キーボードをなくして、ゲーミングマシンに特化
国内正規版の詳細が明らかになった本機は、GPD WINシリーズとしては大きな変化を遂げている。
目を引くのは、本体から物理キーボードが消えたことだ。GPD WINシリーズといえば、初代機からクラムシェル型(ノートPCのような折りたたみ式)やスライド型で必ず物理キーボードが付いていたが、GPD WIN 5ではついになくなった。
シリーズ前機種と比較すると、「GPD WIN 4」が220×92×28mmだったのに対し、GPD WIN 5は267×111.6×24.21mmとなった。幅は47mm広がったが、厚みは約4mm薄くなっている。キーボードを廃したことで、より「携帯ゲーム機」らしいフォルムになったと言えるだろう。
AAAタイトルも遊べる性能を持つAMD製GPUを搭載
GPD WIN 5は、搭載するCPUとGPUが異なる2つのグレードが用意されている。
上位グレードはCPUにAMD Ryzen AI Max+ 395(16コア/32スレッド)を、GPUにAMD Radeon 8060Sを搭載。下位グレードにはAMD Ryzen AI Max 385(8コア/16スレッド)とAMD Radeon 8050Sを採用している。
搭載されているGPUは『黒神話:悟空』などのAAAタイトルでも快適に遊べるだけのマシンパワーを実現している。これほど高い性能が携帯型デバイスに詰め込まれている点は、本機ならではの魅力だ。
着脱式バッテリーで本体565gの軽量化を実現
GPD WIN 5の最大の特徴は、バッテリーが本体内蔵ではなく着脱式の外付け方式を採用している点だ。これにより、本体単体の重量は565gという軽量化に成功している。
前モデルのGPD WIN 4が598gだったことを考えると、33gの軽量化を実現したことになる。参考までに、「Steam Deck」が約669gであることを考えると、本体単体565gという重量は、ポータブルゲーミングPCとしては携帯性に優れた重さだと言える。
バッテリーは80Whの容量で、サイズは110.76×110.3×18.1mm、重量は約350g。本体の背面に装着すると、総重量は915gとなる。
一般的なポータブルゲーミングPCは、内蔵バッテリーだけでは駆動時間が短く、結局ACアダプターにつなぎっぱなしで使うことが多くなる。それならば「いっそバッテリーを外付けにしてしまおう」という発想は、GPDらしい柔軟な設計思想の表れだろう。
バッテリーは本体に装着するだけでなく、ケーブルを用いた接続も可能。これにより、バッテリーをテーブルの上に置く、ポケットやバッグに入れるなどして、手に感じる重さを軽減できる。
バッテリーのみで駆動する場合、連続高負荷動作で約2時間、通常使用で約3~4時間、軽作業では約6時間のゲームプレイが可能だ。
本体はACアダプターによる給電にも対応している。バッテリーを別のものに付け替える際は、ACアダプター経由で給電しておくと、電源を落とさずに交換できる。
180Wの電源アダプターを採用し、最大で85W TDPで駆動する
コントローラー部分も冷却装置も高性能
本体の操作性についても触れておきたい。
アナログスティックには静電容量式センサーを採用しており、GPD WIN 4と比べて、スティックやボタンのサイズも大きくなっている。実機を触った限りでは、操作感は格段に向上しており、家庭用ゲーム機に近いフィードバックが得られる印象だ。
ディスプレイは7インチのフルHD(1,920×1,080ドット)で、リフレッシュレートは120Hzに対応。最高輝度500nitの高輝度・高色域パネル(sRGB 100%)を採用しており、AMD FreeSync Premiumにも対応。HDRコンテンツも鮮やかに再現される。
メモリは最大64GB LPDDR5X、ストレージは最大4TBのNVMe SSDを搭載可能で、2025年8月に発表された規格であるMini SSDスロットも備えている。
冷却システムは、デュアルファンとクアッドヒートパイプ、3Dらせんダクトなどによる新型の「Frost Wind」システムを採用し、高負荷時でも高い冷却性能を発揮。『黒神話:悟空』などのグラフィック負荷の高いゲームをプレイするとかなりの勢いでファンが回るが、ゲーム内のサウンドがあるため、プレイ中はあまり気にならない。
本体裏側からは大きなファンが見える。なお、本機には背面ボタンが搭載されている
また、本体各所には、ポータブルゲーミングPCとして必要十分なインターフェースが配置されている。
本体上側には、USB Type-C(左側)、電源ポート(中央)、USB Type-A、ヘッドホン端子(右側)がある。排熱口も上側に配置されている
専用スマートドックも同時発表
周辺機器として、専用のスマートドックも発表された。
スマートドックには、USB 3.2 Type-A Gen 2 ×3、HDMI 2.1、有線LANポート(イーサネット、1Gbps)、USB Type-C(バッテリー充電専用 / PDプロトコル充電器対応)が搭載されている。
バッテリーを背面に装着した状態でもドックに接続が可能で、ドック上面でバッテリーを充電できる設計となっている。スマートドックは15,000円(税込)で販売される。
シリーズの伝統を捨て、新しい方向へ舵を切った意欲作
GPD WIN 5は、メモリとストレージの構成によって3つのラインナップが用意されている。
- 最上位モデル:Ryzen AI Max+ 395 / メモリ64GB / 4TB SSD → 368,000円(税込)
- 中位モデル:Ryzen AI Max+ 395 / メモリ32GB / 2TB SSD → 308,000円(税込)
- 下位モデル:Ryzen AI Max 385 / メモリ32GB / 1TB SSD → 268,000円(税込)
2025年11月30日までの期間、公式サイトでは先行予約キャンペーンにつき5,000円OFFで予約購入が可能だ。気になる人は早めにチェックしておくといいだろう。
GPD WIN 5は、シリーズの伝統を捨て、新しい方向へ舵を切った意欲作。キーボードレス化、最新CPUの採用、着脱式バッテリーという3つの変革が、ポータブルゲーミングPCの新たな可能性を示している。
GPD WIN 5 主な仕様
モデル |
Ryzen AI Max+ 395搭載モデル |
Ryzen AI Max 385搭載モデル |
CPU |
AMD Ryzen AI Max+ 395(16コア/32スレッド) |
AMD Ryzen AI Max 385(8コア/16スレッド) |
GPU |
AMD Radeon 8060S |
AMD Radeon 8050S |
TDP |
45W~85W |
45W~85W |
ディスプレイ |
7インチ フルHD (1,920×1,080ドット) / 120Hz / 500nit / AMD FreeSync Premium対応 |
7インチ フルHD (1,920×1,080ドット) / 120Hz / 500nit / AMD FreeSync Premium対応 |
メモリ |
32GB or 64GB LPDDR5X |
32GB LPDDR5X |
ストレージ |
2TB / 4TB NVMe SSD + Mini SSDスロット |
1TB NVMe SSD + Mini SSDスロット |
バッテリー |
80Wh(着脱式) / 約350g |
80Wh(着脱式) / 約350g |
Wi-Fi / Bluetooth |
Wi-Fi 6E(802.11 b/g/n/ac/ax) / Bluetooth 5.3 |
Wi-Fi 6E(802.11 b/g/n/ac/ax) / Bluetooth 5.3 |
I/Oポート |
USB4(Type-C、40Gbps、PD充電&DisplayPort 2.1対応)×1
USB 3.2 Gen2 Type-C(10Gbps、DisplayPort 2.1対応、充電非対応)×1
USB 3.2 Gen2 Type-A(10Gbps)×1
電源ポート×1
3.5mmヘッドホン/マイクコンボジャック×1
microSDカードスロット(UHS-I対応)×1 |
USB4(Type-C、40Gbps、PD充電&DisplayPort 2.1対応)×1
USB 3.2 Gen2 Type-C(10Gbps、DisplayPort 2.1対応、充電非対応)×1
USB 3.2 Gen2 Type-A(10Gbps)×1
電源ポート×1
3.5mmヘッドホン/マイクコンボジャック×1
microSDカードスロット(UHS-I対応)×1 |
センサー |
6軸(3軸加速度センサー + 3軸ジャイロスコープ) |
6軸(3軸加速度センサー + 3軸ジャイロスコープ) |
サイズ |
267×111.6×24.21mm |
267×111.6×24.21mm |
重量 |
本体: 565g / バッテリー込み: 915g |
本体: 565g / バッテリー込み: 915g |
周辺機器
- 専用スマートドック:15,000円(税込)
- 追加バッテリー:15,000円(税込)
「GPD WIN 5」製品ページ
パソコンゲーム雑誌、アーケードゲーム雑誌、家庭用ゲーム雑誌を渡り歩き、現在はフリーのゲーム系編集/ライター。マイベストゲームは『ウィザードリィ 狂王の試練場』で、最近だと『Forza Horizon』シリーズに大ハマリ。メインPCはAlienware Aurora。セガ・レトロゲーム系メディア「Beep21」副編集長をやりつつ、ボードゲームメディア「BROAD」編集長も兼任。
「BROAD」Webサイト