2024年9月26日(木)から29日(日)の4日間、幕張メッセで開催されている『東京ゲームショウ2024』。展示されたゲームの中から、今回はアンリアルエンジンを専門とするコンピューターゲーム・デジタルコンテンツ開発会社ヒストリアが手掛けるサバイバルアクションレース『Faaast Penguin』を紹介するとともに、本作の開発者 久保 浩子氏、千葉 広大氏に同社初となる大規模オンラインゲームの開発背景や本作の魅力を聞きました。

40人対戦&クロスプレイ対応アクションレースゲーム『Faaast Penguin』。”ゆるくてわかりやすい”デザインと本格的なゲーム性でかわいいペンギンが世界に羽ばたく【TGS2024】
TEXT / 中澤 拓真
EDIT / 酒井 理恵
目次
アタックやスペシャル技を駆使するサバイバルアクションレース
『Faaast Penguin』は2024年9月20日(金)にリリースしたサバイバルアクションレースゲームで、最大40匹のペンギンたちが豪華なディナーを目指して世界各地のリゾート地を駆け巡ります。
また、本作品は現在、Steam / Epic Games Store / PlayStation 5版で配信されており、クロスプラットフォームプレイに対応しています。Nintendo Switch / Xbox Series X|S版は近日リリース予定。
1マッチでレースは最大4回行われます。1レースごとに上位のプレイヤーのみが次のレースに進める勝ち残り制で、4レースの合計ポイントが最も高いプレイヤーが優勝です。ワールドは「ハワイトロピカル」「スカイフライ」「パラオブランチ」「エジプトサンド」の4種類で、それぞれのワールドに4コースずつ、合計16コースがレースの舞台となります。
基本操作は前後左右の移動とジャンプ、アタックのみ。
ライバルや障害物へのアタックを成功させると、飛び上がって加速・コースをショートカット。さらに、アタック成功時はクールタイムなしでもう一度アタックができるため、周囲にプレイヤーが多いときは連続アタックで高く飛び上がることも可能になります。
コース内に落ちている「サバ缶」を10個集めると「スペシャルライド」が発動。前方のプレイヤーを体当たりで吹き飛ばしながら高速で移動します。
また、コース上に落ちてくる「パラグライダー」を発動すれば、一気に順位を追い上げることが可能。
なお、スペシャルライドとパラグライダーを同時に使用すると長距離を高速で移動できるといった裏ワザも……。自分に合った戦い方で最後まで展開の読めないレースをプレイできます。
自分が操作するペンギンの衣装や乗り物、スペシャルライド、軌跡の形状はカスタマイズ可能で、自分だけのペンギンアバターを楽しめます。
レース前後のペンギン同士の交流に使えるエモートも数多く用意されています。
UE4で始まった開発は、将来を見据えてUE5にアップデート
開発当初、アンリアルエンジンのバージョンはUnreal Engine(以下、UE)4を使用していました。これはUE5がリリースされたばかりだったため、プロジェクトの安定性を考えての判断でした。
しかし、その後UE5.1がリリースされた時点で、各プラットフォームへのSDK更新対応や将来的な新機能への対応などを考慮し、UE5にアップデート。それからはUE5の新バージョンがリリースされたタイミングでその都度ゲームエンジンも更新を行い、現在はUE5.4で稼働しています。
『Faaast Penguin』の着想は、久保氏が子供の頃にプレイして印象に残っていた「ペンギンがレースするゲーム」だったそう。そこに「多くのペンギンがわちゃわちゃする姿が楽しそう」というアイデアが加わり、大人数バトルロイヤルの要素を組み込んだのが本作の原点だったとのこと。
「ペンギンは表情から感情が読めないため、そこがかわいい!」という観点も、ペンギンをキャラクターとすることを後押ししました。
「わかりやすい」と「継続してプレイしたくなる」を両立させるためのさまざまな工夫
「アタックしてライバルを追い越す」という仕組みは本作プロデューサー兼ゲームデザイナー 佐々木 瞬氏の発案。ゲームの方向性が定まった後はプロトタイプを作り、ひたすらトライ&エラーを繰り返しました。
世界の誰にとっても「わかりやすい」デザインを模索
本作は多人数でプレイするオンラインゲームであり、広い層にプレイしてもらうためには「(グローバルで通じる)わかりやすさ」が意識されました。例えば、スキンのデザインの一部に動物や食べ物のモチーフを取り入れているのも、世界中の多くの人が理解がしやすいためです。
また、最初はペンギンが直接おなかで滑っていましたが、レースゲームとして認知してもらうために「カート(車輪付きの乗り物)」を実装しました。初期は自動車のデザインでしたが、エンジンなしで坂を滑り降りるというシステムと、ペンギンがリゾートを走るという世界観を尊重した結果、いまのデザインに落ち着きました。
リゾート地をレースの舞台とするのは開発当初から一貫していますが、開発初期は現実にはないテイストとなっていました。しかし、プレイヤーが世界観をより理解しやすくなるように、開発中期にはハワイなどの現実世界をモデルとしたデザインに変更されています。
Mayaで「ゆるい」アニメーションを実現するために独自リグを組んで対応
『Faaast Penguin』に登場するペンギンたちのデザインやアニメーションは「ゆるさ」をテーマに制作したとのこと。DCCツールはMayaを使用しています。ただし、Mayaに標準搭載されているリグではスケールが上手く扱えなかったため、アニメーターが簡単にスケールアニメーションを制作できるように独自のリグを組んで対応しました。
何度もプレイしたいと思わせるための「一発逆転要素」と「コツコツ要素」
前方のプレイヤーが独走してしまうのを防ぐためのギミックが必要でしたが、プレイした際の気持ちよさが損なわれてしまわないようにすることが大変だったそう。「アタックで飛び上がる」「スペシャルライド」「パラグライダー」といった逆転要素に派手さを加えることを意識し、気持ちよさを実現。アタックやスペシャルライドを発動した際のエフェクトのほか、コースを無視して空中を飛ぶパラグライダーで引いたカメラワークにするといった工夫も施されています。
何度もレースを楽しみたくなる要素として、ゲームをプレイして経験値をためることでスキンの色が解放される「ボーナスアイテム」システムを導入。ほかにも、ショップのBGMは毎回ちょっとのぞきたくなるようなものにするなど、細部までこだわりが見られました。
『Faaast Penguin (ファーストペンギン)』は、幕張メッセ ホール8 C09 ヒストリアブースで試遊可能です。
『Faaast Penguin』公式サイト東京ゲームショウ2024公式サイトゲームメーカーズ編集部。RPGが大好きです。
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