2025年8月3日(日)、東京都立産業貿易センター浜松町館の3階・4階展示室にてインディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン9」が開催されました。
本記事では、同イベントの様子や出展作品をピックアップして紹介します。
2025年8月3日(日)、東京都立産業貿易センター浜松町館の3階・4階展示室にてインディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン9」が開催されました。
本記事では、同イベントの様子や出展作品をピックアップして紹介します。
TEXT / じく
EDIT / 藤縄 優佑
「東京ゲームダンジョン9」は300以上の団体が出展し、2,900名以上が来場したインディーゲーム展示会です。
#東京ゲームダンジョン9 は
2,900名以上の方にご参加いただきました!
ご来場ありがとうございました☀️🌀次は 9/14(日) #愛知ゲームキャッスル2 、11/9(日) #東京ゲームダンジョン10 でお会いしましょう😘 pic.twitter.com/ceaT94ZWpc
— 東京ゲームダンジョン | 25年11月9日(日)、東京・浜松町でインディゲーム展示会を開催 (@TG_Dungeon) August 6, 2025
今回から入場チケットとして、「ビジネスチケット」が販売されました。出展している団体と商談、情報収集、営業活動といったビジネスでの目的で入場したい方に向けたチケットで、一般チケットより高価ではありますが1時間早く入場できる点などを特徴としています。
ビジネスチケットに関してゲームダンジョン事務局代表の岩崎氏に話をうかがったところ、ビジネス関連の方々からできるだけ多く出展作品を見て周りたいニーズに応えた形とのこと。
入場時間が1時間早い点については、一般チケット・当日券・当日16時以降(新規入場無料)と、入場時間を分けることで入場者の混雑緩和の一助になれば、という考えもあったうえでの仕組みです。
『やさしめ弾幕STG「赫夜-カグヤ- 」 PV』
オーソドックスな縦スクロールの弾幕シューティングゲーム(STG)です。通常ショットや、パワーショット、ボムを駆使して全方位から出現する敵を倒していきます。
本作品の特徴は難易度が低めな「やさしめ弾幕STG」であること。難易度のNormalがそれに該当し、普段からシューティングゲームを楽しむプレイヤー向けにはHardやHellといった難易度が用意されています。
Normalでは画面外から敵が出現する方向を警告アイコンで予告したり、敵弾の量・スピードが調整したりされています。
やさしめな調整がされているとは思うのですが、シューティングゲームに不慣れな筆者にとっては過度な手加減をされているようには感じず、弾幕をかいくぐりながら上手に敵を倒しているように思わせてくれました。
同作の開発者 AKI氏は『エスプガルーダ』『エスプレイド』といったシューティングゲーム好き。それでも、たとえば『怒首領蜂』は1コインで3面に進めるくらいの腕前だそうです。
弾幕シューティングゲームは開発者側もプレイヤーも上手い人が多く、難易度が高くなりがちと感じたAKI氏は、自分でもクリアできるようなシューティングゲームがあっても良いのではと考え、本作を開発していると話していただけました。
難易度の調整については、「敵の放つ弾の量は減らしながらも、敵の数は減らさない」「敵は多く出現するが1、2発で簡単に倒せる」といった、敵を倒す気持ちよさを担保しながらも難しくなりすぎない工夫を凝らしています。
開発エンジンはアンリアルエンジンで、VFXツールのNiagaraで弾幕を作っています。ノードベースでパーティクル(本作の弾)を作成でき、弾幕のバリエーションの追加・調整がしやすい点が便利とのこと。高難易度のモードでは、毎回ランダムな弾幕を出現させることも検討しているともお話していました。
『赫夜 -カグヤ-』はSteamで2026年にリリース予定です。
『赫夜 -カグヤ-』SteamストアページAKI氏 Xアカウント「『コメンテーター』Steamストアページ開設トレイラー」
ニュース番組のコメンテーターとして、番組で取り上げる各ニュースに対するコメントのスタンスを決める、世論操作系報道ノベルゲームです。
試遊したときの主な操作は、「強く支持」「支持」「不支持」「強く不支持」という4つの批評スタンスに適したニュースを選ぶだけ。しかし、複数のニュースに対して同じ批評スタンスは設定できません。
番組スポンサーに関連したニュースを扱うこともあり、その際にどういったスタンスのコメントをするかも考える必要があります。さらに、制限時間も設けられているため、じっくり悩む時間がないのも特徴です。
批評スタンスをすべて確定、もしくは時間切れとなったら番組が始まり、選んだ批評スタンスに応じたコメントが発言されます。
放送終了後は、視聴者の反響が「番組の話題性」として、番組スポンサーからの反響が「スポンサー満足度」として、ニュースごとに数値化されます。
本作の開発チーム「テバサキゲームズ」の方にお話をうかがってみました。
開発のきっかけはブラウザゲーム『The Republia Times』をプレイしたこと。日刊新聞の編集長として記事とレイアウトで世論を操作するゲームで、「これをもっと日本人に伝わるように、日本を舞台にした作品を作りたい」と思ったとコメントいただきました。
ニュースは、発生した出来事を誰かが編集して報道され、編集した報道に対してリアクションが生まれる流れが面白いとも話しています。また、コメンテーターも仕事としてコメントしており、その背景にはスポンサーや番組の存在などがあるといった、メディア側の人間としての体験も提供したいとのこと。
ゲーム内で扱うニュースについては実際にあった出来事を参考にしており、その報道の深掘りや、ニュースに対して世間がどう反応したかも調査。さらに、ゲーム内ニュースへの4種類のコメント(批評スタンス)はプレイヤーが納得する形にしたうえで提供と、リアリティへの注力具合がうかがえます。
『コメンテーター』 は、Steamにて発売予定です。
『コメンテーター』Steamストアページテバサキゲームズ Xアカウント『Unknot! -アンノット- トレーラー (日本語 ver.)』
ヒモの結び目をドラッグ操作でほどく、ステージクリア型の物理シミュレーションパズルゲームです。
ヒモの挙動は物理シミュレーションをベースにしており、こちらの操作に対してうねうねとリアクションする様子は本物のヒモとは材質が異なりそうな、まるで生き物のような感覚を覚えます。
ゲームルールは、ヒモをドラッグして引っ張り、重なりや結び目のない状態にすればステージクリアです。ヒモの向きを裏返す「Flip」や、ヒモの重なりの順序を入れ替えられる「Swap」という操作も駆使しながらほどきます。
本作を開発しているP.F.J.氏は、紐の結び方や絡まり方を数学として研究する「結び目理論」をもとにして、本作品を開発したそうです。
開発にあたっては、いくつかのゲームエンジンを検討した結果、オープンソースでコンパクトなGodotを採用しています。物理シミュレーションについてはJolt Physicsを使い、ヒモの摩擦力やけん引力などを細かく調整しているとお話していました。
『Unknot! -アンノット!-』は、Steamで2025年第3四半期にリリース予定です。
『Unknot! -アンノット!-』SteamストアページP.F.J.氏 Xアカウント『【ゲーム制作】「Robot Hospice」愛されたロボットたちを看取る終末アドベンチャー【PV2】』
ゲームタイトルにある「ホスピス」とは、つらさを緩和して最期まで希望通りに生きることを目標とした施設や仕組みを指します(※)。本作品は、人間と生きてきたロボットたちが最期の時を迎える「ロボットホスピス」を舞台にした、終末アドベンチャーゲームです。
※ 参考:国立がん研究センター
目的は、施設にいる5体のロボットと交流して信頼し合える関係を築き、最期を看取ることです。プレイヤーの選んだ選択肢次第で、ロボットとの別れ方が変化していきます。
ビジュアルは懐かしさや優しさを感じさせるドット絵で描かれており、BGMには昔のファミコン風の楽曲が流れます。
開発者の「どこかしらどこ」氏は、物語を作るのが趣味で本職でもそれに近いことを仕事にしているとのこと。そんななか、自分で操作できる形で物語を体験できる、「ゲーム」という表現に強く惹かれて本作を作り始めました。
同氏は日頃からルンバのようなロボットに対して命のようなものを感じ、壊れても捨てられないそう。ロボットに心が宿っているよう見えるが増えてきた昨今、その存在に対して人々がどのような感情を抱くのか気になったため、物語のテーマに「ロボットのホスピス」を選びました。
AI搭載ロボットと少女の交流を描いたカズオ・イシグロ氏の小説『クララとお日さま』を読んだことで、「ロボットが最期まで大切にされる未来があっても良いのではないか」と本作品に思いを込めたとのことでした。
開発ツールはRPGツクールMZ。タイルでマップを描く機能などがドット絵と相性が良くて使いやすいと、同氏は話しています。アドベンチャーゲームとして自分が見せたい画面になるよう、たとえばメニュー画面やメッセージウィンドウなどは、これまでRPGツクールを使われてきた先人の知恵に頼りながら独自に作成しています。
日々少しずつ開発を進めて勉強と制作を往復しながら自分のイメージを画面に反映してゲームにするのは本当に楽しいと、ゲーム開発の醍醐味も語っていただけました。
『Robot Hospice』は、Steamで2026年にリリース予定です。
『Robot Hospice』Steamストアページどこかしらどこ氏 Xアカウント東京ゲームダンジョンは2022年8月7日の第1回開催から3周年を迎え、外伝なども含めると10回以上も開催されています。
#東京ゲームダンジョン は今日で3周年🎂
今まで関わってくださった皆さまに感謝!
冒険はこれからも続くぜ〜⚔️ pic.twitter.com/h9dkr9uzFm— 東京ゲームダンジョン | 25年11月9日(日)、東京・浜松町でインディゲーム展示会を開催 (@TG_Dungeon) August 7, 2025
東京ゲームダンジョンは、初回開催から順調に規模が拡大してきた感があります。今後もインディーゲーム開発者やファンたちの拠りどころとして、また新たな出会いやビジネスの場として、発展していくことを強く望みます。
なお、ゲームダンジョン事務局による今年の開催としては、9月14日(日)の「愛知ゲームキャッスル2」(ゲームダンジョン事務局が運営に協力)、11月9日(日)の「東京ゲームダンジョン10」、 12月27日(土)の「大阪ゲームダンジョン」が予定されています。
「東京ゲームダンジョン」公式サイト「東京ゲームダンジョン」Xアカウントゲーム会社で16年間、マニュアル・コピー・シナリオとライター職を続けて現在フリーライターとして活動中。 ゲーム以外ではパチスロ・アニメ・麻雀などが好きで、パチスロでは他媒体でも記事を執筆しています。 SEO検定1級(全日本SEO協会)、日本語検定 準1級&2級(日本語検定委員会)、DTPエキスパート・マイスター(JAGAT)など。
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