NVIDIA、「マルチフレーム生成」を導入したAIアップスケーリング技術「DLSS 4」を発表。入力遅延の解消に役立つ「Reflex 2」も

2025.01.08
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この記事の3行まとめ

  • NVIDIA、「DLSS 4」および「Reflex 2」を発表
  • 「DLSS 4」は、フレームごとに最大3つの追加フレームを生成できる、AIアップスケーリング技術の最新バージョン
  • 「Reflex 2」は、プレイヤーの入力操作に合わせてレンダリングのカメラ位置を調整する「フレームワープ」を搭載している

NVIDIAは2025年1月6日(現地時間)、AIを利用したアップスケーリング技術「DLSS 4」および、PCゲームのレイテンシー削減技術「Reflex 2」を発表しました。

『DLSS 4 | New Multi Frame Gen & Everything Enhanced』

『NVIDIA Reflex 2 | Introducing New Frame Warp Technology』

「DLSS 4」および「Reflex 2」は、新たなGPU「GeForce RTX™ 50」シリーズとともに発表された技術です(以下、「GeForce RTX™」はRTXと表記)。

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「DLSS 4」では「マルチフレーム生成」が導入され、既存機能も強化

「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」は、RTX GPUのTensorコアでAIを活用し、フレームの生成や画像品質の向上などのアップスケーリングを行います。

その最新バージョン「DLSS 4」では、レンダリングされたフレームごとに最大3つの追加フレームを生成する「マルチフレーム生成」を新たに導入しました。これにより、「RTX 40」シリーズ以上のGPUで利用できる従来の「フレーム生成」と比較して、フレームレートがさらに向上します。

(画像は「DLSS 4」のニュースリリースより引用)

記事執筆時点では、従来のフレーム生成に対応していた75のゲーム/アプリがマルチフレーム生成もサポートすることが発表されています。

なお、マルチフレーム生成は「RTX 50」シリーズに搭載されたアーキテクチャ「Blackwell」を使用するため、利用できるのは同シリーズでのみ。

また、DLSSに内包されたそのほかの機能である「Ray Reconstruction」「Super Resolution」「DLAA(Deep Learning Anti-Aliasing)」(※)は、新たなDLSSトランスフォーマーモデルによって強化。安定性の向上やゴーストの減少といったパフォーマンス向上が行われています。

※ 「Ray Reconstruction」:レイトレーシングされた画像の品質を向上させる技術
「Super Resolution」:低解像度の入力から高解像度の画像を再構築する技術
「DLAA(Deep Learning Anti-Aliasing)」:アンチエイリアシング技術

「Ray Reconstruction」「Super Resolution」「DLAA(Deep Learning Anti-Aliasing)」のアップグレードは、すべてのRTXシリーズで利用可能(画像は「DLSS 4」のニュースリリースより引用)

レンダリング出力位置を「ワープ」させる「Reflex 2」

「Reflex」は、2020年にリリースされたレイテンシー削減技術です。CPUとGPUの作業を同期する「Low Latencyモード」により、プレイヤーの入力操作をゲーム内でより早く反映できます。

通常はキーボードやマウスなどの入力がCPUによって計算され、結果をキューに配置し、GPUでレンダリングして出力される(画像は「Reflex 2」のニュースリリースより引用)

「Reflex」ではCPUのペースを調整し、GPUの動作に合わせてタスクを送信することでキューの遅延を防いでいる(画像は「Reflex 2」のニュースリリースより引用)

最新バージョンである「Reflex 2」では、Low Latencyモードに新たな技術「フレームワープ」が組み込まれています

Reflex 2は、GPUがフレームをレンダリングしている間に、直前のプレイヤーの入力操作に基づき、CPUが次のフレームのカメラ位置を計算します。レンダリングが完了したフレームは、画面に送られる前にカメラ位置に合わせて「ワープ」したうえで出力されます。

このときに現れる映像の「ずれ」は、新たに開発された予測レンダリングのアルゴリズムによって、以前のフレームのカメラや色、深度データなどに基づいて描画されます。

これにより、とくに視点移動を伴う操作の遅延が短縮されます。

(画像は「Reflex 2」のニュースリリースより引用)

「RTX 5090」使用時に800FPS以上で動作するという『VALORANT』では、Reflex 2を使用することでレイテンシーを平均3ms未満に抑えられるとしています。

またTHE FINALS』での検証では、Reflex 2をオフにした場合とオンにした場合を比較して、レイテンシーが75%削減された結果も公開されています。

Reflex 2は、『VALORANT』と『THE FINALS』の2作品から使用可能になります。

GPUでは「RTX 50」シリーズから対応し、そのほかのRTXシリーズへのサポートは今後のアップデートで追加される予定です。

「DLSS 4」の詳細はこちらを、「Reflex 2」の詳細はこちらをご確認ください。

NVIDIA DLSS 4 Introduces Multi Frame Generation & Enhancements For All DLSS TechnologiesNVIDIA Reflex 2 With New Frame Warp Technology Reduces Latency In Games By Up To 75%

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