色変え能力をもつスライムが主人公の2Dパズルアクション『Color Lim』。各レベルの難しさを採点し、難易度設計に生かす【BitSummit Drift】

2024.07.20
注目記事イベントレポートBitSummit2024
この記事をシェア!
Twitter Facebook LINE B!
Twitter Facebook LINE B!

2024年7月19日(金)から21日(日)の3日間、京都みやこめっせで開催されたBitSummit Drift。展示されたゲームの中から、本稿ではMilestone Gamesが開発する2Dアクションゲーム『Color Lim』を紹介します。

TEXT / 神谷 優斗

目次

スライムの色を切り替え、ギミックを解きつつ進む2Dパズルアクション

『Color Lim』紹介動画

『Color Lim』の主人公はスライム。プレイヤーはスライムを操作し、触れると死んでしまう茨や敵をかいくぐってステージの先を目指します。

基本は左から右に進む。天井にある茨や敵などに触れると、ステージの最初からやり直しだ

スライムはジャンプできますが、ステージに高くそびえたつ崖には到底届きません。しかし、スライムは「同じ色に塗られた壁や天井に貼り付く」能力と、「着弾地点を着色する弾を発射する」能力を備えています。

壁に向かって弾を当てると、着弾した箇所を自身と同じ色に着色できる

自身と同じ色の壁や天井は、貼り付いて自由に移動できる

この2つの能力を駆使し、壁を自身の色に染め上げて移動できる範囲を拡大するのが本作の基本となるシステムであり、大きな特徴です。

空中では空中ジャンプや任意の方向へのダッシュが1回ずつ使えるため、遠くの地面へ渡るために「どのタイミングでダッシュやジャンプを使えばよいか」「どの壁・天井を染めればよいか」を試行錯誤する点に面白さを感じました。

左上の天井から降り、ダッシュで右の壁へ飛ぶ様子。降りる場所、ダッシュを使うタイミング、ダッシュの方向を間違えると茨に当たってしまう

『Color Lim』が持つもうひとつの特徴は「スライムの色を変える」システムです。ゲームの進行にあわせ、任意のタイミングでスライムの色を変えられるようになります。色を変えることで、貼り付ける壁の色や、自身と当たり判定のあるギミックが変化します。

四角のブロックは異なる色のスライムをブロックする。つまり、この状態では赤いブロックにぶつかってしまう

スライムを赤色に変えることで通過できるように。また、発射する弾の色も赤色になる

色を変えるアビリティの習得後は、適切な色でないと通れないエリアが立ちはだかるようになり「どの色で進むか」「いつ色を変えるか」と求められる発想の幅がより広がります。色変えと空中ダッシュを複合的に使う難所では、緊張感が高い分、クリアした時に強い達成感を覚えました。

難易度設計においては、各レベルの難しさを採点

本作を開発するMilestone Gamesは、企画(兼ディレクター)1人、プログラマー2人、デザイナー3人の6人で構成されています。使用しているゲームエンジンはUnityで、開催時点での開発期間は3年

Milestone Games プログラマー 송 혜은氏(左)、ディレクター 김 희준氏(右)

本作は、旅行先で見とれた景色から着想を得ているそう。「色を使ったゲームを作りたい」と思い立ち、多くのカラーバリエーションがあることからスライムが主人公に据えられました。そこからゲームシステムを発展させるにあたっては、「スライムができることはなにか」を発想の軸に導入するシステムやギミックを考えたとのことです。

プレイした際、「壁を伝って移動できるのは同じ色の時だけ」「ギミックに触れられるのは同じ色の時だけ」といった具合に、多彩なシステムで構成されつつも「スライムの色に依存する」点で一貫性を感じました。

同じ色のオブジェクトはすり抜けるルールを利用し、色のついた茨を無効化できる

その理由を伺ったところ、イベントへの出展による力が大きいのではないかとの回答が得られました。多くのイベントに積極的に出展することで、新たに導入したギミックなどに対してすぐにプレイヤーのフィードバックが得られます。本作は、出展時のフィードバックをもとに多くのブラッシュアップを図ってきたそうです。

開発はもともと卒業制作の作品として作られており、当時はアクション要素の少ないパズルでした。2021年にインディーゲームイベントでアワードを受賞したことをきっかけに、作品を世界へ販売することを決意。それに伴い「アクション要素があれば、展示会でも目を引き、遊んでもらえる確率が高くなるだろう」と考え、アクションパズルへの転換を決めたそう。「敵を乗っ取り操作する」などのアクション要素が追加され、出展時の形になりました。

本作は、難易度設計の面でレベルデザインが巧みだと感じました。ギミックの複雑度などから各レベルの難易度を採点し、その点数が低いレベルからプレイするようにレベルを配置しているそうです。

これまでの開発で最も苦労したのは、システムの試行錯誤。アイデアの枯渇に悩まされたり、新たなギミックの導入にあたってパズル要素とアクション要素のバランスをめぐりメンバー間で議論が起こったりしたと김氏は語りました。

公式サイト https://linktr.ee/milestonegames_
販売サイト(ストアページ) https://store.steampowered.com/app/2244430/Color_Lim/
リリース時期 2024年12月早期アクセス
Milestone Games 公式サイトBitSummit Drift 公式サイト
神谷 優斗

コーヒーがゲームデザインと同じくらい好きです

関連記事

BitSummit史上最高の38,333人、昨年比約1.6倍が来場した『BitSummit Drift』。来年は7/18(金)~7/20(日)に開催予定
2024.08.01
大阪・日本橋の街並みがピクセルアートで描かれる。メイド喫茶ADV『電気街の喫茶店』プレイレポ&開発者インタビュー【BitSummit Drift】
2024.07.25
アクティブゲーミングメディアの新たなグローバルPRブランド「Graph」はパブリッシャーと何が違うのか?直接、話を聞いてみた【BitSummit Drift】
2024.07.25
SWERY氏・須田剛一氏が初コラボ。スラッシャーアクション『ホテル・バルセロナ』のプレイレポート、インタビューをお届け【BitSummit Drift】
2024.07.24
口調もヒント。あえて日本語吹替をやめた『Gloomy Juncture』はヒッチコックなどの映画に影響を受けた高難易度パズルアドベンチャー(ビジュアルデザイン最優秀賞)【BitSummit Drift】
2024.07.22
「BitSummit Drift」アワード受賞作品が発表。画面の回転を利用する3DパズルRPG『CASSETTE BOY』が大賞に輝く
2024.07.22

注目記事ランキング

2024.08.29 - 2024.09.05
VIEW MORE

連載・特集ピックアップ

イベントカレンダー

VIEW MORE

今日の用語

レンダリング(Rendering)
レンダリング コンピューターグラフィックスにおける、各種データ(3Dモデルなど)をプログラムを用いて計算し、画像として表示すること。レンダリングを行うプログラムをレンダラー(Renderer)と呼ぶ。
VIEW MORE

Twitterで最新情報を
チェック!