ゲームメーカーズ編集部の神谷です。2025年11月9日(日)に秋葉原UDXで開催された「デジゲー博2025」に、チームで制作中のインディーゲームを出展しました。
開催の4日前に行ったテストプレイで、私たちは絶望しました。
「全然面白くねえわこれ。」
残された時間はわずか4日。そこから方向性を根本的に変えて展示にこぎつけた、私たちの出展レポートをお届けします。
ゲームメーカーズ編集部の神谷です。2025年11月9日(日)に秋葉原UDXで開催された「デジゲー博2025」に、チームで制作中のインディーゲームを出展しました。
開催の4日前に行ったテストプレイで、私たちは絶望しました。
「全然面白くねえわこれ。」
残された時間はわずか4日。そこから方向性を根本的に変えて展示にこぎつけた、私たちの出展レポートをお届けします。
TEXT / 神谷 優斗
「デジゲー博」は、秋葉原で年1回開催される同人・インディーゲームオンリーの展示即売会です。インディゲーム開発者にとって、プレイヤーから直接フィードバックを得られる貴重な機会となっています。
私にとっては2回目の出展。前回から培った経験を生かして、今回はより本格的な設営とプロモーションに挑戦しようと決めていました。
今回出展したゲームは「ディストピア職業体験」。私を含め3人で開発している協力型マルチプレイゲームです。プレイヤーは監視国家の政府職員となり、反政府的な市民や禁止行為を行った市民を取り締まります。
しかし、街にいるのは無実の市民ばかり。せいぜい軽犯罪者どまりです。なのに上官は大きな「成果」を求めている……。
そこでプレイヤーがやることは、証拠をでっちあげ、無実の市民を無理やり違反者へと仕立て上げ、正義の名の元に粛清すること。そんな狂った体験を友人同士で楽しむゲームとして制作しています。
制作チーム Xアカウントここからは、出展までの流れを時系列順で紹介します。
デジゲー博2025の出展申し込み締切は8月31日でした。この日は、私が運営として関わっている「ゲームメーカーズ スクランブル2025」の翌日。運営を終えてボロボロになりながら、なんとか申し込みを完了させました。
「ディストピア職業体験」の企画が生まれたのは8月頭。つまり、企画から1ヶ月後に出展申し込みをしました。
早期に出展しておくと、開発初期からプレイヤーのフィードバックをもとに制作できますし、締切があると半ば強制的に仕様を固めることになり、開発が先に進みます。当然内容が形にならないリスクもありますが、私はメリットの方が大きいと考えています。
デジゲー博では申し込み時に「サークルカット」(ブースのサムネイル画像)の提出が必要です。理想は引きのあるビジュアルを用意することですが、当時の私たちには完成したアートアセットがありませんでした。
そこで、「ディストピア職業体験」というテキストを強調する画像でインパクトを出す作戦に。
開催の2週間ほど前から、本格的に展示ブースの準備を開始しました。
ゲームメーカーズとして、XR KaigiやCEDEC、東京ゲームダンジョンなどのイベントに出展してきた経験があります。その知見を生かし、今回はブースの装飾だけでなく、ポスター・フライヤー・名刺のデザインに力を入れることにしました。
私が展示で最も重視したのがポスターです。
なぜなら、見栄えのするゲーム画面を作っても、誰かがプレイしている最中は画面が隠れてしまうからです。また、ゲーム画面が常に魅力的なシーンを表示しているとは限りません。
通りすがりの人の目にも確実に情報を届けられる媒体として、ポスターを最優先で制作しました。デザインは、パッと目にとまったときに興味を持ってもらえるよう情報を最小限に絞り、インパクトを重視しました。
ポスターのサイズはコストの都合でA1にしましたが、より目立たせるためA0まで攻めてもよかったかもしれません。
参加者はできるだけ多くのゲームをプレイしたいはずです。試遊してもらっても、その場でウィッシュリスト追加やSNSフォローをする余裕はないかもしれません。
そこで重要だと考えたのが、家に帰った後に思い出してもらい、ネクストアクションにつなげる媒体です。
ポストカードや名刺も検討しましたが、「帰宅後に整理するときに大きい方が目立ちやすい」という理由で、A4サイズのフライヤーを選択。ポスターと同じデザインにすることで「あのゲームね」と思い出してもらいやすくしています。
一般の来場者に配る必要はありませんが、他の開発者やパブリッシャー、メディア関係者とのコネクションを目的として名刺を作成しました。
デザインは正直趣味です。作っている最中はめっちゃ楽しかったんですが……可読性はマジで悪いですね。
今回はマルチプレイゲームだったため、PCは多めに3台(ノートPC×1、Steam Deck×2)用意しました。
マルチプレイゲームを出展する方は少ないと思いますが、Steam経由などインターネット通信を前提とした環境は絶対におすすめしません。
前回UEFNで作ったゲームを展示した際は、ネットワークのラグでまともにプレイできず、非常に苦い経験をしました。会場のWi-Fi環境は不安定なことが多いです。
今回はローカルマルチプレイで動作するよう実装し、わざわざルーターまで購入しました。
開催4日前にゲームのシステムが入りきったため、チームでテストプレイを実施しました。
「全然面白くねえわこれ。」
ヤバイ……。当時のゲームは「市民を脅して、隠し持っている禁制品を集める」内容でした。しかし実際にプレイしてみると、脅すまでの流れが冗長、協力プレイの核である「盛り上がり」が弱い、みんな別々に動くのが最適解、と根本的な問題を抱えていました。
そこで緊急会議を実施。「善良な市民を大罪人にでっち上げて粛清する」ゲームに方針を転換。なんとか、既存システムをできるだけ再利用しつつ、盛り上がりのあるゲームを設計できました。
「半ば強制的に仕様を固めることになり、開発が先に進みます」とか書いてたのは何だったのか。ちゃぶ台返してるじゃないか! ただ、ここまで作ったから見えてきたこともあります。都合のいい解釈ですが、早めに失敗することもまた大事だと思います。
残り4日。印刷物と設営備品の準備と並行しながら、ゲームの作り直しを進めていきました。新規実装が必要な部分も多く、まさに地獄のデスマーチでしたが、チーム全員の尽力でなんとか間に合わせることができました。
今回はゲーム内容の大幅変更により、印刷物の入稿も出展2日前の深夜になってしまいました。本来はリスクが高いため、早めに発注すべきです。
今回は秋葉原のアクセアに深夜3時に発注し、15時頃に完成。前日設営の最中に取りに行けたため、ギリギリ間に合いました。会場近くの印刷業者を利用するのは、こういう緊急時の選択肢として覚えておこうと思います。
操作説明は少部数だったため、コンビニ印刷を利用しました。
前日設営ができるイベントでは、ぜひ利用することをおすすめします。現地で初めて気づくことが必ずあります。
私は「細かい部分は前日設営のときに詰めればいい」という精神でいました。事前に完璧を目指すよりも、その場で柔軟に対応する方が効率的です。
実際、試遊エリアの高さが足りないことに現地で気づき、台を調達することになりました。今回分かったことですが、立ってプレイする場合、最低でもw45cm × d35cm × h90〜95cm程度が必要です。
帰り際に100均に寄り、台を購入。サイズとディストピア感を考慮して、コンテナを選択しました。
底面がデコボコしていたため、マウスパッドも購入。メモが挟めるものがあったため、操作説明を挟むアイデアを思いつきました。
最終的に、ブースレイアウトは下記画像のような形に。大きめのディスプレイを、目立つように中央に設置しています。
試遊した方からはおおむね好評で、「でっちあげ」で盛り上がってくれました。また、悪徳政府役員という役割のディストピア感を面白がってくれる方も多く、方針転換してよかったと心から感じました。
また、当たり前のことですが、ゲームが安定して動作したことは何より安心しました。ローカルマルチプレイにして本当に良かった……。
当然、思い通りに遊んでもらえないことも多々ありました。「そこクリックするの?」「この操作は伝わらないのか」と、開発者にとっての当たり前が崩壊していくのを実感しました。貴重なフィードバックです。
遊んでもらうために、声がけはかなり重要でした。立ち止まってくれても、自分から試遊に来てくれる人は少ないです。興味がありそうだと感じたら、「よろしければ試遊どうぞ!」と積極的に声をかけるのが効果的でした。
人が途切れることも少なく、最終的に20〜30名の方に試遊していただけました。
今回の出展でかかった費用は以下の通りです。
出展費(2スペース分):16,000円
ポスター × 1:1,730円
フライヤー × 100:980円
名刺 × 100(3人分):1,287円
ポスタースタンド:3,480円
テーブルクロス:2,475円
ルーター:3,980円
コンテナ × 2:1,100円
マウスパッド × 2:220円
———————————
計:31,252円
「意外と安いな!」という印象です。テーブルクロスは既製品を使用しましたが、オリジナルのデザインにするとかなり金額は変わってきそうです。
今回の経験を生かして、2026年2月8日(日)に開催される「東京ゲームダンジョン11」に出展します!
ブースは2階の「2A-2」。ぜひ遊びに来てください!
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