この記事の3行まとめ
- COYOTE 3DCG STUDIO、「Havok Cloth」で作成したUE用データの入出力方法を解説する記事を公開
- 表示用データなどをまとめたFBXファイルと、セットアップ用データであるHKTファイルの2種類で出力する
- UE非対応のマテリアルを適用している際にUE内でテクスチャを設定する手順なども解説している
クリーク・アンド・リバー社の3DCG制作チーム「COYOTE 3DCG STUDIO」は、クロスシミュレーションツール「Havok Cloth」の使用方法を解説するブログ記事を連載しています。
このたび同スタジオは、「Havok Cloth」で作成したアンリアルエンジン(以下、UE)用データを入出力する方法を解説した記事を公開しました。
【ブログ更新📝】
引き続き【Havok Cloth】について紹介します!
今回はUEへのデータ移行手順を解説!
前編ではMayaからUEへのアセットエクスポート手順を紹介。
仕様の違いも踏まえ、理解しながら進められる内容です!▶https://t.co/T1nMU5tBrz #HavokCloth #Havok #Maya #TA pic.twitter.com/YADlESi0H8
— COYOTE 3DCG STUDIO -テクニカルアーティストチーム- (@cr_coyote) June 3, 2025
「Havok Cloth」は、Havokが提供する衣服の表現に特化した物理シミュレーション用ミドルウェア。
連載記事ではHavok Clothの使用方法について、ホロライブプロダクション所属タレント ワトソン・アメリア氏の公式MMDモデルをもとに解説しています。
このたび公開されたのは、Havok ClothのシミュレーションデータをUE向けに出力する手順を解説した「エクスポート編」と、そのデータをUEに取り込む手順を解説した「インポート編」の2本。
いずれもUE5.5にHavok Clothを統合した環境を用いた事例を紹介しています。
エクスポート編
シミュレーションを適用するメッシュは、表示用データなどをまとめたFBXファイルと、Havok Clothにおける物理シミュレーションのセットアップ用データであるHKTファイルの2種類で出力します。
事前準備として、Maya上でメッシュのすべての面を三角形に分割することで出力時のエラーを防止できます。
UEではFBXファイルをインポートする際に自動でメッシュの面が三角形に分割されるが、正常な処理が行われない可能性を考慮してあらかじめ分割しておくことが推奨されている(画像はブログ記事より引用)
また、ジョイントがスキンメッシュとリグで別々に用意されている場合、FBX出力の際にコンストレイントなどの情報を保持するためにベイク処理が必要となります。
(画像はブログ記事より引用)
その後、メッシュを用途ごとにFBX/HKT形式のセットにまとめ、各ファイルを出力するフローを解説しています。
FBXデータの出力には、Havokが提供するツール 「Havok Cloth Toolkit」の機能「Export Unreal Engine FBX」を使用。この機能はデータの命名ミスなどを発見しやすいほか、同一のマテリアルがアサインされた別オブジェクトの誤統合を回避できるといったメリットがあるといいます。
Maya標準のエクスポート機能を使用した場合、同一のマテリアルが適用される箇所が同一オブジェクトと認識され、UE内で統合される恐れがある(画像はブログ記事より引用)
インポート編
記事中では、Havok Clothから出力したFBX/HKTデータをUEにインポートしたのち、データのセットアップ・動作確認を行う手順を説明しています。
クロスシミュレーション実施前の動作(画像右)と、連載記事を通して作成したシミュレーションデータ(画像左)を比較した様子(画像はブログ記事より引用)
FBXをインポートする際、UE5.5のインポーターは不具合につきメッシュをインポートできないため、コマンド入力によりインポーターを旧バージョンに変更する必要があることが補足されています。
そのほか、アニメーションデータとメッシュデータの結合を防ぐための設定方法などを解説しています。
アニメーション/メッシュデータを結合せずにインポートする設定や、FBXとHKTの軸方向を一致させる設定などが必要となる(画像はブログ記事より引用)
HKTのインポートに関しては、メッシュにUE非対応のマテリアルが適用されている際にテクスチャを設定する手順なども解説されています。
(画像はブログ記事より引用)
なお同スタジオは今後、「Havok Cloth 応用編」と題した記事を公開予定であることを告知しています。
すでに公開されている連載記事の詳細は同社開発ブログをご確認ください。
COYOTE 3DCG STUDIO技術ブログ「TECH-COYOTE」