この記事の3行まとめ
- Havok製ミドルウェアのUE用プラグインについて、UE5.5への対応に伴う更新内容を紹介した記事が公式ブログで公開
- 「Havok Cloth」プラグインでは衣服のメッシュにLODなどを適用可能に
- 「Havok Physics」プラグインで実施された破壊表現の強化なども紹介している
Havokは2025年9月26日(現地時間)、「How Havok Evolved in Unreal 5.5」と題した記事を自社ブログで公開しました。
記事では、同社が提供するゲーム開発向けミドルウェア「Havok」シリーズのアンリアルエンジン用プラグインについて、Unreal Engine 5.5のアップデートに応じて追加・更新された機能を紹介しています(以下、アンリアルエンジンはUEと表記)。
Let's take a look back at some of the highlights from the Havok releases for Unreal 5.5 and see how the Havok products changed in that time.https://t.co/tp2w4MZh8V
— Havok (@HavokBuzz) October 13, 2025
Let's take a look back at some of the highlights from the Havok releases for Unreal 5.5 and see how the Havok products changed in that time.https://t.co/tp2w4MZh8V
— Havok (@HavokBuzz) October 13, 2025
同社はゲーム開発向けミドルウェアとして、物理エンジン「Havok Physics」、クロスシミュレーションツール「Havok Cloth」、キャラクターナビゲーションシステム「Havok Navigation」の3製品を展開しています。
各製品はスタンドアローン版のほか、それぞれUE用プラグインが用意。なお「Havok Physics」はUnity公式パッケージも提供されています。
同社はこのたび、Havok製ミドルウェアのUE用プラグイン「Havok Navigation for Unreal」「Havok Cloth for Unreal」「Havok Physics for Unreal」について、UE5.5のリリースおよびアップデートに伴い追加・改善された機能を紹介する記事を公開しました。
(画像はHavok公式サイトより引用)
ナビゲーション用プラグイン「Havok Navigation for Unreal」
「Havok Navigation for Unreal」では、キャラクターをより自然で滑らかな曲線で移動させる「Smooth Path AI Controller」と「Smooth Path Following Component」が導入。
これらは、Havok 2023.2より導入された経路探索システム「Smooth Path Solver」と、Havok 2025.1で追加されたその補完機能「Smooth Path Follower」をもとに実装されています。
旧システムによる経路探索(画像左)と、Smooth Path Followerなどの新機能を用いた経路探索(画像右)における移動軌跡の比較(画像はHavok公式ブログより引用)
また、ナビゲーションメッシュ生成機能の強化・最適化や、キャラクターがナビゲーションメッシュに沿って移動する「Nav Walking」モードが移動コンポーネントに追加されるなど、各種機能の追加などが行われています。
Epic Gamesが実施したオープンワールド開発プロジェクト「Project Titan」で制作されたサンプルプロジェクトで、「Havok Navigation for Unreal」のナビゲーションメッシュ生成機能を使用している様子(画像はHavok公式ブログより引用)
キャラクターがナビゲーションメッシュを参照して移動する「Nav Walking」モード。遠距離のキャラクターなどに適用することでパフォーマンス向上に役立つとしている(画像はHavok公式ブログより引用)
クロスシミュレーション用プラグイン「Havok Cloth for Unreal」
「Havok Cloth for Unreal」では、さらに精細なクロスシミュレーションが可能となりました。
一例として、衣服のメッシュに対してLOD(Level of Detail)を適用可能となったほか、メッシュのパラメータを調整することで衣服の形状を編集できる機能などが搭載されました。
(画像はHavok公式ブログより引用)
また、急激な動きを伴うアニメーションにおいてスムーズでリアルな遷移を実現する機能「Skin Sim Cloth Pose」が追加。
そのほか、シミュレーションの安定化やアセット調整機能の強化などが施されています。
新規搭載された「Cloth Tweak Asset」を用いて、マントにかかる重力の影響を調整している様子(画像はHavok公式ブログより引用)
Havokの物理エンジンを活用できる「Havok Physics for Unreal」
物理エンジン「Havok Physics」をUEで利用可能とするプラグイン「Havok Physics for Unreal」では、破壊表現に用いるアセット「ジオメトリコレクション」に関する複数の改善が実施。
また、特定ボリュームに及ぼす物理的な影響を制御できる「フィールド」が強化され、範囲内のジオメトリコレクションを検知する機能やフィールドの並列処理に対応。これにより大幅な処理の高速化を実現したと述べています。
Havokの技術デモ「Canyon Demo」(公式YouTube動画)で実装された破壊表現を紹介するイメージ画像(画像はHavok公式ブログより引用)
ほかにも、ラグドールやコンストレイントに関する安定性の向上や、コリジョンを可視化して物理挙動を確認できる「XRay View」の実装などが行われています。
通常のレベル(画像左)と、物理エンジンが認識しているレベルの状態を「XRay View」で可視化した様子(画像右)を比較したイメージ画像(画像はHavok公式ブログより引用)
ブログ記事の全文はこちらを、同社製ミドルウェアやそのUEプラグインに関する情報は同社公式サイトをご確認ください。
「How Havok Evolved in Unreal 5.5」Havok公式ブログHavok公式サイト