日本発の3Dモデル用ファイル形式「VRM」を国際標準へ。VRMコンソーシアム、Khronos Groupとの共同開発を発表

2024.10.26
ニュース3DCGVR・AR・MRメタバース
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この記事の3行まとめ

  • VRMコンソーシアム、VRMの国際標準化に向けてKhronos Groupと連携して開発を進めていくと発表
  • VRMの機能をglTFの公式拡張機能「Ratified Khronos Extensions」に統合する調整が進行中
  • VRMの国際的な認知度向上や、VRMに対応するサービスの増加を目指しているとのこと

VRMコンソーシアムは2024年10月24日(木)、同団体が開発・提唱する3Dアバター向けファイルフォーマット「VRM」の国際標準化に向けて、Khronos Groupとの連携・協力のもと開発を進めていくと発表しました。

VRMは、人型の3Dアバターモデルを異なるアプリケーション間で使用できる、日本発のファイルフォーマットです。VRやVTuberなどの用途で活用することを目的に、VRMコンソーシアムの理事・技術委員長である岩城 進之介氏により提唱されました。

テクスチャやボーンといったデータのほか、VRにおいて一人称視点で操作する際に必要な視線設定などの情報が取り扱えます。また、第三者がアバターを使用可能か・暴力表現が可能かといったライセンス情報も同梱できます

(画像はVRM公式ドキュメントより引用)

VRMコンソーシアムから提供されているライブラリアセット「UniVRM」を導入することで、UnityにVRMファイルを取り込むことができます。

VRMのプレハブをUnityのシーンに展開した様子(画像はVRM公式ドキュメントより引用)

このたびVRMコンソーシアムは、オープンソースの3Dモデルファイルフォーマット「glTF」を開発する技術コンソーシアム「Khronos Group」と連携・協力し、VRMを国際的な標準規格とするべく共同開発を進めることを発表しました。

両者は2024年1月よりVRMに関する情報共有を行っており、現在、VRMの機能をglTFの公式拡張機能「Ratified Khronos Extensions」に統合する調整を進めているといいます。拡張性の高いglTF仕様として承認されることにより、日本国外のメタバース業界におけるVRMの認知度向上や、VRMに対応するサービスの増加を期待しているとのことです。

また、VRMの基盤技術である「glTF 2.0」は国際規格のISO/IEC規格(ISO/IEC 12113:2022)に準拠しています。このため、VRMが「Ratified Khronos Extensions」に採用されることで、ISO/IEC規格として国際的に認知を拡大できると述べています。

今回の発表に関する詳細はプレスリリースをご覧ください。

プレスリリース「VRMコンソーシアム」公式サイト「Khronos Group」公式サイト

以下、プレスリリースからの引用です。


一般社団法人 VRM コンソーシアム(代表理事:石井洋平、所在地:東京都中央区)は、同社が開発・提唱する 3D アバター向けファイル形式「VRM」の国際標準化に向けて、その基盤技術「Khronos glTF™ 2.0」を開発した The Khronos Group Inc.(President:Neil Trevett、所在地:アメリカ・オレゴン州/以下、Khronos)と協力し、相互運用可能な 3D アバターを実現するグローバルなオープン標準として、VRM と glTF™ フォーマットの開発を共同で進めていくことをお知らせします。

VRM(https://vrm.dev/)は、一般社団法人 VRM コンソーシアム技術委員長の岩城進之介によって提唱された、メタバース時代のインターオペラビリティ(相互運用性)を想定したプラットフォーム非依存型の日本発 3D アバター規格です。2018 年の誕生以来、メタバースコミュニケーションサービス「バーチャルキャスト」をはじめ、3D キャラクター制作ソフトウェア「VRoid Studio」やメタバースプラットフォーム「cluster」など、様々なアプリケーションやサービスに対応し、既に国内ではプラットフォーム間でアバター連携する際の事実上業界標準規格として広く使用されています。

VRM コンソーシアムと Khronos は、VRM のさらなる普及を目指して今年 1 月にリエゾン合意を締結し、これまでVRM に関する様々な情報共有を行ってきました。現在、両社は VRM の機能を Khronos glTF の公式拡張機能「RatifiedKhronos Extensions」に統合する調整を進めています。glTF は高い拡張性を有しており、特に Khronos に承認された拡張機能の多くは幅広いプロダクトで採用され、glTF の更新時に glTF のコア仕様として取り込まれてきました。VRMについても同様に glTF 仕様として承認されることにより、日本国内に留まらず、世界中のメタバース業界において認知度が向上し、VRM に対応するサービスの増加を期待することができます。また、glTF 2.0 は ISO/IEC 規格(ISO/IEC 12113:2022)であり、VRM が Khronos glTF Ratified Extensions に採用されることで、VRM が ISO/IEC 規格として国際的に認知される道が開かれます。VRM が Khronos、さらには ISO/IEC に採択されることにより、長期にわたる規格の継続性と安定性が保証され、VRM のユーザー、クリエイター、デベロッパーは安心して VRM を利用・流通させることが可能になります。今後は両社間でさらに協議を進め、内容や時期などの詳細を確定していく予定です。

VRM コンソーシアムおよび Khronos は、VRM の国際標準化を通して国境のないメタバースを実現し、国内外問わずメタバース業界がさらに躍進できる環境作りに貢献してまいります。詳細については vrm-consortium.org およびkhronos.org をご覧ください。

<「VRM」について>
VRM は、メタバース時代のインターオペラビリティ(相互運用性)を想定した、プラットフォーム非依存の日本発の 3D アバター向けファイル形式です。従来の 3D モデルとしてのテクスチャやボーンといった情報に加え、視線設定など一人称で操作するアバターに必要な情報を扱えるようにし、環境により異なるスケールや座標系などを統一することで、3D アバターがあらゆるプラットフォームで使用されることを想定しています。また、人が操作して人格を演じるアバターの特性を考慮して、このアバターを他人が使用しても良いか、暴力表現をしても良いか、などアバター特有の権利までもファイルに埋め込むことが可能です。現在はバージョン 1.0 を展開中です。

<「VRM コンソーシアム」について>
3D アバター向けファイルフォーマット「VRM」の策定・普及を目的とした一般社団法人です。
【名称】 一般社団法人 VRM コンソーシアム
【設立日】 2019 年 4 月 24 日
【所在地】 東京都中央区銀座 4–12-15
【事業内容】⑴ 3D アバターモデルの統一規格「VRM」の策定
⑵「VRM」に関連する情報の収集および提供
⑶「VRM」の普及および広告宣伝
⑷「VRM」により創作される 3D モデルの法的保護に関する提言及び整備
⑸「VRM」に関する内外関係機関との交流および協力
⑹ 前号に掲げるもののほか、当法人の目的を達成するのに必要な活動
【役員構成】
代表理事 石井 洋平 (株式会社バーチャルキャスト)
理事 岩城 進之介(株式会社バーチャルキャスト)
理事 大前 広樹 (ゲーム開発者)
理事 久保田 瞬 (株式会社 Mogura)
理事 清水 智雄 (ピクシブ株式会社)
理事 副島 義貴 (株式会社NTTコノキュー)
理事 中川 直政 (弁護士 日比谷パーク法律事務所パートナー)
理事 松本 有啓 (株式会社MOEグループ・ホールディングス)
監事 栗本 肇 (税理士、行政書士)
監事 佐藤 豊 (山形大学准教授(知的財産権))

【公式サイト】 https://vrm-consortium.org/
【会員のお申し込み・お問い合わせ】 VRM コンソーシアム事務局:vrmc-pr@vrm-consortium.org

<Khronos について>
Khronos は、業界をリードする 180 以上の企業が参加する非営利のオープンな団体で、3D グラフィックス、メタバース、拡張現実、仮想現実、並列プログラミング、ビジョンアクセラレーション、機械学習のための高度でロイヤルティフリー、さらに相互運用性のある標準規格を作成しています。Khronos の活動には、glTF™や OpenXR™、Vulkan®、WebGL™が含まれます。Khronos のメンバーは、Khronos 仕様の開発と進化を推進し、仕様のドラフトやコンフォーマンステストの早期アクセスにより、先進的なプラットフォームやアプリケーションの提供を加速させることができます。

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