2023年9月21日(木)から24日(日)の4日間、幕張メッセで開催された『東京ゲームショウ 2023』。
展示されたゲームの中から、今回は「Art Games Studio」が開発する3Dアドベンチャーゲーム『Alchemist: The Potion Monger』を紹介。加えて、本作を開発するArt Games StudioのCEO Jakub Bąk氏に、開発が始動したきっかけやゲームシステムの試行錯誤の流れを聞きました。
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展示されたゲームの中から、今回は「Art Games Studio」が開発する3Dアドベンチャーゲーム『Alchemist: The Potion Monger』を紹介。加えて、本作を開発するArt Games StudioのCEO Jakub Bąk氏に、開発が始動したきっかけやゲームシステムの試行錯誤の流れを聞きました。
TEXT / 神谷 優斗
INTERPRET / 豊田 塁
『Alchemist: The Potion Monger(アルケミスト: ポーション商人の物語)』は一人称視点のアドベンチャーゲームです。プレイヤーは見習いの錬金術師として、集めた素材でポーションを作成。作ったポーションは売って生計をたてるほか、人々の悩みを解決するためにも使います。
対応プラットフォームはPC(Steam)で、2023年10月16日にリリースが予定されています。
試遊では、序盤のチュートリアルをプレイできました。ゲームは、プレイヤーが新居に引っ越し、荷ほどきをするところから始まります。
基本的に、家具は自由に設置可能。荷物の中には、錬金術師らしい大鍋やすり鉢もありました。
家具が配置できたところで、本作の目玉であるポーション作成に取り掛かります。ポーションは、対応するアスペクトを持つ材料を大鍋で煮ることで作ります。
アスペクトは属性に近い概念で、「地」や「成長」など全64種類が錬金に用いる素材ごとに設定されています。アスペクトにはグレードが存在し、試遊では最もグレードの低い3種類のアスペクトを扱うことができました。
材料はないかと家の周囲を歩いていると、カレンデュラという花を発見しました。カレンデュラは「成長」のアスペクトを持っているようです。
『「成長」…?「地」じゃないとダメなのでは?』と思う筆者。「地」のアスペクトでなければ、「弱い健康ポーション」は作れません。
ここですり鉢の出番です。「銅モルタル」を使って材料をすりつぶすことで、「成長」のアスペクトを持つ材料を「地」のアスペクトに変換できるようです。
家に戻り、銅モルタルでカレンデュラをすりつぶすと…
カレンデュラが粉末状に。アスペクトが「地」に変化したため、これで「弱い健康ポーション」を作れます。大鍋に投入し、ポーションづくり開始です。
大鍋に材料を入れると、醸造のミニゲームがスタートします。ミニゲームでは、大鍋から立ちのぼるバブルが示す図形と同じ形をマウスで描くことで、より高品質のポーションができあがります。
バブルは次から次へと出現するため、シンプルな図形であってもすべて対応しきるにはプレイスキルが求められるように感じました。
ミニゲームが終わると、無事ポーションが完成。ポーションは自分で飲む以外にも、人や物に投げて効果を発揮させることも可能です。
試遊では以上のほか、スライムとの戦闘や、行く手を阻む巨大なツタを溶かすポーションの作成などを体験できました。
本作はポーランドのゲーム開発スタジオArt Games Studioによって開発されています。
スタジオが開発する他のゲームにも採用していることから、エンジンはUnityを使用しています。開発チームは多い時で10人ほど。プロジェクトの進行によって、都度メンバーをアサインする形をとっています。
本作は、2020年にリリースされた『Alchemist Simulator』の次回作にあたります。
前作に多くのフィードバックを受け取ったため、新作のデモ版を開発。1年ほど前に、ポーランドの9つの都市でデモを配信したところ大きな反響があったことを受けて、本格的な開発が始動しました。
次回作を作るうえでは、開発メンバーからの新しいアイデアだけでなく、フィードバックの内容を多分に取り入れているとのこと。グラフィックスの改善やオープンワールド化、パズル要素の追加はフィードバックから取り入れた要素の最たる例だと言います。それに伴い、ゲームメカニクスがより複雑に。プレイ時間が前作の3~5時間から8~10時間へと大きく増加しているそうです。
とはいえ、新要素を追加するにあたっては大きな紆余曲折があったとJakub氏は語ります。
例えば、新たなアセットを導入した際に、アートスタイルとの整合性を保つのが大変だったことが苦労の1つとして挙げられました。また、ポーション作りのミニゲームに至っては、少なくとも4回は直したそう。
最初のバージョンでは、大鍋のかき混ぜ方に関する情報を一切提示していなかったため、バブルが出現してもプレイヤーは意味が分からず、正しい操作ができなかったそうです。そこで、レシピなどを記した本にプレイ方法も載せたことで、正しくプレイしてもらえるようになりました。
また、次のバージョンでは、バブルで提示される図形がマウスで描くのには難しすぎる形だったことが問題になりました。バブルが現れてから消えるまでの間に描ききれる、ちょうどよい図形を試行錯誤した結果、「^」や「N」、「D」のような形に落ち着いたそうです。
トリッキーであることから生まれる楽しさにこだわった本作。ゲームが進むにつれ、どんな効果を持ったポーションが作れるようになっていくのか、想像が膨らみます。
『Alchemist: The Potion Monger』ストアページ東京ゲームショウ2023公式サイトコーヒーがゲームデザインと同じくらい好きです
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