学生たちのパワーに満ちあふれた、GCG念願のオフラインイベント「ゲームクリエイターズギルドEXPO 2023」レポート

2023.12.25
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2023年12月16日(土)、横浜産貿ホール マリネリアにて「ゲームクリエイター甲子園 2023」の発表授賞式と作品展示会をメインコンテンツとしたイベント「ゲームクリエイターズギルドEXPO 2023」が開催されました。

本記事では会場や発表授賞式の様子、主催であるゲームクリエイターズギルドの代表 宮田 大介氏のインタビューをお届けします。

TEXT / じく
EDIT / 藤縄 優佑

目次

GCGの念願叶ったオフラインイベント「ゲームクリエイターズギルドEXPO 2023」

「ゲームクリエイターズギルド(以下、GCG)」は、ゲームクリエイター向けのコミュニティを運営する企業です。ゲームクリエイターを始め、ゲームに関わる/関わりたい人たちが、プロ・アマチュア/学生・社会人/企業間などあらゆる垣根を越えて「学び合い」「語り合い」「教え合う」ゲームクリエイターのための拠点(ギルド)として運営されています。

ほかにも、ゲーム制作に関わる学生クリエイターを対象とする1年間を通した成長型ゲームコンテスト「ゲームクリエイター甲子園」の主催、クリエイターのタレントマネジメントや法人向けチームメイク支援、採用支援、協業マッチングなども行っています。

2022年は「ゲームクリエイター甲子園 2022 発表授賞式」の模様がYouTubeで配信されましたが、今回のEXPOはいわばGCGの集大成であり念願のオフライン開催となります。

会場内の構成は、ゲームクリエイター甲子園 2023の発表授賞式ステージ・ファイナリストブース・応募作品ブース、過去の受賞作品と「Seeds by GameCreatorsGuild」(※)の作品ブース、企業ブース、学校ブース。どのブースも来場者や参加者同士の交流が見られ、大変にぎわっていました。

※ GCGが運営・支援するコミュニティレーベル。ゲームクリエイター支援のためのコミュニティレーベルを基本コンセプトとし、未来のある優れた作品が本レーベルを通してスタジオ設立や、大手パブリッシャーへのステップアップにつながっていくことを目的としている

イベント会場は山下公園前にある、横浜産貿ホール マリネリア

会場内はゲームクリエイター甲子園の応募作品を実際に試遊できることもあり、とてもにぎわっていた

発表授賞式ステージでは、各賞の発表を中心としたコンテンツを常時開催&配信していた

企業ブースや学校ブースも、関心を持つ学生や業界関係者が立ち寄り注目されていた

GCGならではの参加者による濃厚なイベント空間

昨今ではインディーゲーム開発者や若手開発者を支援する展示会・イベントが多数開催されるようになりましたが、今回のEXPOはGCGならではの特色が強く感じられるイベントでした。

学生クリエイターたちの活発な交流と熱意あるアピール、そして彼らが切磋琢磨した結果である授賞発表などで構成されたイベント空間は、まさにギルドの祭典ともいえる濃密なものでした。

学生たちの交流とアピールの場

来場者が作品を試遊する姿だけでなく、参加者である学生クリエイター同士の交流が各所で見られるのがとても印象的でした。

互いに作品の感想を語り合ったり名刺を交換したりする姿も多く見られた

ゲーム作品に留まらず、企画書・ポートフォリオ・イラスト・CGなどを展示して学生クリエイター自身をアピールするブースが多いのも、GCGだからこそと呼べるものでした。

参加者の企画書やポートフォリオなどをその場で閲覧できる

なお、ゲームクリエイター甲子園 2023に応募された作品は、GCGが運営するWebサイト「みんなのゲームパレード」で作品情報の閲覧や試遊ができます。

学生・企業・学校とのマッチングという場

今回のEXPOには多数のゲーム関連企業や専門学校も出展していました。これらは企業・学校自体のPRもありますが、スカウティングや所属学生のアピールという目的がメインとなります。

スカウト企業ブースでは常に多くの学生クリエイターたちを対象とした説明会が開催され、専門学校ブースでも所属学生のポートフォリオが興味深くチェックされていました。

スカウト企業ブースには多くの学生クリエイターたちが集まっていた(撮影協力:株式会社B.B.スタジオ)

学校ブースでは所属学生の作品・ポートフォリオ・名刺などが展示されていた(撮影協力:東京デザインテクノロジーセンター専門学校)

ゲームクリエイター甲子園 2023 授賞発表式

会場の一角には「ゲームクリエイター甲子園 2023」の発表授賞式ステージが設けられ、その模様はYouTubeのゲームクリエイターズギルド公式チャンネルでも配信されました。

特筆すべきは、ゲームクリエイター甲子園 2023には総合大賞を含め100以上の賞があること。ステージではほぼ終日にわたって発表・授賞が行われていました。

授賞式では参加者や来場者がステージを取り囲み、受賞作品には惜しみない拍手が贈られた

総合大賞だけを決めるのではなく、U-18総合大賞・ユーザー大賞・GCG賞・運営特別賞・審査員特別賞・アンバサダー賞・企業賞・部門賞など、学生クリエイターたちの幅広い才能と将来性を応援するGCGの姿勢がうかがわれます。

そしてU-18総合大賞と総合大賞では受賞者が登壇し、トロフィーの授与も行われました。

総合大賞(左)とU-18総合大賞(右)の授賞式の様子

「ゲームクリエイター甲子園 2023」の主な受賞作品は、以下の通りです。

 総合大賞『Death the Guitar』(トロヤマイバッテリーズフライド)

U-18総合大賞『BlockWorld Ai』(One Team.)

ユーザー大賞『花連火』(頓珍漢☆頓珍漢☆公民館)

主催の宮田氏にインタビュー

イベント当日、閉会前の忙しいなかではありましたが、主催の宮田氏にお話をうかがえました。

本イベントの主催であるGCG代表の宮田 大介氏

——GCG主催として初のオフラインイベント開催についてお聞かせください。

念願のオフライン開催となります。ゲームクリエイター甲子園が始まったきっかけでもありますが、今までは学生たちが優れた作品を制作しても学校という限られた範囲でしか発表できない環境がありました。

そこを飛び出して学生同士で交流できれば、面白い作品と出会い刺激を与え合うことができます。より広い世界を知り、優れたクリエイターと出会って互いに高め合って欲しいという思いで運営しています。

もちろんオンラインでもできますが、こういったオフラインの場で面と向かい合うことが大切です。学生たちはゲーム制作にあたって周りに同じような仲間がいなくて孤独なこともあります。しかし、こういった場でゲーム制作への熱量を多く持った仲間たちと触れ合うことでモチベーションを感じ、友人やライバルができることもあるでしょう。

そしてもう一つ「自分の作品が面白いことに気付いてほしい」という思いもあります。学校内で遊んでもらい気付けることもありますが、彼らには外に出て一般の方たちに遊んでもらった時に評価してもらえるかという不安があります。しかし、今日ここで発表されている作品に触れれば分かる通り、皆さんの作品は面白いので自信を持ってほしいんです。

自分のゲームを目の前で楽しんでもらえるのを見て自信を持ち、クリエイティブ活動に邁進して欲しいと思っています。

発表授賞式ステージで入賞作品の魅力を独自の視点で熱く語る宮田氏

——本イベントの学生・企業・学校のマッチングという側面についてもお聞かせください。

企業と学生が出会う場という点では以前からオンラインで行っていましたが、これにはメリットとデメリットがあります。オンラインならば日本全国から気軽に参加できますが、コミュニケーションが広く浅いものになりやすい面があります。

一方、オフラインの場合、例えば今回は関東で開催していますが学生・企業・学校でも遠方ゆえに参加できなかったケースもあります。しかし、オフラインで対面して話すことで得られる情報量はオンラインの比ではなく、言葉以上に伝わるものもあると思います。

また会社と個人という履歴書やシートで判断される関係でなく、現場のゲームクリエイターと学生クリエイターが「人と人」として実際に話すことで、新たな発見や希望が生まれることもあり、この場から良い出会いが生まれて欲しいと願っています。

学校に関しては、中高生への入学勧誘という面も長期的にはあると思いますが、企業に対する所属学生の紹介という面が強いでしょう。企業と直接話ができて、学校同士でもつながりが生まれることもあります。こういったつながりは大切だと思うので、学校にはこちらから出展をお願いしている場合もあります。

——今後も本イベントのような企画をお考えでしょうか?

実現できるかはまだ分かりませんが、こういったオフラインの場は推し進めていきたいと思っています。今年もできれば実現したかったのですが、関東だけではもったいなく以前からメンバーたちと全国で開催したいと話していました。

現状では難しいかもしれませんが、関東をはじめとして目標は全国開催です。それこそゲームクリエイター“甲子園”なので、各地方の方々が地元の優れた作品やクリエイターを応援して欲しいんです。例えば九州ならば、九州の企業が九州の学生クリエイターを応援してゲームクリエイター甲子園で戦ってくる、というような感じです。

日本全国でこのような場を設けて、学生同士が出会い日本中の学生クリエイターたちの交流を促進できればと思います。

また、最終的には日本国内だけでなく、国境を越えた海外のクリエイターたちも集まるような場を作ることを自分としての目標、野望として持っています。

ステージのエンディングでは次回「ゲームクリエイター甲子園 2024」開催も発表された

今回のイベントはEXPOと銘打たれただけあり、学生クリエイター中心でありつつも、ゲーム業界の多種多様な立場の方々が集っていたのが印象的でした。

そして何よりGCGが目標としている学生クリエイターたちの活発な交流や熱意ある発表の場として、オフラインであることが最大限に発揮されたイベントと呼べるものでした。

「ゲームクリエイターズギルドEXPO 2023」公式サイト「ゲームクリエイター甲子園 2023」公式サイト
じく

ゲーム会社で16年間、マニュアル・コピー・シナリオとライター職を続けて現在フリーライターとして活動中。 ゲーム以外ではパチスロ・アニメ・麻雀などが好きで、パチスロでは他媒体でも記事を執筆しています。 SEO検定1級(全日本SEO協会)、日本語検定 準1級&2級(日本語検定委員会)、DTPエキスパート・マイスター(JAGAT)など。

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