SideFX、Houdini 20.5の最新機能を動画で紹介。SOPベースの物理シミュレーション機能「MPM Solver」や、画像処理フレームワーク「Copernicus」のベータ版など

SideFX、Houdini 20.5の最新機能を動画で紹介。SOPベースの物理シミュレーション機能「MPM Solver」や、画像処理フレームワーク「Copernicus」のベータ版など

2024.07.05
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この記事の3行まとめ

  • SideFX、「Houdini 20.5」の最新機能を紹介する講演映像をYouTubeで公開
  • 雪や金属など多様な物質の物理シミュレーションを実行する「MPM Solver」が追加
  • コンポジットノード(COP)をもとに再構築した画像処理フレームワーク「Copernicus」がベータ機能として実装される

SideFX2024年6月27日(木)、Houdini 20.5」の最新機能を紹介する動画「Houdini 20.5 Keynote」を、同社YouTubeチャンネルにて公開しました。

本動画は、2024年6月18日(現地時間)にパリで開催された講演「Houdini 20.5 Hive」のアーカイブ映像です。

「Houdini 20.5」の最新機能を紹介する講演のアーカイブ映像『Houdini 20.5 Keynote』

Houdiniは、SideFXが提供する統合型の3DCG制作ツールです。モデリングやエフェクト、物理シミュレーション、アニメーションの作成など、3DCGに関連する多数の機能を搭載しています。

2023年11月には「Houdini 20」がリリースされ、リギング&アニメーションツール「KineFX」の強化やUnreal Engineとの連携強化などが行われました。

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最新バージョン「Houdini 20.5」は、2024年7月中旬のリリースを予定しています。

今回公開された動画「Houdini 20.5 Keynote」では、「Houdini 20.5」に追加された新機能などのアップデート内容が紹介されています。

粒子状の物質をはじめ多様な物質の物理シミュレーションが行えるMPM Solver」の追加や、画像処理フレームワークCopernicus」のベータ版の実装KineFXによるリギングやアニメーション機能の強化といったアップデートが施されています。

雪や泥、金属など幅広い物質の物理シミュレーションを実行する「MPM Solver」

粒子状の物質をはじめ、液体や金属などさまざまな物質の物理シミュレーションを行うSOPベースのマルチソルバ「MPM Solver」が追加されました。

従来のMPM(Material Point Method)は高品質な反面、計算に時間を要するという問題がありました。対する「MPM Solver」はOpenCLを用いて構成されており、GPUアクセラレーション機能による高速な計算を実現しています。

物理シミュレーションで使用する基本的なマテリアルの設定も多数用意されています。動画内では、雪が流れ落ちる様子や、自動車のタイヤで跳ね上がる泥、コンクリート製の建造物の崩落、アイスをスプーンですくい取る動きなどが「MPM Solver」で表現されています。

雪が斜面から流れ落ちる様子(左)や、崩落直前のコンクリート製の建造物(画像はYouTube動画『Houdini 20.5 Keynote』より引用)

また、動画では、流体などのシミュレーションを行う「Vellum Solver」の強化や、柔らかな表面にしわを表現する「Wrinkle Deformer」の開発に関する紹介も行われました。

COPコンテキストを再構築した画像処理フレームワーク「Copernicus」がベータ機能として実装

画像合成によりテクスチャーなどを作成できるフレームワーク「Copernicus」がベータ機能として実装されました。同機能は、コンポジットノード(COP)ネットワークをもとに新機能として再設計されています。

OpenCLでの記述により、「MPM Solver」と同じくGPUアクセラレーションによる高速な処理が行えます。

石畳のようなテクスチャー。ハイトマップ(Height Map)の適用により、溝部分の深さも自由に調節できる(画像はYouTube動画『Houdini 20.5 Keynote』より引用)

2Dの画像と3Dのモデルをシームレスに統合し、3D空間内でリアルタイムに画像を操作できます。

作成した画像は、USD(OpenUSD)との連携を行うツール「Solaris」に直接送ることができます。Copernicus側で画像設定を変更すると、リアルタイムでSolaris側にも変更が適用されます。

また、マテリアルのプレビューにはさまざまな種類のテストジオメトリが付属しており、平面や曲面上での見え方も確認できます。

動画では、渦巻きなどのさまざまなノイズの掛け方を紹介している他、丸や四角、星型といった図形をブレンドすることで、複雑なテクスチャを生成する方法なども解説しています。

丸や四角、星形といった図形をブレンドすることでテクスチャを作成する(画像はYouTube動画『Houdini 20.5 Keynote』より引用)

KineFXのリギング&アニメーション機能が強化

Houdini 20で追加された、KineFXでプロシージャルリギングを可能にするグラフ評価フレームワーク「APEX(All-Purpose EXecution)」において、オートリギングを行う際のコンポーネントが多数追加されました。

また、各コンポーネントに識別タグが設定されました。タグ付けを行うことで、二足歩行の人間や四足歩行のゾウ、羽毛を持つ鳥など異なる体格の動物に同じリギング設定を適用できます。

色が同じリグには同じタグがついており、違う生物でも流用が可能(画像はYouTube動画『Houdini 20.5 Keynote』より引用)

その他、Pythonスタイルでコードスニペットが作成できるAPEX Script」を用いて歩行などのモーションを実装できます。動画では、クモ状の生物が8本の足をリアルに動かす様子や、Gloomなどを使用して翼や羽のリギングやアニメーションをプロシージャルに実現する手法が紹介されています。

また、作成されたコードをグラフ形式で確認できるAPEX Graphもアップデートされ、コードの動作がより確認しやすくなりました。

(画像はYouTube動画『Houdini 20.5 Keynote』より引用)

その他、Solarisのビューポート強化や、Solaris内のレンダラー「Karma」のレンダリング速度向上など、さまざまなアップデートが施されています。

詳細は、YouTube動画『Houdini 20.5 Keynote』をご確認ください。

『Houdini 20.5 Keynote』

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