ、QA、開発資金支援50,000ドルのサポートを希望しています。

『タクティクスグリード』のかわいい見た目のキャラクターや雰囲気からゲームに足を踏み入れてもらい、プレイすることで戦術性の高さを楽しんでいただきたい、と話しています。

質疑応答の時間には、基本的なゲームサイクルなどについて質問が挙がりました。

基本的にはNPCの相手チームを倒してステージをクリアしていくシステムで、1バトルは4分間。オンラインでリアルタイムに対戦する機能は今のところは予定していない、とのことでした。

タイトル:『タクティクスグリード』
開発:ブラウザランド
ゲームエンジン:Unity
リリース予定日:2024年12月頃
価格:20ドル
ジャンル:リアルタイムストラテジー
プラットフォーム:Steam、各種コンシューマー機

『タクティクスグリード』Steamストアページ「ブラウザランド」Webサイト

以上が、iGi第3期生のチームと、各チームが開発している作品です。

冒頭でお伝えした通り、iGiは2023年12月15日(金)から第4期生の募集を開始します。また、募集開始に伴い、12月19日(火)にはiGiの説明会が実施されます(要予約)。

説明会の予約や第4期生の応募は、iGi公式サイトから行えます。

「iGi indie Game incubator」公式サイト「iGi indie Game incubator」Xアカウント
セレナーデ☆ゆうき

ゲームのタイムアタックを中心に、ストリーミングサイト・Twitchで活動をしているストリーマー。ゲームイベントの紹介記事など、WEBメディアでの活動実績もあるが、繰り出されるダジャレのクオリティには賛否両論がある。

https://www.twitch.tv/serenade_yuuki

関連記事

大阪・日本橋の街並みがピクセルアートで描かれる。メイド喫茶ADV『電気街の喫茶店』プレイレポ&開発者インタビュー【BitSummit Drift】
2024.07.25
アクティブゲーミングメディアの新たなグローバルPRブランド「Graph」はパブリッシャーと何が違うのか?直接、話を聞いてみた【BitSummit Drift】
2024.07.25
SWERY氏・須田剛一氏が初コラボ。スラッシャーアクション『ホテル・バルセロナ』のプレイレポート、インタビューをお届け【BitSummit Drift】
2024.07.24
チュートリアルでプレイヤーが迷わない理由は「ユーザー文化の理解」と「ステレオタイプの利用」にあった。直感で理解できるゲームをどう作るか【cluster革命前夜 Unity賞受賞者インタビュー】
2024.07.23
口調もヒント。あえて日本語吹替をやめた『Gloomy Juncture』はヒッチコックなどの映画に影響を受けた高難易度パズルアドベンチャー(ビジュアルデザイン最優秀賞)【BitSummit Drift】
2024.07.22
韓国の爽快トップビューアクション『Kusan : City of Wolves』。ホットライン・マイアミのバトルに憧れ、6年を掛けて開発【BitSummit Drift】
2024.07.22

注目記事ランキング

2024.07.20 - 2024.07.27
VIEW MORE

連載・特集ピックアップ

イベントカレンダー

VIEW MORE

今日の用語

フォグ(Fog)
フォグ 「霧」を意味する英単語。3DCGにおいて、現実の霧による見た目をシミュレーションする画面効果やエフェクトを指す。代表的なものとして、カメラから遠くにあるオブジェクトの色調を変化させることで遠近感を出す手法がある。
VIEW MORE

Twitterで最新情報を
チェック!